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どういうワケか、冴えない俺はお嬢様と付き合う事になりました。  作者: 月見里 月奏
第一章 どういうワケか、たくさんの出逢い
4/110

Episode4 バカ、そして小鳥

四つ目です。キャラ追加、執事須田についても少し。


◆が用いられている場合は視点変更になります。

主に一人称、三人称の場合もあります。

ご留意して読んでいただけると助かります。

 今は学校、俺は廊下にいる……弥生と。

 聞いてみたら、本人曰く「一緒にいる方がそれっぽい」から。

 無茶苦茶だよ、もう。普通はそこまではしないだろうに。さっきからひそひそ話が聞こえるよ……。

 あいにく言い返すほどの自信が俺にはないせいでこうやってほぼ言われるがままになっていたりする。なにしろ俺は恋愛の面で言うならばド素人。

 そんな俺が意見なんて出来るはずもなかった。


「何か浮かない顔してるわね」


 弥生が、どうかしたの? と聞いてくる。

 いや、お前のせいだ、バーカ。

 なーんて口が裂けてもいえないし。言ったら口どころか体が裂ける羽目にあうかもしれない。


「色々ありすぎて困ってる」

「そう……」

「おい!」

「……ん? げっ……」


 急に声をかけてきたのは、俺の知り合いで同級生の皐海斗さつき かいと

 黒髪無造作、小太りにメガネ、言うまでもなく冴えない部類の人間である。俺の方がマシだ、きっと。

 こいつは勝手に俺を「非リア充の会」なるものに巻き込んだバカ野郎。


「何故! 非リア充の会の一員かつ、副会長であるお前が! 学校内でもトップクラスに可愛い女の子と一緒にいるんだああああああああ!」


 などと海斗は周りに人がいるのも意に介さず喚き始める。

 ……これは面倒な事になった。

 ついでに副会長なんてのはこのバカが勝手に決めたものだ。


「第一に……俺はそんなものに入るなんて言ってないだろ」

「強制に決まってるだろ★」


 ビシっとポーズを決めて言い放つ。

 いやいや、何で強制なんですか、理不尽でしょ。

 それと決めポーズは必要ありません。


「はぁ……バカに付き合うのも面倒だし、さっさと行きましょ、洵」


 弥生はため息をついて面倒くさそうにしている。正直言って俺も面倒くさい。なんでこんなのと友人なんだろう。

 廊下中に響きわたる無駄にでかい声のせいで教室からなんだなんだと、人が集まってくる。


「洵だと!? 名前で……お前なんかもう知らねえーーーーー!!」


 って言って泣きながら廊下を走っていくバカ。

 群がっていた人達を払い除けながら彼は走っていった。

 余談だが、奴は「非リア充の会」の創設者であり、会長である。確かに会長らしい……のかもしれない。


「そろそろ時間ね。じゃ、また」

「お、おう」


 休み時間の終わりと授業の始まりを同時に告げるチャイムがなり始める頃、バカみたいな騒動に集まっていた人達は急いで教室に戻り、また俺たちも自分たちの教室へ戻ったのだった。

 余談だが、あのバカはトイレですすり泣いてていたために授業に遅れた。バカの鏡だな、会長。



  ◆


 放課後。

 空には陽が出ていて明るく、さらに辺りをじわじわと暑くしていた。

 次々と帰宅部の生徒や、部活があろうと堂々とサボっている生徒などが家路を歩いている。

 そんな中、校門の辺りで佇む二人がいる。

 二人はどちらも目を見張るほどの美しさを持っていた。

 それ故、男子はもちろん、女子すらも思わず凝視してしまうほどだった。


「お嬢様」

「何?」

「あの男とはどういうご関係で?」

「言ったじゃない、付き合ってるって」

「どういう風の吹き回しですか、お嬢様はそんな……」

「……来たわ、黙って」

「……はい」


 前方からやってくる人。正直言ってそんな絵になるような感じではない。それが洵だ。

 来るのはもちろん「付き合ってるんだから一緒に帰るくらい普通」という理由で呼んだからだ。

 呼んだのだから来るに決まっている。来なければ色々策もあるからさほど気にはしていなかった。

 ごめん、と言った感じで軽く頭を下げながら洵がやってくる。


「遅い」

「仕方ないだろ、あのバカから逃げてきたんだよ。リア充は許さん、リア充は爆発しろ、とか言われて。しまいには箒を振り回すしさぁ」


 危ないったらありゃしない、という感じで洵はため息をついた。


「……早く行きましょ、また来るんでしょ」

「ああ、俺を探してアレは学校中を捜索してる」

「面倒ね……須田」

「はい」

「あのバカをどうにかしてきて、手段は選ばないから」

「はい……了解しました」


 執事は深々と頭を下げ、颯爽と学校の中へと去っていく。


「ええ!? 選ばないの!?」

「大丈夫なのか……?」

「アレでも割と仕事ができるのよ?」


 それは主人である弥生が一番分かっている事だ。たまにこういった一面もある事も。


「っていうか何で女なんだ? 執事は男ってイメージがあるんだけど」

「……男よ、あれ」

「え……」


 洵はぴたっと凍ったかのように固まる。仕方ないとは思うが。


「女装が趣味らしいわ、あのバカは……一体どこで間違えたのかしら……」

「なかなか変わり者だな」

「まあ……それはいいから。さっさと行きましょ?」

「ああ、そうだな」


 校門を抜けて、洵と二人で外を歩く。

 音楽室の辺りが騒がしかったのは多分、須田があのバカと争っているに違いない。

 窓から聞こえる机や椅子などが倒れる音や生々しい悲鳴を背中に二人は歩いていった。



  ◆


 弥生と二人の帰り道。幸い、梅雨入りしたと言われているが雨が降ることもなければ晴れ間が見える空だった。


「なーんか暇ね」


 俺の隣で弥生が本当に暇そうにつぶやく。

 そんな姿すら可愛いのが美少女というものだ。


「……確かにそうだな」

「こう、何と言うか……地球が七周半するくらいのビッグニュースとか無いかしら」


 そんなに大きなニュースがあってたまるか。光速ほどのニュースとは意味が分からない。


「……あれ、なんだ?」

「え?」


 俺は驚いてただ、空を指さした。

 弥生も合わせて俺が指差した方を向く。


「え……」


 それは言葉を失うほどに驚愕の映像だった。

 人が空を飛んでいる。俺の目が確かなら。弥生も呆気に取られている辺り、夢ではなさそうだった。

 スカイダイビングかとも思ったが、落ちてるわけではなく、同じくらいの高さで平然と浮いているようだ。そうでなければ、ヘリコプターなどで吊られているという訳でもなさそうだった。

 そしてもう一つ、引っ掛かることがあった。


「……羽が無いか?」

「ええ……よく見えるわ、白い羽が」


 その人(?)には白い羽がついていた。コスプレかと思いきや、その羽で飛んでいるという感じに見える。

 どうやらその飛行物体はそのまま北の方向へ向かっているようだ。


「……とりあえず追いかけてみる」

「わ、私もっ」


 俺たちはその空を飛ぶ人を走って追いかけるが、一向に距離は縮まらない。

 思ってた以上に速いのだ。

 もし、これが本当なら七周半、いや八周はするほどだろう。

 俺たち二人は好奇心にひかれ、その飛行する人を追いかけていった。

いかがでしたでしょうか。

自分でもカオスだなぁ、なんて思ったりします。


お読みいただいてありがとうございました。

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