●番外編 しょうが入りミントのティザン ゆず風味
「こんばんは、紅さぁ~ん……は、はくしゅんっ!」
「あれ、風邪ですか、ティラミスさん」
「う~、会社でもらっちゃったみたい……なんか、ゾクゾクする」
「じゃあ、温かいお茶を差し上げますね。ペパーミントは大丈夫でしょうか?」
「ミント? 前に飲んだことあるけど、歯みがき飲んでるみたいでちょっと……」
「それなら、飲みやすくしてあげますね。殺菌力が高いんですよ、ペパーミントやスペアミントといった、シソ科の植物」
「ふう~ん……」
「はい、できました。どうぞ」
「これ何?」
「すりおろしショウガと、ゆず茶を入れました。甘くしてあるから、飲みやすいですよ」
「えっと、じゃあ、いただきま~す……。
あれ? ミントなの、これ?」
「はい」
「え、飲みやすい。前に飲んだのと違う。これなら飲める~!」
「ゆず茶で、味が丸くなるんですよ。ビタミンCも取れますし」
「うん、美味しい! 家でもやろうっと。レシピ教えて!」
「まず普通にペパーミントのお茶を、ポットで入れて」
「うんうん」
「紅茶と同じように、三分むらして下さい。有効成分がしっかり出るように」
「はーい」
「カップにゆず茶とすりおろしショウガを、ひとさじずつ入れておいて、注ぐだけです」
「おー! なんだかオシャレな感じ。ティーバッグの時はどうするの?」
「ティーバッグはポットなら二つ。時間は同じぐらい。カップで直接つくる場合は、カップひとつにつき、ティーバッグ一つ。紅茶と同じですね」
「うん」
「カップにティーバッグを入れて、湯を注いで。お皿で蓋をして、三分。ティーバッグを取り除いてから、ショウガとゆず茶を入れて下さい」
「ちょっと面倒~。急須で入れちゃった方が楽かなあ」
「蓋をしておいた方が、有効成分が逃げませんから。急須でも大丈夫ですよ」
「そっか! あ、なんだか体がぽかぽかしてきた」
「ショウガの効果ですね。ミントもそうですが、ショウガにも殺菌作用はあります。吐き気も止めますし」
「へえ~……」
「これ、風邪の季節には強力な予防ドリンクなんですよ。甘いのが好きな方は、ゆず茶を多くしています。反対に、甘すぎると感じる方は、マーマレードのような、苦味のある柑橘系のジャムを入れていますね」
「あたしはゆず茶が良いなあ♪」
「では、今日は家に帰って早目におやすみ下さい。体を冷やさないように」
「は~い……紅さんって、いつも思うんだけど」
「はい?」
「おばあちゃんみたい」
「実は愛読書が、『おばあちゃんの知恵袋』と『暮らしの手帳』です」
* * *
紅さんの愛読書、発覚。
ミント+ショウガ+ゆず茶は、ノロウイルス予防にも有効。かかっても、軽い症状で済みます。
ハーブティー(ハーバルティー)という言葉は本来、紅茶や緑茶の、「ティー」と呼べるものが入っている、つまり、紅茶にハーブを混ぜたタイプのお茶を指します。
薬草のみのお茶は、ティザンと呼ばれていました。
日本ではどっちも、ハーブティーと呼んでいるみたいですが。わたしはあえて、ハーブのみのお茶は、ティザンと呼びます。