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きみとあなただけの教室  作者: ぐれこりん。
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第66話 決行前夜

夏休み前の終業式前日。放課後、天使と日陰の一悶着のあった廃ホテルにて。


華山

「…来たな」


法助

「…明日、なんだね」


華山

「そうだ。ついに生徒会長を追い詰める作戦を決行する」


その場には華山と法助。その他に安栖里、天使、日陰、梵款太郎、桐邑深郁、桐邑悠郁が集まっている。


法助

「部長まで…。部長も生徒会長の傀儡だったんですか?」


款太郎

「ああ、事情はよく知らなかったが僕も琥珀に利用されていた1人らしい。法助君は、琥珀のやつに痛めつけられたんだろ?」


法助

「え、ええ。でももう完治しました。ちゃんと作戦に参加できます」


款太郎

「未だに信じられない。骨折するまで法助君を痛めつけるなんてな…。アイツに直接どういう事か聞くつもりだ」


法助

「…気をつけてくださいね」


法助に続いて天響、銀子が後ろから入ってくる。


天響

「あ! 天使姉がいるデスー」


天使

「あんたも作戦に参加するの? コイツ、鈍臭いとこ多いけど?」


銀子

「裏方で動くから心配ないぜ。人数は多い方がいいだろ?」


法助

「ここまで大人数じゃないと生徒会長を抑えられないんだね…。本当に恐ろしい人だよ」


華山

「もっと参加者はいるぞ。ここに居るのは事前に作戦について話し合わなきゃいけないヤツらだけだ」


法助

「そっか。でもいいんだろうか…。雲母の従兄弟をこんな大勢で追い詰めるなんて…」


「…大丈夫だよ。法助」


隣の部屋から雲母と箱柳が現れる。


雲母

「私も承知の上だから。琥珀兄さんはそれだけのことをしたんだよ」


箱柳

「本人がこう言ってるんだから、容赦なくやっちゃお」


法助

「雲母…! それに箱柳…。君もだったのか」


箱柳

「…苗生って呼びなよ」


雲母は急に法助と間を詰めれば【抱きしめキスをした。】おおお、と声が上がる。


法助

「…むぐ!?」


雲母

「…ん…。ずっと、ずっとこうしたかった…。やっとだよ法助。やっと私たち、一緒になれるんだよ…?」


雲母は琥珀に無理矢理唇を奪われ、挙句悠郁にまでキスをされてしまった。ずっと思っていた。上書きしたい。法助とのキスでこの記憶を上書きしてしまいたい。


箱柳

「見せつけてくれるよね」


箱柳は目を細めて2人を見据える。


天使

「法助、雲母。お熱いところ申し訳ないんけど、作戦の話をしましょ。これが終わったら思う存分絡み合ったらいいじゃない? ここ、そういうホテルだったんだし?」


日陰

「ああ、私と天使様との忘れられぬ思い出の場所なのに…。それを水鳥さんと常磐さんの情事で穢されてしまう…。なんてことでしょう…! ですが、ですが構いません! お気になさらずに、どうぞ。常磐さんと水鳥さん、どうぞ! 思う存分乳繰り合ってください!」


法助

「ちょ、ちょっと…。僕達何もしないからね?」


雲母

「え…? 何もしないんだ…」


法助を抱きしめながら残念そうに眉をひそめた。法助は困った顔をしながら雲母をそっと離す。


悠郁

「雲母、私ならいつでもあなたを受け入れる準備は整っています。そんな男なんか放っておいて私の胸に飛び込んで来てください」


雲母

「お断りだよ。私に絶対近寄らないで」


華山がギョッとして悠郁を見る。


華山

「…ど、どういうことだ?」


深郁

「お姉ちゃんは常磐さんが好きなんだよ? 知らなかったの?」


華山は雷に打たれたような衝撃が走る。手がワナワナと戦慄き、目を大きく見開いて悠郁を見た。


悠郁

「範造、どうしました? 恐ろしく驚いた表情をしていますが?」


華山

「…い、いや。なんでもねぇ。話を進めるぞ」


安栖里

「やっと始まるのか。自分自身を持て余していたよ」


安栖里はやれやれと肩を竦めた。場が落ち着けば話し合いが始まる。


華山

「終業式が終わったら、まずこの場に生徒会長を呼び出す。常磐さんがここにいるって情報を流してな」


箱柳

「時間稼ぎだね」


華山

「ああそうだ。ここでは部長、俺、箱柳、安栖里さん、森永天響さんで対応する」


款太郎

「どうやって足止めするんだ?」


華山

「生徒会長を倒すのは恐らく無理だろう。だからまずはこれでもかってくらいキレさせて冷静な判断が出来ないようにしなくちゃいけない」


安栖里

「大丈夫かな? 殺されない?」


華山

「そのために俺達がいる。何とか退けることは出来るだろう」


天響

「なんとか頑張って欲しいデス…。あの大きな生徒会長に殴られるのは恐ろしいデス」


華山

「残りのヤツらは学校で準備をするんだ。先生共の足止めをするために悠郁と残りの3人に手伝って貰う」


悠郁

「先生達と話し合うんですね。了解です」


華山

「上手くすれば転校した連中をこっちに戻す事も出来る。本人等がそれを望めばだけど」


法助

「僕は、何をしたらいいんだ…?」


華山

「ホースケと常磐さん。あんた等は生徒会長を倒す準備をしろ」


法助

「…えっ!? 僕達で…!?」


華山

「そうだ。2人で生徒会長を倒すんだ。もっとも激昂した生徒会長からヤバい発言を引き出してから、だがな。安心しろ。強力な助っ人も用意してある」


法助

「助っ人…? 誰だろう」


華山

「それは会ってみてからのお楽しみってやつだ。一旦危険な目に合ってもらわなければいけないが、【お前等にしかできない重要な役だ。】嫌とは言わせないぞ」


雲母

「わかった…。私たち、きっと成功させるから」


天使

「いい返事よ。雲母、安心して? ちゃんと私が付いてるから」


雲母

「…はい。ありがとうございます、天使先輩…!」


一行は作戦を練ればその場で解散した。眠れぬ暑い夜に輪をかけて皆興奮冷めやらぬ前夜となった。

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