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きみとあなただけの教室  作者: ぐれこりん。
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第12話 君子危うき走れよ乙女

天使

金牧(かねまき)さんはどんな仕事をしてるの?」


男性

「僕? IT企業で働いてるよ。いわゆるWebデザイナーかなー。顧客からウェブサイトの作成を依頼されて仕事する感じ」


天使

「へー。システムエンジニアって言うやつね。ずっとモニターを見て仕事しなきゃダメそうだから、私には難しいかも」


金牧

「まーブルーライトとかで寝つきが悪くなってるなーって自覚はあるよ。ははは、仕事はなんだってキツイからねー」


雲母

「…意外とまともそうな人なのかな…?」


雲母は聞き耳を立てながらコーラをぐびっと呷る。既に氷が溶けてしまい薄くなっている。


「姉ちゃん、コーラとキムチだけか?」


急に隣の人が話しかけて来た。


雲母

「えっ…? はい、まぁ…お腹の調子と相談中と言いますか…」


急な出来事に雲母は動揺した。


「良かったら奢ろうか?」


こっちはこっちでややこしくなってきた。早く外へ出やがれ森永天使。雲母は天使に対する怒りで顔を顰める。


雲母

「いえ、結構です…。1人で居るのが好きなので」


隣の人は雲母が顔を顰めた様子を見ればフッと鼻で鼻で笑えば焼肉をひと口食べた。


「そうか。だいぶ若く見えるし、こんな店に来るなんて色々気になってしまってつい声をかけちゃってね。邪魔したな」


雲母

「そうですか。気を遣わせてしまってすいません。私は大丈夫ですので」


雲母はぺこりと頭を下げればスマートフォンに集中した。


金牧

「天使ちゃんは彼氏居るのー?」


天使

「今は居ないわね」


金牧

「ふーん。経験人数とかは?」


雲母

「…普通に聞いてくるんだ」


天使

「3人くらいかしら?」


雲母

「くらいってなんだよ…! なんでそこ曖昧なんだよ…!」


雲母の右足が貧乏揺すりで動き出した。


金牧

「そっかー。結構可愛いもんねー」


天使

「私はガード硬いわよ〜?」


雲母

「なんか腹立ってきた…」


自分が情けない先輩の為に高いキムチとコーラの代金を払ってここまでしている事に疑問を抱き始めた。


雲母

「…」


もう放っておいて家に帰ろうかと思ったその時。


金牧

「ねぇ、今夜どう?お金弾むからさ」


ドキリとした。天使はついに誘いを切り出されてしまう。


天使

「えー。そういうのはちょっと…。もうちょっとお互いを知ってからにしましょ?」


金牧

「いいじゃんいいじゃん、僕天使ちゃんのこと気に入っちゃった。ね? 悪いようにはしないからさ」


天使

「えー…」


雲母

「…」


ドクリドクリと心臓の鼓動が高鳴る。相手はまだ引き下がらない。


天使

「んもー。だからダメだって」


金牧

「3万! いや5万上乗せで払うから。ね? いいでしょ?」


雲母

「…5万だって…? この人やばい」


天使

「ご、5万…」


一般の中学生の金銭感覚で5万はかなり高い。自分の手持ちが10倍になると思えば魅力的だが、若い学生がそういったやり取りで及んでいい行為ではない。


天使

「…いえ、ダメよ。私自身、今やってる事を正当化するつもりはないけど、お金を積まれたからといってそういう行為に及ぶのはダメね」


金牧の表情が曇る。


金牧

「…そうなんだ。わかった」


金牧は明らかに不機嫌になる。天使と金牧の2人はそこから交わす言葉が少なくなった。


雲母

「…先輩、偉いです」


やってることは間違っているものの、何とか踏みとどまってくれた。怖い思いもしたと思うし、これで何とか改心してくれればと安心する。


2人は食事を終えて会計を済ませる。雲母もそのあとを追って会計を済ませて外へ出る。


雲母

「ふぅ…。取り越し苦労で良かった、と思えばいいかな」


雲母は失った800円あまりの損失と天使が無事であった事を天秤に掛けて憂いた。雲母がレシートを眺めながら天使の跡を付ければ、2人が口論し始めた。


森永

「ちょ、ちょっと! 離しなさい!」


金牧

「飯食って手当渡して、はいサヨナラなんて虫がいいと思わないの!?」


金牧が天使を引っ張っている。


天使

「あんた何するつもり!?」


金牧

「これからお城に行って仕事するんだよ! 天使ちゃんがねぇっ!」


雲母

「…えっ!?えええっ!?」


雲母は驚愕する。やばい。やばすぎる展開に発展してしまった。無理やりどこかへ連れていかれそうになっている。天使は1発でやばいパパを引き当ててしまったようだ。


天使

「…くっ!」


天使は防犯ブザーを鳴らす。ピュイピュイピュイ!と音がなる。


金牧

「…へへへっ!そんなことしても無駄なんだよっ!」


音が鳴るも誰も助けようとしない。それどころか一般人はスマートフォンで二人のやり取りを撮影している。


雲母

「だ、誰も…助けない…?」


そう、誰も助けないのだ。運良く警察が近くにでもいない限りそういった場面で助けられる事はまずない。金牧は車のキーでワゴン車のドアを開けば天使を引っ張り連れ込もうとする。


天使

「きゃぁぁぁ!! プッシーワゴンに連れ込まれるぅぅ!!」


雲母

「プッシーワゴンって…!?」


雲母は天使のとっさの発言に吹き出した。足が震えたものの、自分が動かなくてはいけないと奮起し、ダッシュでワゴンの後ろに回り込み車の上に登る。


金牧

「うへへへへ、さぁさぁ、お城で連れて行っちゃうよぉ」


金牧がもう一息でワゴンに天使を連れ込もうとしたその時。


雲母

「ストップ。そこまでです!」


金牧

「うん?」


雲母は飛び降りて金牧の顔を踏みつける。エグい角度に入った。その場に金牧は倒れ込む。


金牧

「ぶぐっ!?」


天使

「えっ!?」


雲母

「先輩、走って!」


雲母は天使の手を引いて走って逃げる。


天使

「あ、あんた雲母!?」


雲母

「先輩のバカ!後でお説教です!!」

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