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明晰夢?
ゆっくりしていってください!
その夜、雅美は夢をみた。
ただの夢ではなく、明晰夢を。
『…~♪』
真っ白な夢の中、奥で誰かが歌っている。
聞くところ…多分、雅美より少し上の男性だろうか。
力強く、美しい歌声。
雅美は、吸い寄せられるように歌声の元へ駆けていった。
奥へ奥へと走り、見つけた姿は、想像もしていなかった姿。
「…龍人?!」
その人は、否、人というのは違うだろうか。
体ほどある翼、身長ぐらいありそうな尻尾、ひときわ異彩を放つ後頭部の角。
紛れもなく、龍人だろう。
「…うん、そう。僕、龍人。」
予想は的中。狼狽えていると、
「サヨナラ、また後で…」
そう言い残し、煙のように消えてしまった。
そこで雅美の意識は途絶えた。