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魔法小路のただの茶屋  作者: ゆずはらしの
2.騎士がやって来た日。
59/79

●番外編 梅醤番茶(うめしょうばんちゃ)

※ティラミスさんとサー・ウィルフレッドがお店の常連になったころの話。時系列的には未来です。


「紅さぁ~ん、なにか、あったかいものあります……?」


「あれ、調子悪そうですね、ティラミスさん」


「ずーっと暑かったから、冷たいものばっかり飲んでたの。そしたら、お腹が痛くなっちゃって……」


「ああ、……じゃあ、カフェインのないのが良いでしょうね。刺激が少ない方が、体には優しいですから。梅醤番茶はどうですか」


「梅……?」


「つぶした梅干しを入れた番茶です。番茶は、カフェインがほとんどないんですよ」


「おねがいします~……」


「ちょっと待っていて下さいね。お湯をわかします。ええと……あとは。ああ、あった」



 ことり。



「湯飲み……? って、え、なにこれ……『男前』?」



 湯飲みには大きく、『男前』と書いてある。



「おばばさまからの、いただきものです」


「おばばさま……どこからこんな湯飲みを」


「漢字がわからない方には、神秘的な模様に見えるみたいで好評ですよ」


「えっ、紅さん、外人さんにこの湯飲み出してるの!?」


「こういうのもありますね」



 ことり。



「『浪花節だよ人生は』って、これも!?」


「サー・ウィルにこれで飲み物をお出ししたら、喜んでおいででした」


「サー・ウィルに!? え、あの人確か、漢字読めない……なんて説明したの!?」


「辛いことが多い人生でも、人と人とのつながりを忘れてはいけないという意味だと」


「なんだかすご~く良い意味に聞こえるけど、日本語のわかる人には、軽くギャグなんですけど」


「これもありますよ」



 ことり。



「『男はつらいよ』……」


「おばばさまは、あの映画がお好きで」


「それでこの湯呑みのラインナップ? まあ、あたしも寅さんは嫌いじゃないけどさあ……」



 しゅんしゅん、と湯が沸く。



「もう少し待っていて下さいね。梅干しをつぶして……」


「は~い。あ、なんだか口の中にツバが沸いてきた」


「ショウガをすりおろして……」


「あれ、ショウガも入れるんですか?」


「ええ、あと、醤油も入れます。塩味のお茶になりますよ」



 しゃっ、しゃっ、しゃっ、



「これぐらいかな?」


「なんだか、美味しそう」


「あとは、醤油をひとたらし。さて。熱い番茶を注いで、出来上がりです」



 温かい、梅干しの香りのお茶。



「ほわ~……なんだか懐かしいような、安心する香り……いただきま~す♪」



* * *



 ちょっとお腹がおかしいな、という時には、つぶした梅干しとすりおろしショウガを入れた、梅醤番茶。


 懐かしく、優しい味のお茶です。




番外編は、そのうちまた、付け加えるかもです。

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