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始まり
ジリリリリリ
「今日も学校か…嫌だな。」
目覚ましを叩いて、少女は憂鬱そうに呟く。
深い藍色の髪をくしで解きながら、ため息をつく。
スマホのデジタルクロックが示すのは
6月27日AM7:21。
銀毛の飼い猫、タマを撫でながら、少女の名が呼ばれた。
「雅美ー‼朝ご飯できてるわよー‼」
彼女の名は在亜 雅美。片目が盲目の、高校二年生。
彼女は物静かな性格で、仕事などを無理やり押し付けられても断れない様な人だった。
盲目は、理科の課題の薬品実験を押し付けられて、失ったもの。
いじめにもあったことがあり、親以外信用できない所謂“人間不信“だった。
学校などの人間が多くいる場所を嫌い、学級内でも孤立していた。
下の階にかけ降りる。
早めに朝食を済ませて、鞄を手に持つ。
「行ってきます…」
冴えない声で、そう言うと重い足取りで学校に向かう。
門をくぐり、階段を上って、教室『2-B』に足を踏み入れる。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
また、憂鬱な1日が始まる。