時と霧の軌跡――AIを超える少年と時空を越えた少女たち

　仮想世界が一人の科学者によって生み出されてから３０年が経過した西暦２０５６年、人類は人工知能システムによって統治されていた。仮想小学校６年の雅也は同じクラスの物理学の天才、玲に「他の生徒は実在しない」と言われ驚く。仮想の世界で「友人」として自分達と混在する無人ホログラム（ホロ）の存在意義に疑問を抱く中、現実世界で出会った博士と孫娘、真奈美（生物学）にシステムの欠陥のせいで人類が滅亡の危機に瀕していると聞かされた二人は、その謎を解くため他の天才少年少女、霞（地学）、良助（化学）、涼音（物理学）と共にタイムマシンの開発に取り組むことに。ところがその研究の途中、原因不明の爆発に巻き込まれた博士が行方不明になってしまう。

　何者かによる妨害を受けながら博士から残された手掛かりから大地震の予兆を察知した六人は、停止していた地震予知システムを再起動し、世界を救うが、同時に自分たちの「人格情報」を元に作られたホログラムが知らないところで活動していることが判明。人類に告知されないまま『リアルホロ・プラン（人類置換計画）』が動き出していた。

　ホログラムに存在を置き換えられて人類が滅亡するまであと二年に迫る中、涼音は生き残りをかけ、その二年間を逆算するプロジェクト『時をつなぐ演算』を開始する。その時雅也は人工知能の矛盾から博士が「人類を救うため仮想タイムマシンによって送り込まれた来訪者（未来の人工知能）」であり、現代が「『別の来訪者』によって繰り返し『修正』されている」ことに気づいた。ところがその夜、真奈美が突如消滅する。これまで自分達と一緒にいた彼女こそがリアルホロ（新人類）だったのだ。

　同時刻、別の来訪者を追っていた霞は不死身の体を持つリアルホロとの壮絶な戦いの末、瀕死の重傷を負うが、その時自分を救ったホロが真奈美の『分身』だったことに気づき、彼女が生きている事実を雅也に告げる。記憶を失った過去を持つ良助に諭され、病室で眠る真奈美の元に向かう雅也。仮想の世界に生きる真奈美に雅也の想いが伝わり彼女は目覚める。時空の謎を解き明かした六人は、システムに人類代表としてメッセージを送ることで、人類置換計画とタイムリープを封印し、再び人類を救った。

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