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きみとあなただけの教室  作者: ぐれこりん。
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第13話 危機一髪

雲母と天使は走って逃げる。


雲母

「うっ、酒臭! 先輩お酒呑んだんですかッ!?」


天使

「に、2杯だけよ!」


雲母

「未成年なのにお酒飲んじゃダメですよッ!」


金牧は追いかけて来て居ない。


天使

「…はぁ、はぁ、もういいんじゃない?」


雲母

「そ、そうですね」


裏路地へ入り込み、金牧がおって来ていないか確認すれば2人は壁にもたれる。


天使

「あービックリした。まさか連れていかれそうになるなんて…」


雲母

「先輩…」


雲母は天使の肩をつかむ。


雲母

「パパ活はこれが初めてですか? もう何度かやった後?」


厳しく天使を問い詰めた。


天使

「は、初めてよ。本当はやるつもり無かったんだけど、あんたと口論になってカッとなっちゃって…」


雲母

「…け、経験人数とか…は?」


天使

「あ、聞いてたの?」


森永はニヤっと笑う。


天使

「気になる?」


雲母

「今のはなしで…。もう二度とやらないでください。今度は助けられる自信ないんで…」


天使

「わかった、わかったわよ。けど…」


天使は雲母を横目で見る。


天使

「…あんたが男だったら、惚れてたかも」


雲母

「ふ、何言ってんですか。さっさと帰りましょうよ…」


2人は帰ろうと動き出す。


金牧

「あっ! 見つけたッ!」


天使

「ヤバいっ!」


雲母と天使は急いでダッシュする。


金牧

「待やがれ! 今ここで君を逃したらオレの人生終わりなんだ!」


天使

「あんたの人生なんか知らないわよ! 勝手に終わってなさい!」


雲母

「はぁ…! はぁ…! はぁ…!」


追われるということはかなりの労力を必要とする。危機が迫っているというプレッシャーに加え有酸素運動を強いられる為、運動が得意な人でも1〜2分走れば息が上がってしまう。捕まれば何をされるか分からない。そのプレッシャーが雲母と天使を襲う。


天使

「あ、あんた! 雲母、あんた1人で逃げなさい…!」


天使が手を離そうとする。


雲母

「ば、バカッ!! 絶対に離しませんッ!」


天使

「元はといえば私が蒔いた種よ…。あんたを巻き込むわけにはいかないわ」


雲母

「先輩、黙って走ってくださいッ! 殴りますよ!」


その時、天使は足が縺れて転けてしまう。


雲母

「先輩ッ!」


雲母が天使を抱き起こそうとするも、天使は雲母を突き飛ばした。


天使

「行きなさいっ! それで出来たら助けを呼んできて!」


雲母

「…ああッ!!」


金牧

「ふふふへへへっ! ツイてるぜ」


金牧が2人に追いつく。天使を捕まえようとしたその時、金牧は誰かに殴られた。


金牧

「ぶへっ!?」


「姉ちゃん、さっきぶりだな」


雲母

「あ、あなたは」


焼肉屋で隣に座っていた人か現れた。


「誰かの跡をつけてるみたいだったから、気になって姉ちゃんをつけてみたんだ。なるほど、こういう事情だったんだな」


金牧

「て、てめぇ…!」


金牧はナイフを取り出す。


天使

「ひっ、なな、ナイフ持ってたの…!?」


金牧

「もしもの時の為さ。まさかこんな邪魔が入るとは思わなかったけどなぁ」


「おっと、ナイフか。やべぇなこりゃ」


金牧がナイフをブンブン振り回す。男性はナイフを躱しながら金牧と距離をとる。おもむろに置いてあったゴミ箱を抱き抱えると金牧に向かって突進した。ドンッ!とぶつかれば金牧は転けてしまう。


金牧

「うがっ!」


「おっさん本当ついてないな」


男性はナイフを持つ手を思いっきり踏み、ナイフを蹴飛ばす。


金牧

「いっ!!」


「さて、次は何を出すんだ?」


金牧

「畜生ッ! 畜生ォッ! 覚えてやがれッ!」


金牧はようやく引き下がり逃げ出した。


「退散したな。ま、やつのワゴンのナンバーは写真にとってある。逃げたところで奴は終わりだがな…」


2人は唖然としてその様子を見ていた。へたりこんで立つことができない。


「どうした? 腰が抜けたか?」


雲母

「あ、いえ…」


天使

「ありがとうございます…」


「なんてことはない。俺も人助けが出来て気持ちよかった。無事で何よりだ」


雲母

「…もしかしてさっきスマホで撮影してたのって…」


「ああ、撮影してたさ。ネタになると思ってな?」


雲母

「なな、なんてこと…」


雲母は男性を睨みつけた。


「ふっ、俺ジャーナリストやってんだ。警察にも知り合いが居てな。そいつの手柄にしてやろうと思って」


天使

「…私は傍観されてたわけね」


「何言ってんだよ。助けてやったのに。みんな無事で良かったろ?その現実に感謝しなくちゃ」


雲母

「…む、それもそうですね」


「あ、一応名刺渡しておこうかな」


男性は雲母と天使に名刺を手渡す。名前は甕臣太(もたいしんた)。本当にジャーナリストをやっているようだ。


雲母

「甕さんですね。あなたに出会えた事、きっと不幸中の幸いだったに違いありません。どうもありがとうございました」


「ま、結果良ければなんとやらだ。おっと、こんな場所で若い2人とだべってる所を誰かに見られたら俺が通報されかねないな。今後危ないことは控えるように」


天使

「え、ええ。もうしないわ」


そう言うと甕は両手をポッケに入れて去って行った。


雲母

「…」


天使

「ん? どうしたの雲母?」


雲母

「いえ、凄い体験をしたなって…。現実味がなくて」


雲母の手が震えている。


天使

「ふふ、あんた年上が好み?」


雲母

「ち、違いますよ。助けられて感謝してますが、好きにはなってないです」


天使

「冗談よ。でもありがとう。あんたが助けてくれなかったら車の中で何されるか分からないかった」


雲母

「それもそうですね…。助けが来るのを待ってたら遅かったなんてことも有り得ますし」


天使

「これ、あんたにあげるわ」


天使はお手当てを雲母に差し出した。しかし雲母はそっと森永に突き返す。


雲母

「今度PARIPARITully'sで奢ってください。それで許してあげます」


天使

「いいわね。一緒に行きましょ」


雲母と天使が明るい道を通って2人で家路につく。


雲母

「…ただいま」


雲母が家にたどり着きドアを開ける。リビングで雲母の母親がじっと座って待っている。


「1時間36分。門限から1時間36分経っているわね。何をしていたの?」


雲母

「…部活が終わって的の張り替えを…。先輩が用事で1人で帰っちゃって」


「真面目な話をしているのよ? 敬語を使いなさい。それならば連絡を入れればいい話よね? 何故連絡を寄越さなかったの?」


雲母

「イッ…! ごめんなさい…。忘れていました」


「今後こういうことがないようにどうすればいいか書き留めて来なさい。私が納得いくまで何度も書き直して貰いますからね。それと今月のお小遣いは抜きです」


雲母

「はい…。わかりました」


雲母はションボリした。母は自身の私立中学の学園長である。模範的な行動から逸れれば必ず叱責を受ける。このように下手に門限も破れないのだ。まぁ今月は先輩に奢って貰うから良いか。


「それと、さっき的の張り替えをしてるって言ってたわよね?」


雲母

「…は、はい」


「18時を越える程大変な事だったの? もし今後こんなことがあるなら部活は辞めてもらうわ。勉学に響くからね。そのつもりでいなさい」


雲母

「…そんな!」


「あなたは今1番大事な時期なの。人生に関わる大事なね? それを踏まえて今集中してしなくちゃいけないことを弁えなさい。単純な話よ。遅れるなら連絡をする。けれど成績が落ちるようではダメ。その2つを守る。出来なければ部活は辞めてもらうわ」


雲母は眉をひそめた。


「わかったなら返事をしなさい。ご飯はもうみんな食べ終わったわ。雲母の分は冷蔵庫に入れてあるから暖めて食べなさい。明日帰ってくる迄にまでに改善案を書いておくこと」


雲母

「…はい。分かりました」


雲母は自分の部屋は行きベッドに前のめりに倒れた。枕にブフーっと息を吹き込む。一気に緊張の糸が切れる。


雲母

「はぁ…疲れた」

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