46/79
家臣は新たなる奈良漬けにがっくし。7
「だまされたと思って食ってみい」
「いや、俺は。悪いが。これは。ちょっと」
それでも女性から、善意で渡されたものだ。騎士としては、無碍にはできない。
そういう心境でだらだら汗を流しながら言うと、「遊び心のない男じゃの。冒険も時には必要じゃと言うに、つまらんのう」と言われた。
つまらない男で結構だ。
遊び心満載の男になったら、ロード・アランになってしまうではないか!
※ ※ ※
そうして今、ウィルフレッドはその店の中にいるわけであるが。
「あれ。これは奈良漬け……」
「おお~! あれっすね、白いごはんに乗っけてお茶漬け。さらさらっと!」
「あられも入れたいですね~」
「ヒヒヒ。美味いからのう、この店のものは」
例の悪臭漂う物体を取り囲んで、わいわいと騒ぐ黒衣の人物、それなりに鍛えているらしい筋肉質な青年、そしてなぜか男装をしている店主らしき女性を眺め、
アレを食う人間は、意外といるのか。
と、遠いまなざしになりつつ思っていた。
初めて紅さんの容姿らしきものが出ました。
要はパンツスタイルなんですが、ウィルフレッドからすると男装に見えています。