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Episode52 優姫の暴走

サブタイトル浮かばなかった、なんて。

今回はサービス回です、夜に書いたからでしょうか……

 青葉と別れた後、へとへとの状態で家に帰りついた俺は真っ赤になっていた。


「どうしたの、洵ちゃん?」

「ゆ、優姫さん、あ、あのっ!」


 どうなっているかを、とても分かりやすく言うならば……抱き締められていて、今俺の顔は優姫さんの服からも溢れんばかりの胸にうずまっている。

 言わなくても分かるだろう、俺の心臓は早鐘を打っている。


「だから、どうしたの?」

「ちょ、そのっ……むぐぅ」


 優姫さんの豊満で柔らかな胸の弾力はもはや苦しい。なんだか甘い香りがして……鼓動を感じて、余計にドキドキする。

 恥ずかしいし、でも嬉しいといえば嬉しいからこそ……俺は困っていた。

 というか離れようにも離してくれないのが現状である。


「照れなくてもいいんだから~」

「ぐむ……いや、そうじゃないですから!」

「じゃあ何?」

「ゆ、優姫さん、早く離してくださいっ」


 このままでは色々と持たない。というかこの人は恥じらいとかはないのか、それとも俺のことを子供扱いしているのか……どちらにせよ、汗もかいているのだから早く離して欲しい。


「むう……洵ちゃん可愛いのにな~」


 なんて言いながらも、やっと優姫さんは抱擁を解いてくれる。

 ちなみに、優姫さんは玄関先で待ち構えていたようで、俺が帰ってくるやいなや飛び込んできたのだ。


「はぁ……」


 そりゃ、ため息だってつくよ。この人はもう良くわからないな。


「ため息なんて……どうしたの? 洵ちゃん?」


 首を傾げて尋ねてくる優姫さんを見て、俺は更にため息を漏らす。

 仮に本気で言っているのなら恐ろしいことこの上ない。


「……自分の胸に聞いてください」


 俺はそれだけ伝えて、少しでも気を紛らわせようと風呂場へと行く。

 もちろん、ただ来たわけではない。真夏の昼過ぎくらいまでずっと歩き続けていたのだから、汗はそりゃあもうたくさんかいている。

 そうなればもちろんシャワーに浴びるわけだ。

 ささっといつも通りに衣服と下着を脱いで洗濯カゴへと放り込む。

 そしてお風呂へと入り、冷たくしたシャワーを頭から浴びる。火照っていた体にはとても気持ちよくて、さっきの事で跳ねていた鼓動も少しずつ収まっていく。


「ったく、優姫さんはおかしい……」


 つい、素直な感想が口からこぼれる。

 そういえば、優姫さんにまだ話していない事を思い出した。

 早めに決めようと弥生と話していたのに、すっかり忘れていた。というか俺は悪くないよな。あんなことする方がおかしいんだよ。


 ささっと体と頭を洗い、シャワーから出てバスタオルで水気を取っていく。

 そして俺はふと前を向いて……今起きている状況を把握し……さっきの呟いた言葉に訂正を加えようと思った。


 ――優姫さんは、絶対に(・・・)おかしいと。


 体を拭いている俺の目の前には、あろうことか服を脱いでいる優姫さんがいた。黒いシックな下着が優姫さんの抜群のスタイルをさらに強調していて、特に胸元に目が吸い寄せられる……って落ち着け、俺。

 煩悩を払おうと壁に頭を打ち付ける。少し痛いがそれで落ち着けるなら構わない。


「あら、思ったより早かったのね。せっかくだから背中でも流そうかな、なんて思ってたのに……」

「なんでそうなるんですか!?」


 この人の頭のネジはずれてるんじゃないか、そう疑いたくなってきた。


「んー……まあいっか、じゃあ入るね」

「え、えっと、はい……」


 ん? さりげなくスルーされた気がする。

 目を丸くしている俺をものともせず、真横を全裸姿で優姫さんは通り過ぎていく。

 大丈夫、俺は何も見ていないぞ。ああ、ほんのりピンクの……って、落ち着け俺!

 ガンガン、と半ばやけで頭の中で渦巻く煩悩を払い除けようと頭を強く打ち付ける。

 すごく痛いがこれも煩悩を払うため、なんとも合理的じゃないか。

 少し赤くなった頭を手でさすりながらも……あ、服とか忘れた。


「……あれ? 持ってきてくれたのかな」


 丁寧にたたんである下着がすぐそばにある洗濯機の上に置かれていた。

 ……いや、気遣いは嬉しいのだけど、人の下着を勝手に持ってこられるのは複雑でございますよ? 従姉といえど。

 とは思いつつも体を拭き終え、下着を身に付け服を取りに足早に俺の部屋がある二回へと向かった。



 それからだいぶ落ち着いた俺は髪を乾かした後、充電切れを起こしているスマホに充電器を挿し込んで電源を点けた。


 「……やっぱ来てたか」


 思っていた通り、弥生からの連絡が来ていた。

 昨日話し合った時に『昼までには終わるはず』なんて言っていたのに、もう時計は二時を指していた。まあ昼といえば昼なのだが……二人の解釈の昼は正午だった。

 弥生からの連絡が12:05に来ているあたり、間違いはない。それにしても通知の数がとてつもない事になっている……。

 開いてみると、弥生からは三件ほどなのだが……問題は残り二人。

 もちろん、弥生には謝罪と後で優姫さんに確認を取って報告などをするつもりだ。


 さて、残り二人はどうしようか。

 俺と海斗と園田による百合ブラについて語るグループが、もはや炎上なのではないかと言いたいほどに荒ぶっていた。999でカンストしているんだもん、あいつらバカだろ。

 恐る恐る開いてみれば……もはや意味不明。最初の方はまだ理解できるのだが、途中から用語のオンパレードを迎えて、さらにしまいには持ちキャラへの愛を語り始めている。詳しく読む気もしないので途中で閉じてログを消した。

 ついでに海斗は優姫さん来るなら参加するとのことで、優姫さんの確認が取れ次第、俺から連絡をすることになっている。


 ……もう流石にあがってるよな、きっと。

 俺は充電器が挿さっているスマホをそっとベッドの上に置いて、優姫さんに会おうと部屋を出る。

 ふと浮かんでくるのは……さっきの光景。優姫さんの大人らしい体つきにあの爆発的なスタイルに……ああもう、落ち着けよ、俺!

 三回目となる頭打ち付けをして、少し落ち着いた俺はリビングへ行く。


 ……もう驚かないからな。

 俺の前にいる従姉が無防備この上ないバスタオル一枚なんて格好であろうと。

 まあ、この姿は前にも見たしまだマシではある。やはりタオル越しでも破壊力は高いと言っておくけど。


 「優姫さん」

 「なに?」


 特に変わったことがないかのような雰囲気すら感じさせる優姫さん。


 「今度、軽井沢行くんですけど……もしよけれ――」

 「うん、行く行く~。どうせ暇してるからね」


 俺が言い切る前にあっさりと割り込んで答える。

 ……なんだか少し不安になってきた。

 何はともあれ、これで本来の目的は達成にぐっと近くなったはずだ。

 テレビを食い入るように見つめている優姫さんは放っておく事にして部屋へと戻る。

 さっきよりかは少し充電されたスマホを点けて海斗へと報告をする。

 するとものすごいスピードで返事がかえってくる。海斗はこういう時はとても早いんだよなぁ。

『それならば行こうではないか』などと言ってくるので『来なくてもいいけど』と返しておいた。すぐさま『お願いします、土下座でも何でもします、本当にお願いします』と来た。バカめ……なんか海斗が泣き叫びながら言ってる姿が頭に浮かんできて少し嫌になった。


 そして弥生へと報告をする。みんな時間は余っているようだから特に問題はないと添えておいた。

 ひと仕事を終えて……やはり疲れているのか、急に睡魔が押し寄せてきた。そのまま俺は睡魔に身を任せて眠りにつくのだった。

お読みくださり、ありがとうございました。


ついに次から旅行です。旅行先の軽井沢では色んなことが……?


次回も読んでいただけたら、これに勝るものはありません。

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