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きみとあなただけの教室  作者: ぐれこりん。
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第72話 THE・STAGE

琥珀

「…はっ!?」


琥珀が目を覚ませばそこは体育館の壇上の上だった。どうやら椅子に座らされているようだ。鼻、顎、肋、指。確かな痛みを感じれば動けずにいる。そもそも手が拘束されている。上半身は裸で下半身はパンツ一丁だ。


悠郁

「生徒会長〜。お久しぶりです」


琥珀

「お前は…悠郁君か。何をしている。不法侵入だぞ」


悠郁

「今先生方に映画鑑賞をしてもらいまして。大方の先生方は出払ってしまったんですが、玉菊先生だけはここで続きを観てもらっています」


玉菊

「琥珀君、これはなにかの間違いよね…?」


琥珀

「…な、どういうことだ? 何が起きているんだ?」


すると背後の巨大なスクリーンから映像が映し出される。


琥珀

『雲母。今から法助君を動けなくなるまで痛めつける。その後、雲母と【交わる。】その光景を特等席で観てもらおう』


琥珀

「なっ!?」


琥珀が背後を振り向く。そこには2年2組の教室での出来事が流されていた。どこから、どこから撮影していたのだ?


琥珀

『きっと雲母は悲痛な悲鳴をあげるだろうさ。だが抵抗出来ない快楽からいずれ僕を求めてやまない嬌声に変わり、僕のことをこの上なく愛するだろう。法助君への愛の記憶は僕で上書きされ、永遠に僕を、僕の体を想い続けるはずだ。法助君はそれを見て堪えられず命を絶ちたくなるだろうなぁ…。だってそんなに雲母の事を愛しているんだもん』


琥珀

「玉菊先生、これは…違うんです」


琥珀は青ざめていく。自分の言ったこと、行動が全て撮影されている。それもすぐ側から。


琥珀

『その手助けをしてあげる。固形のシアン化ナトリウムだ。この世を恨んで、この世に失望して、魂は苦痛の内に、肉体は逃れえぬ激痛を伴いながら死ぬといい。愛など仮初の産物だったと、所詮形のない空虚なものだったとこの世を憎み、裏切られたと絶望してなぁ…』


琥珀

「僕は嵌められたんです! こんな映像を信じないでください!」


憲助

「琥珀」


ドキリとして振り向く。先程自分を一方的に痛めつけた相手がすぐ隣で腕を組んでたっている。


琥珀

「ひ、ひいっ!!」


琥珀はバタバタと暴れだした。この男から距離を取らなければ、【またやられてしまう。】


憲助

「もう諦めろ。お前は僕に気付かずいけしゃあしゃあと暴言を吐き続けた後、延々と雲母と法助を追い続けた。無抵抗な2人を一方的にな」


琥珀

「ふ、不法侵入だっ! 玉菊先生、こいつを信用しないでくださいっ! 不審者ですよコイツは!」


玉菊

「…水鳥憲助君は我が校の出身だった琥珀君の先輩よ。不審者なはずがないじゃない…」


琥珀

「だ、黙れ…! 僕をこんな風に痛めつけたのはコイツなんだっ! 糾弾されるべきはコイツじゃないか! それにこんな映像いつだって捏造できるっ! くそ、くそっ! 巫山戯るなよ! なんのつもりだ! 僕はサンテルチリアーノ株式会社の社長の息子なんだぞっ! 学園長の身内なんだぞっ!」


琥珀は暴れながら憲助から距離を取ろうとする。


玉菊

「それはなんの証明にもなっていないわよ琥珀君…。消火栓の扉を破壊して斧を取り出したでしょう。それも映像に写っているわ」


琥珀

「だからなんだってんだよ! こんなのおかしいだろ! 椅子に繋がれて晒し者にされて、僕は罪人か!? 違うだろ! 僕はこの学校の生徒会長だっ! 模範生徒代表の僕が悪いわけが無いだろ! 間違ってんのはお前らだっ!」


肺の痛みをものともせず琥珀は吐き捨て続ける。すると壇上の後ろからゾロゾロと紙袋を被った何者か達が集まってきた。


悠郁

「生徒会長、あまりにも見苦しいのであなたには最後の仕上げをさせてもらいます」


何者か達は数人で琥珀を担げば壇上から降りていく。真っ暗で分からなかったが、奥にベッドがあるのが確認できた。ハート型の回転ベッド。下にはキャスターがついており移動式になっている。


琥珀

「や、やめろっ! 離せっ! 何をするつもりなんだっ!?」


琥珀はぜぇぜぇと苦しく息をしながら運ばれる。ベッドの上にそのまま寝かされる。すると誰かがシーツの中に既に入っている。


「生徒会長、いや。常磐琥珀。待ってたわよ」


【鬼の面を被った何者かが裸で頬杖をついている。】


琥珀

「お、お前はあの時の!?」


「そう。あんたの処刑舞台を用意して待ってたわ。喜びなさい。これでもう一生取り返しがつかないんだから。あんたは永遠に私のものよ」


鬼の面を捨てる。


琥珀

「天使ぁっ! 貴様だったのかぁっ!!」


あの時自分の顔に催涙スプレーを吹きかけたのは天使であった。疑問は確信に変わり驚愕の表情で天使を睨む。


天使

「よくも私の可愛い可愛い後輩の雲母と法助を虐めてくれたわね。今から思い知らせてあげる。人間の心ってほんのちょっとしたことで粉々に破壊されちゃうってこと」


琥珀

「な、なんだと!? 何をするつもりなんだ!?」


ここから何が起きようともいい予感はしなさそうだ。琥珀はドンドンドンドンと体が重く地の底へ落ちていく感覚を覚える。何者か達がベッドを押せば体育館倉庫のドアを開けた。中にはカメラが沢山設置されている。


「お、来たな天使ちゃん。中々セクシーだぞ」


日陰

「天使様、ああ、天使様! 今から生徒会長と背徳的で冒涜的な撮影会が始まるのですね…! 胸が引き裂かれそうです…。ですが、ええ耐えてみせますとも。この苦痛、苦悩、苦役の先に何かが待っていると信じてっ!」


甕と日陰がカメラを構えて待っている。


琥珀

「な、なんだ? どういう事だ…?」


「僕は甕臣太。ジャーナリストをやってる。そしてこのカメラは君のパパと敵対する企業のクライアントから借りてきたものだ。今から君と天使ちゃんの撮影会をする。一矢纏わぬ産まれたままの姿で?」


日陰

「その写真がライバル企業に知れ渡ればどうなることでしょう…。生徒会長の父上の会社の未来を担うはずの息子が、その歳で男女2人の裸の写真がばら撒かれるのです。私、到底言葉に出来ません…! そして堕落した息子を観て、生徒会長の父上はどう思われるでしょう…。まさに、筆舌に尽くし難いでしょうねぇ…ふふふふふ」


「決定的で致命的な弱みになることは確かだね。最悪琥珀君は絶縁されるんじゃないかな?」


琥珀

「…やめ、やめろ、やめろやめろ…!」


絶縁される。この歳で。父の名誉に泥を塗り、自身の地位や名誉は底の底まで失墜させられる。琥珀は目眩がしだした。景色はぐるぐると周り、移動させられるベッドから見た体育館倉庫は【巨大な口を開いた怪物に見える。】


琥珀

「ああ…! 助けてくれ雲母…。僕が悪かった…。あの時みたいに僕を助けてくれよ、頼む…死にたくない…! こんな終わり方は嫌だ…! ううう、ううっ! うわあああっ!」


琥珀は恐怖で涙が溢れだす。


天使

「いひひひひ、約束通り、あんたの人生をメチャメチャにしてあげる。あんたは私のものになるの。永遠に。私が命じれば絶対に言うことを聞く。私が呼び掛ければ世界の果てまで駆けつける。私が欲すれば命だって差し出す。私の為に苦しんで、私の為に馬車馬の如く働いて、そして私の為に残りの人生を捧げなさい。血も肉も命も魂も、もちろんお金も? 全て私に捧げるの。そして一緒に堕ちて行くのよ」


天使は琥珀の顎をクイッと引き上げる。


天使

「地獄のハネムーンの始まりよ? よろしくねダーリン」


琥珀

「ああ、ああああああ!! んぐうっ!」


天使は琥珀の唇を奪う。ベッドは体育館倉庫へぶち込まれ体育館倉庫のドアは閉められる。まるで怪物のような口を開けた体育館倉庫は2人をひとのみする。中でカメラのシャッター音が何度も何度も切られる音が聞こえる。漏れでるフラッシュの光だけが中で行われている行為の凄まじさを物語っていた。





数刻前。校舎の廊下にて。


法助

「あ、兄貴…。まさか作戦に加わっていたなんて」


憲助

「ずっと見ていたぞ。女の子にあそこまで言わせたんだ。雲母さんを絶対に幸せにしろよ」


雲母

「法助のお兄さんなんですね…? 法助のフィアンセの常磐雲母って言います。どうぞよろしくお願いします」


法助

「フィ、フィアンセ?」


法助はぎょっとして雲母を見る。


雲母

「だって義兄さんって呼べって琥珀兄さんに言ってたもん。そういうことでしょ? やったね法助。私と法助は憲助さん公認の夫婦だよ♪」


憲助

「お前等2人は絶対にくっ付けよ。安心しろ。僕が見守っててやる。琥珀がまた悪さしようとすれば僕が何とかしてやるからな」


法助

「…大丈夫だよ。兄貴に頼りっぱなしじゃ僕は成長出来ない。僕達2人で乗り越える。だから心配しないで」


憲助はふっと鼻で笑えば後ろを向き、手を振ればその場から離れていく。


雲母

「さ、行こっか法助」


法助

「確か体育館だったね…」


廊下を生徒たちが行き交っている。どうやら何か準備を始めているようだ。その背後に【箱柳の姿を確認する。】


法助は目を疑った。全身が戦慄き硬直する。


法助

「ど、どうして…?」


雲母

「どうしたの?」


箱柳は上目遣いで法助を見たあと、髪をなびかせて立ち去る。法助は全力で箱柳を追う。


雲母

「ちょ、ちょっと! 法助!?」


【手には2年2組の教室で、琥珀が教卓に置いて行ったプラスチックの容器を持っていた。】

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