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6話 『人は外見じゃなく中身で決まる』

「なんでアルパカ?」

「見てユキト! すっごくモフモフで気持ち良いわよ! 幸せ〜」


 ミエラがアルパカに抱き着いて離れない。

 心なしかアルパカの息が荒くなっている。


「おいミエラ。気を付けろよ? アルパカは刺激されるとツバを」

「ペッ」

「いやああああああああ!!!」


 アルパカの発射したツバが、ミエラの顔面にジャストミート。

 アルパカの唾液は胃で消化しかけの物も混ざっていて、とにかく臭い。

 

「うっううっ……臭いよぉ……ちょっとモフモフしてただけなのにぃ……ユキト……ってちょっと逃げないでよ! お願いだから待って! ユキトさん、ユキト様ぁぁぁ!」

「こっちに来るな! とりあえず池に入って匂い落としてこい!」


 背後からかなりの勢いで追ってくる。

 なんであいつこんな足早いんだよ!


「やっと捕まえた! どうして逃げるのよぉ! 急にツバかけられて怖かったんだからぁ!」

「バカ俺に抱き着くな! 臭いが、ツバの臭いが付く! お前鼻水も出てんじゃねえか! 俺の服に擦り付けるなああ!」


 胸に顔を埋め泣きじゃくるミエラ。

 お気に入りのパーカーにアルパカのツバとミエラの鼻水が。

 これ洗濯しても絶対ムリだよなぁ……


「よっお二人さん! 真昼間からお熱いねえ!」

「お前後で覚えとけよ」

「ちょっとからかっただけじゃないですか! そんな事よりアルパカどっか行っちゃったけど良いの?」


 言われて周りを見ると確かにアルパカは消えていた。


「別に良いだろ。ってかアルパカって森に棲む生き物だっけ?」

「動物園に住んでのよ! そのくらいも知らないの? やっぱりユキトはおこちゃまね! って痛い!」


 泣き止んだミエラがまたバカな事を言ってたからチョップをくらわす。



=====================================



「いや〜にしてもギルドも太っ腹ね! 成功報酬三倍出してくれるなんて! これも全て私の魔法のおかげよ! 感謝しなさい!」


 水の入ったコップを片手にそんなことを言うミエラ。

 酒だとすぐ酔うからって事で水にさせたが、凄くうるさい。

 やっぱ酒にしとけば良かったな。


「にしてもなかなか似合ってるじゃないその服! 前に着てた服よりは百倍センスあるわ! 私のアドバイスのおかげね! 痛い!」

「お前は店員さんに聞いたのをそのまま言ってただけだろ。てかお前、討伐の時と服同じって事は着替えてないのか? 流石に不潔すぎるぞ。二度と俺に近づくなよ」

「ち、違うわよ! 私の持ってる服は全部同じやつなのよ!」


 ホントにそうなのか? 心なしか臭いぞ?

 そもそも思春期の女子が一種類の服しか持ってないってどうなんだよ。


「にしてもあのアルパカは何だったんだろうね。確か動物園は王都にしか無いはずだけど、そこから逃げ出して遥々ここまで来たって事?」

「もうアルパカの話はしないで! 思い出したくもないわ! あの忌々しいアル」

「ペッ」

「いやあああああああああああああ!!!」


 ミエラの顔面にどこからともなくツバが。


「ユキト……後ろ……」


 ウリルが俺の背後を指さす。


「後ろ?」


 振り返ると目前にアルパカの顔が。


「うおおおおお!? なんでここにアルパカが居んだよ!! 衛兵、衛兵さあああん!!」

「あの」

「へ?」


 三人は声のした方を向がアルパカしか居ない。

 気のせいか?


「さっきは助けてくれてありがとうございました」

「「「アルパカがしゃべった?!」」」

「いえ、アルパカではありません」


 そう言うとアルパカは二足立ちし、前足で器用に忍者のよくやるアレをした。

 するとアルパカの全身が煙で包まれ、中から美少女が。

 可愛い! 超俺好みの黒髪ロングな純情美女だ! 同じタイプの受け付け嬢より数倍は綺麗で笑顔が可愛い!


「私はハーフビーストのレイクです。さっきは命を救ってくれて本当にありがとうございました。ホントはその場で言いたかったけど走って行っちゃったので」

「ハーフビーストって確か獣人と人間の間にできる子供で、外見は人間だけど変身することで身体能力が格段に上がるってやつだっけ? 初めて見たよ」

「はい、その通りです。実は今回お願いがあって来ました。私をあなた達のパーティーに入れて欲しいんです! 冒険者になったはいいもののなかなかパーティーに入れてくれるとこがなくて、しかたなく一人で池を探索していたらお腹を空かせたヌシに食べられました。今回こうやって巡り合えたのも何かの縁だと思うんです! だから私をパーティーに入れてくれませんか? お願いします!」


 そんなの入れるに決まってんだろ! こんなに可愛いのにパーティーに入れないなんて、なんてバカな連中なんだ!


「もちろんだ。俺の名前はユキト。よろしくな」

「僕の名前はウリル! よろしくね!」


 これで俺の異世界生活が一気にバラ色になることは間違いない! 今いる二人は女とは名ばかりのゴミどもだがレイクは違う! 心美しき美少女だ!


「ちょっと待ったああああ!!!」


 ミエラがレイクの前に急いで立つ。


「私はゼッッッタイ反対よ!!」

「なんでだよ。お前仲間欲しがってたじゃんか。良かったじゃん」

「それとこれとは話が別よ! 人の顔に向かってツバを吐くようなやつとは仲間になんてなれ」

「ペッ」

「いやあああああ!!!」


 レイクの口から発射されたツバがミエラの右目に。

 え、人間の状態でもツバ吐くの?!

 笑顔でミエラに近づく。


「あの〜悪いんですけどもう決まった事なんで〜。これからよろしくお願いしますね〜? ミエラさん」


 あれ? ちょっと待って。

 俺の想像してたのとなんか違う。

 この子もしかして


「じゃあ、今日はもう遅いので帰りましょう。私、宿無いので泊めて下さいね。もしベッド足りないならミエラさんは床で寝て下さい」


 めっちゃ腹黒いんだけどおおおお!!


「ふざけないでよ!! なんで家主の私が床に寝なきゃいけないのよ!! てかそもそもなんで私にだけツバかけんのよ! ユキトやウリルにもかけなさいよ!」

「ユキトさんは私のヒーローだからそんな事できません。ハーフビーストは獣人族譲りで凄く耳が良いんです。だからヌシのお腹にいる間、外の会話全部聞こえてました。ユキトさんは私のために命をかけて助けてくれましたよね。でもミエラさんは何してましたっけ? 『一発デカいのかましてやって』と叫ぶだけで、何もしてくれなかったでしょ? ウリルさんも同様です。だから私二人にはツバを吐くので、そのつもりで。もちろんユキトさんには何もしません!」

「え、僕もタゲされてるの? ちょっとキツイんだけど」


 何この子。

 俺は大丈夫みたいだけどなんか怖い。


「なあレイク。ツバ吐くのってやめられないのか?」

「アルパカの習性だから仕方ないんです。イラってするとつい癖でやっちゃいます。テヘペロリータ」


 なんだよそれ! 変身してなかったらただただ態度の悪いやつじゃねえか!

 でもまあハーフビーストならいろんな獣に化けれるんだよな。ならかなりの戦力になるぞ!


「気になったんだけど、お前って他には何になれるの?」

「アルパカです」

「いやだから他には何に」

「アルパカです」


 え? もしかしてこいつアルパカにしかなれないの?!


「君ってアルパカにしかなれないの? たしかハーフビーストは何でも化けれるって言ってたけど。君もしかして落ちこぼ」

「カァーぺッ」

「目がああああああ」


 うわ〜今のはエグい。おばちゃんたちがよくやるやつだ。


「私は産まれた時からアルパカの体にしか適応力がなかったんです。だから入れてくれたパーティーは一日かそこらですぐに私を追い出しました」

「もしかしてだけど前居たパーティーでもツバ吐きしてたのか?」

「ええ、もちろんです。」

「たぶんお前が追い出されてたの、アルパカとかじゃなくてお前の性格の問題だろ! ツバ吐きかけてたらパーティーから外されるのは当たり前だ!」


 やっぱりこいつ入れない方がいい気がする。


「私、仲間が欲しいんです……ダメですか……?」


 ううっ! その顔をされると断れない!


「わかったわよ! 入れてあげるわよ! 入れてあげればいいんでしょ!」

「あれ? 意外です。ミエラさんは一番私の事嫌ってると思ってました」

「こいつも同じで仲間欲しくて悩んでたみたいだからな。そう言われると断れないんだろ」

「ユキトは黙ってて!」

「まあなんにせよ新しい仲間ができたのは良いことだよ。せっかくだし乾杯しよう!」


 ツバを拭き終えたウリルがジョッキを俺達に渡す。

 いつのまにかレイクの分も頼んでいた。

 まあ、今更パーティーに一人変なのが入っても正直変わらないからなあ。

 あれ? もう俺、異世界生活の王道行くの諦めちゃったの?


「レイク、これからよろしくね!」

「はい! 頑張ります!」

「よしそれじゃあ」


 まあ、どうにかなるか。


「「「「乾杯!!!」」」」

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