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きみとあなただけの教室  作者: ぐれこりん。
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第15話 文化部を廃部せよ

雲母

「法助」


放課後、雲母が法助を呼び止める。


法助

「うん? どうしたの?」


雲母

「今日ちょっと、一緒に委員会の仕事手伝って貰えるかな…?」


法助はドキッとした。わざわざ呼び止めて手伝って欲しいとお願いする雲母の顔色を伺う。


法助

「え、えっと…。いいけど」


法助は空手部の事が頭に浮かんだが、雲母の頼みとなれば断りづらい。少し躊躇しながら承認した。


雲母

「いいの…? ありがとう! 空手部には先生から事情を説明してもらうから大丈夫だよ」


2人は生徒会室へ移動する。荷物を置いて雲母が資料を取り出す。


雲母

「実はね…。廃部を言付けなくちゃいけない部があるの…。文化部なんだけどね」


法助

「…は、廃部かぁ」


何となく雲母が法助を呼んだ理由がわかった。廃部を言い渡すのは流石に自分1人では辛い。


雲母

「今年卒業しちゃう3年生を除いて定員が3人以下になっちゃう部活があるの。入部シーズンに新たに1年生が入らなかったから、心苦しいけど廃部になっちゃうことを言い渡さなきゃいけないのね…」


法助は文化部の資料を雲母から受け取り拝見する。部員は3人。だが2人は3年生で1人は2年生。部活として存続の見込みがない部活は早めに断捨離してしまうのが本校の方針だ。辛い現実だが本人等にそれを伝えに行かなければならない。


法助

「今年結局1年生は入らなかった訳か…」


雲母

「そう…。それに今までめぼしい活動記録も無い部活だから、本人達の為にも仕方ないことなんだ…」


法助

「わかった。一緒に言いに行こう」


雲母

「ありがとう…! 本当に心強いよ」


雲母はぱぁっ、と明るくなれば資料をまとめる。


2人は文化部の部室の前に移動する。


法助

「…漫画研究部」


文化部ではなく、漫画研究部になっている。


雲母

「自分達で言っているだけだよ。名前が申請で通らなかったから文化部にしたみたい」


法助は固唾を飲んで部室のドアをノックする。


「はーい。なんデスか?」


ドアが開くと、まん丸なメガネにロングパーマの女の子が目を丸くしてこちらを見ている。


雲母

「…すこし、お邪魔させてもらってもよろしいでしょうか…?」


「…え? いいデスよ! ごゆっくりどうぞデス」


法助と雲母が部室の中に入る。3人とも漫画を描いているようだ。


「誰だ?」


銀色の派手な髪の毛の女の子が訝しい表情で2人をじっと見据える。


「…あわわ、知らない人だ…」


小さいおカッパの女の子が部屋の隅っこにコソコソと机と共に移動し避難する。すぐに創作物をしまいこみ、見られないようにした。2人はその様子に目を白黒させながら観察すれば、案内された机に着席する。先程の女の子がお茶を持ってくる。


雲母

「えと、部長さんは…」


「オレだ」


銀髪の女の子が名乗りを上げる。


雲母

「あなたが香炉銀子(こうろぎんこ)さんですか?」


銀子

「いかにも」


雲母

「…大変申し上げにくいのですが、文化部として部活を立ち上げてからめぼしい活動記録が提出されず、部活動として認められないと判断されまして、廃部を言い渡しに本日まいりました」


銀子

「なにっ!?」


「あわわわっ!! 廃部になっちゃうんですか…!?」


おカッパの子が慌てだした。


「ええ〜!? やっぱり新しい部員が入らなかったのがまずかったのデスかね…!?」


メガネの子も慌てて青ざめている。


銀子

「ウチが廃部だとぉ!? そんなの認められないぞ!」


雲母に食ってかかる。


法助

「まぁまぁ、落ち着いてください」


法助が眉をひそめて銀子を宥める。


銀子

「うるせぇ! これが落ち着いてられるか!」


銀子は法助にくるまったティッシュを投げつけた。一瞬驚いたがすぐキョトンとする。


銀子

「何に使ったか分からないティッシュだ。どうだ? 恐ろしいか?」


法助

「ふふっ、いや別に…」


法助はちょっと吹き出した。辺りを見渡してから雲母とドアの前でコソコソと話をする。


法助

「うーん。常磐さん…一応、漫画は描いてるみたいだけど」


雲母

「まぁ、廃部を言い渡して直ぐに廃部には出来ないからね。危機感を持ってもらって、予算を出すに足る活動記録を出して貰えるか色々交渉の余地はあるけど…」


法助

「それじゃあちょっと内部監査をしてみようか」


雲母

「そうだね。向こうもいきなりで納得いかなそうだったし…」


銀子

「何だべってやがる。オレ達は蚊帳の外かよ」


銀子が机に足を乗っけてこちらを睨んでいる。法助はこの人苦手だなーと思った。


法助

「ごめん。それじゃあ描いてる漫画を見せてよ。一応活動しているってことを認知しておきたいんだ」


銀子

「…ヤダよ」


法助

「なんで?」


銀子

「…は、恥ずかしいからだよ」


意外な反応が返ってきた。しかしそうは問屋が卸さない。


法助

「うーん。でもそんな様子じゃダメだよ? ちゃんと活動記録を書いて、部活として認知してもらわなきゃ。そして今が最後のチャンスだと思ってもらわないと…」


銀子

「…クソ。お前どうせ年下だろ。舐めた口利きやがって…」


銀子はジト目で法助を見据え創作物を護るように抱えている。しかし雲母がイライラしだした。


雲母

「見せて下さい」


銀子

「ダメ」


雲母

「…ふぅ」


雲母が後ろを向く。腰に手を当て、【突然振り返れば銀子から創作物をひったくった。】


銀子

「ああ!」


「ああー!」


「あわわわわっ! 我等の創作物が奪われてしまいました!」


雲母が暴れる銀子を手で抑えつけ創作物を拝見する。


雲母

「な、なな…」


雲母の顔がどんどん紅くなっていく。


雲母

「なんてものを描いてるんですか!!」


雲母は創作物で銀子の頭をパシパシと叩く。


銀子

「あだ! あだ!」


法助

「え? え?」


法助は上下する創作物を目で追い困惑している。


「銀子隊長の身長が縮んぢゃいますー!やめてくださいですー!」


おカッパの女の子が雲母を止めようとする。


「おお、おちおち、落ち着いてください生徒会様!これは健全な創作物デス!」


雲母

「貴女達全員穢らわしいです!今すぐ廃部です!」


法助は乱心する雲母の様子にどんな創作物なのか非常に気になった。

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