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64式小銃、大陸にて活躍  作者: 通りすがりの野良猫
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64式小銃とAIシステム

この64式から画期的なAIシステムが導入された。


ときは2064年。

国内に複雑怪奇な歪みを抱えた中華人民共和国はすでになく

中国大陸はまた群雄割拠の地と化していた。


そして各地の地方権力はかってのように軍閥を作り、自派の利益のための抗争をくり広げていた。


日本は、2034年、中華人民共和国崩壊時点から自国民保護のためにアメリカと共に自衛隊を派遣した。

そして上海、南京、香港あたりとは安全保証協定を結び、自国民の安全確保、さらには市場の確保を行った。


それから早いもんで30年。


自衛隊上海駐屯地は、上海政府と協力して、周辺地域の交通の安全確保、さらにMDも含めた 上海民主共和国付近の防衛にあたっている。


そして陸上自衛隊は最新の歩兵装備を装着した機動戦闘団を派遣している。


そしてこの話の中心の「64式小銃」が出てくるのである。

この小銃は今年2064年採用の最新の小銃である。


主な要目をここに記す。


口径7.62ミリ。

これは多目的弾を使うために最小の口径として選択された。


重さは弾薬込み4.5キロ。

発射速度は可変電気式発射機構で400発。

ただし緊急の場合は、1000発位まではあげられる。


このあたりまでは、従来の火器にもあった技術だが、今回はついにAIテクノロジーが入ったのである。


簡単にいうと、銃にAIユニットを取り付け、射手が銃を目標に向けた場合、不適切な目標(民間人、小銃弾では無意味な装甲目標、明らかに射程外など) には発射させない等の機能もある。


また射手の癖を補正して、アドバイスする機構も組まれている。簡単にいえば、「射手と相談する鉄砲」なのである。

また、他のデバイスからの情報も射手に伝えたりする能力もある。

あたかも「バディ」のような銃、それが64式である。


AIも射手にあわせてカスタマイズできるようになっている。わが64式小銃、製造番号5963のAIは「YK」である これは試作情報交信ターミナルの略とかいうけどわからん。


このAIの特性は、あたかも「有能な中年女性秘書」のような構成である。


一例をあげると、「また発射機内部汚れが許容範囲に近づいてるで、きちんと掃除してよ」

「わかった」

「わかったっていうけど、ほんまにわかったの?何度も言わせんといて。」

うるさいくらい細かな気配りのAIである。


昔、アメリカのテレビ映画で、自律走行できる車が出てくる話があったが、それの鉄砲版である。

端から見たら、鉄砲相手に話しかける兵隊など不気味なもんであるが、仕方ない。


ちょうど今日は、ドーム射場での射撃訓練である。

64式小銃の射撃訓練と言うもの実際に見てみよう。


まず、AIが入ってからは、喧しくて仕方ない。

「まるで夫婦喧嘩みてるようですね」と若いWACからはからかわれる始末(>_<)。


まず射場に入る前からAIは煩い(>_<)。


「前回は散々やったで。特に基本の伏せ撃ち」

「ちゃんと言う通りにしてな」まず、「64式小銃様からの説教」である


弾薬受領でも

「ちゃんと弾詰めてよ」

わかりきったことでも言われる(>_<)


各的の前にして姿勢点検である。ここでも言われる(>_<)。

「変に力入りすぎ」


弾込め安全点検の号令である。やはり一言(>_<)。

「しっかり弾倉確認してね」


射撃用意の号令出てからも、

「きちんと見いだししてないでしょ!当たるわけないやん」


「ほらまた、ガク引きしてる!優しく引かないとあかんでしょ」

「はい、安全装置確認した?安全係が困るでしょ!」


「「銃置け」でしょ!ぼーっとしないで、脚出して」


これ、すべて「64式小銃様」から言われてるのである。


しかし恐ろしいもので、その通りにやっていくと、零点規制、つまり最初に3発射撃してその3発の描く三角形を、

的の中心に重なるよう修正するのだが、この時点ですでに10センチ程度の範囲におさまっているのである。


そのおかげもあって、教習射がすべて終わると最後に「64式小銃様」からは「あたしの言うた通りにしたらあたるでしょ!いう通りにしてね」とのお言葉(>_<)。


家で言われているのと同じである(>_<)。


「すっかり汚れたから、きれいにしてよ。こないだなんか、適当にしか掃除してなかったでしょ!班長に言うよ」

「わかった、ごめん」

「ほんまにわかったん?」


口ごたえしても、清掃やらできてないと、このAIは班長の端末にアクセスして報告しやがるから、ここから先は、

「俺が悪かった」

「すいません」

「きれいにするからね」

しか言えない。


なんせこのAIシステムは、「64式個人装着システム」の中心装備なのである。

射撃の際には銃に装着するが普段は、ウェアブル端末として、各人の体調モニター、スケジュール管理、通信機として使うものである。

PXでの買い物なども、この機械でできてしまう。


ただし、うちの場合は、家内の家庭用AIシステムから制御されているため、1ヶ月あたり13000円以上買えないように設定されている。


また、家内の設定する日常管理システムと連動してるもんだから、そちらから「学習」して、「必要以上に」喧しくなっているのである。


営内班にいても、家内が近くにいるみたいな感覚は、当初は「勘弁しろ」と思ったが、「いうとおりにした」おかげで様々なケースで助かったから、もう逆らえません(>_<)。



うるさくて仕方ないが頼もしい「バディ」である

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