倉庫との出会い
初めまして 作者の mineral.oil.T です。
この度は私が書いた小説に興味を持っていただき誠にありがとうございます。
人生初の小説執筆ですので色々と難ありのものに仕上がると思いますが、生暖かい目で見守ってください。
なお、主人公の過去や設定は私自身の実体験を元にしています。後々書く予定の主人公の過去回想編ではかなりエグ味のある展開が予想されますので、その点だけはご注意ください。(R15の理由)
2018年 春
おれは古い倉庫の前に立っていた。
場所は神戸の下町。
最寄り駅はJR元町駅だが周辺におしゃれな店屋はほとんど見かけない。
どこにでもあるただの下町である。
重く錆ついた黒い門を自分がぎりぎり通れるだけ開き、おれは門の内側に入った。ふと倉庫を見上げた。倉庫は薄緑色の塗料が所々剥げ、下地の鉄が赤錆となって顔を覗かせていた。
「こりゃボロいもんもらっちゃったなぁ。」
と今朝おれにいつも見せる笑顔で倉庫の鍵を手渡してきた先輩に文句を言いつつ、
ここが次の新天地なのか、と頭の中で呟いた。
高校を卒業してすぐ、おれは高校在学中に取ったフィナンシャルプランナーの資格を使い、自らが経営する会社を設立した。
設立後およそ一年は友人や先輩のおかげで上手く立ち回れていたが、去年の春頃には加速度的に広がっていく交友関係に悩まされ始めていた。
相手を陥れようと目論む者もいたし、何かしようにも足を引っ張り合い低次元な争いに無理やり組み入れられることもあった。
だが、これだけではこの仕事を辞めるに至らなかっただろう。
あのお互いに信じあっていたはずの友人の裏切りさえなければ、、、。
あの日見たかつて友人だった男の冷たく蔑んだ目が脳裏に浮かんだ。