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第一話 封印された暗黒書物

これは誰もが起こりうるお話。

日常から非日常へ・・・


あなたは「創造主」となり、どのような運命が待ち構えるのか!?

「ふあー、眠い」


 大きなあくびを開け、いつもの通学路をトボトボと歩いていく。

 周りははしゃぎながら登校する小学生や、単語帳を開きながらぶつぶつしゃべる中学生。

 手をつなぎ、はみかみながら歩いていくカップル。


 俺の隣?そんなの居るわけではない。俺はいつでも一人で登校している。

 昨日は対人ゲームに熱中していたせいで、睡眠時間がいつもより2時間少なくなってしまった。

 

「猛烈に眠いぞ……」 

 起きろと言わんばかりの太陽は容赦なく俺に照りつける。寝不足の目にしみる。


 眠さばかり紹介しても仕方がないな。此処で少し自分の話をしておこう。


 俺の名前は、武山仁(たけやまひとし)

 高校2年生。なんのへんてつもない田舎町に住んでいる

 身長は170cm 体格も普通。痩せすぎでもなければ太り過ぎでもない。

 中学でスポーツでもやっていた訳でもなく、特別勉強ができた訳ではなかった。

 友達も特別多いわけではない。ヒエラルキーも下の方に属している、どこにでもいる平凡な男子だ。


 

 朝が来て、服を着替えて学校に行く。

 将来役に立つのか立たないのかわからない授業を、なんとなく聞いて1時間が過ぎる。

 購買でパンを買ってお昼を食べ、残りの昼休憩は校庭のベンチで寝て過ごす。

 部活もしていないので、授業が終わったらそそくさと帰路につく。

 家に帰っても特にやることがないので、自然にゲームの電源ボタンに手が伸びる

 

 そして、眠くなるまでゲームをして、いつの間にか寝ている。


 そういう生活を送っている。


 家に帰り、なんとなくいつもやっているゲームの電源を入れる。

 カチカチカチ、と部屋にはコントローラーの音と、ゲーム音声だけが響く。



 これが毎日、毎日だ。


 特に変わることもない。刺激もない。

 

 刺激がほしいか?と言われると、この生活に満足しているので、特にいらない。


 俺はこれからもずっとこんなかんじで過ごして、大人になって、特に他人とかかわらずに過ごして


「老いて死んでいくんだろうな……」


 本当に俺は何もなく、このまま死んでいっていいのか……


 なにか"俺"にできることはないのか


「わかんねえな」

 いままでそうやって生きてきたのだ。急に何かが変わるなんてことは無いだろう。

 

 ゲーム画面では「nice kill」と書かれて勝利をしていた


「こんなので勝ってもなあ・・・」


 はぁ……と大きくため息をついていると、テレビの音声からなにか声が聞こえてきた


「あ、やべ、ヘッドセットつけてままだった」


 対人ゲームでは、状況報告などで音声通話をしながらやるのが多い。

 先程の対戦で、俺は圧勝したので、相手チームの暴言かなにかだろう、と思った。



『おいこら!てめーなんなんだよ!マジ意味わかんねえよ!』

 

 ほらほら、お得意の暴言厨ってやつだ・・・


『なんだんだよお前!うわあああああん!!!もう本当に嫌い!マジ無理!』


 ああ、これは結構キてるな


『お前中学生だろ!中学生!なめたことばっか言ってんなよ!ほんとこの野郎!』


 いやまあ高校生なんだけどね……


『お前なんかあれだ!恥ずかしい中二病ノートとかもってんだろ!くそだっせーんだよ!まじないわーーーないわーwww自分がむちゃくちゃかっこよく描いてたりするんだろ!?なあ!?』


「うっさいわ!!!!」


 俺はヘッドセットの接続を抜いた。

 

 普段そんなにモノに当たったりしないのだが……ある言葉で頭に血がのぼった。


「中二病……ノート」

 

 忘れようとしていたものを、思い出してしまった。

 そう、中二の時、俺は漫画家になるやの、ゲームのシナリオライターになる!だの言って、ノートに設定等書いていたのだ。

 

「……あれ、どこ置いたかな」


おもむろに部屋のノート類に混じっていないか確認する。


20分くらい探していたら、机の引き出しの奥の方から、茶色い封筒が出てきた。


「これは……」


その封筒には「封印 魔導書」と書かれていた


「これじゃん……」


はあ、とため息をもらし、封筒の中身を見る。

そこには、大学ノートが入っていて、油性マジックで魔法陣や剣、ドラゴンの絵がごちゃごちゃと書かれていた。


「うわ、懐かしい……」


ペラッと中をみると、1Pに自分の名前のキャラクターが出てきた。


【ヒトシ】

剣士 21歳 勇者の末裔 最強の勇者

5人の妻がいる 炎の魔法が得意

いろんな武器を使用することができる

めちゃくちゃつよい




「……」

おそるおそるページをめくっていくと、なんとも幼稚な絵と、頭の悪そうな内容のキャラクター紹介がたくさん書いていた。


「やばすぎだろ……」


 意外に設定は事細かく書かれているな、と感じた。感心はしたが、なかなか精神的にダメージがくる。

恥ずかしい。とても恥ずかしい。


 きょうは大きいため息がでる日だ……


 俺はそのノートを手にもち、さっとカバンの中に入れた。


「よしっ」



     「ノート焼きに行こう!」



俺は家を出て、自転車にまたがり、山の方へ走っていった。


顔が熱かった、汗がいっぱいでている、呼吸があらいのはきっと自転車で爆走しているからだ。

けしてあのノートのせいではない。


「あああああああああああ」


あの忌まわしきノートを封印するため、俺は焼却炉に向かっていた。

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