エルフの日常
みんなは、キメラという存在は聞いたことあるだろうか。みんなが想像するに、さまざまな動物、魔物を融合させてできた魔物……というイメージだろう。
だが、私たちの世界では融合させるのは動物や魔物だけではなく、人間や亜人などの種族も融合させるのだ。そういうのは魔物では無く「混人」という種族になる。混人となったキメラは、キメラという括りではあるが少しだけ種族が異なる、これは既にいる魔物、魔人になぞられた種族名となる、例えば人間にドワーフや洞窟に住んでいる魔物を融合させると「キメラ・ドワーフ」になるのだ。そして混人として融合されたキメラはどういうわけか元になった種族×融合させた種族数で寿命が伸びるのだ。たとえば人間×二体の魔物だとするとその混人はその人間の寿命の2倍となるのだ。
こういう説明をしといてなんなんだが、私は混人ではない。人の言葉を喋る魔物とかでもない。
じゃあなぜかって?私の身の回りの環境にあるのだ。
「はぁ……どうしてこんなことになったんだろ……」
私はため息混じりに愚痴を吐く。
「……どうしたの?」
私にそう声をかける少女は、ケラスス・フローラは私が面倒を見ている訳アリな子だ………ケラスス以外にも私は様々な子たちの面倒を見ていて愛して愛している……あ、私は女だからね?別に面倒見ている子達にそういう目向けているわけじゃ無いから………まぁちょっとだけ……ほんの少しだけ私のものにしたいなって思うことはあるけど……ちょっとだけだよ?……で、話を戻すとなぜ私がケラスス達の面倒を見ているかと言うと数十年前になる……
〜数十年前〜
私はたまたま住んでいる森からこの国の都市、フラリティアという街に来ていた。私は数ヶ月に一回日用品の補充や冒険者ギルド、商業ギルドなどで依頼をこなしたり、物を売ってお金を稼ぐために街に出向くのだ。
私が街に入るために審査の列に並んでいたら、前例が騒がしくなった。私が【基本改造魔法】「エアースキャン」を発動して空気の流れから騒がしくなっている原因を探った……余談だが、基本改造魔法とは人々が日用的に使う魔法「基本魔法」を私が改造して新たな「基本改造魔法」として開発したのだ。ちなみに「エアースキャン」は詠唱の時にエアキャンと言っても発動する。……エアキャンだとキャンプの妄想してるみたいに聞こえるけど……
話を戻して私は騒がしくなっている原因を探ってみた。その結果騒動の原因がキメラだとわかったのだ。ただ……何かがおかしいのだ……基本的にキメラは暴走しない。稀だが魔力に適応出来なくてその魔力を放出するために暴走することがあるのだが、今回のキメラは魔力をコントロール出来ている……とりあえずは可能性としては作られたキメラが暴走以外の原因で暴れているか、もしくは……可能性としては考えたく無いが混人がキメラになって暴れているか……とりあえず私は現場に行ってみることにした
「あっでもまだ審査受けて無いから入れないな………まぁ今は非常事態だから審査受けないで入ってもいいか!というわけで失礼しまーす!」
入る時に門番がなんか言った気がするけど関係ないよね!
「ふぅ……来てみたけど……これはひどいな……」
キメラの周りには暴れた痕跡があり、建物などが崩壊している。だが少し妙なのは怪我人が1人もいないことだ。気や魔力、生命力などを感知してみても感じれるのは目の前にいるキメラ……いや近づいて見てわかったことがある……これは混人がキメラになっている……だが基本的に混人はキメラにはなれない……例外としては禁忌魔法などを使ってキメラに人型種族を無理矢理付け足すことによって魂が不安定となり暴走するが、魔力はコントロールが出来ない……これは二つの魂が混ざりあい自我が不安定になるからだ……よってこの可能性は無くなる……
「もうひとつの可能性としては……っ!?」
刹那暴走した混人から私に向けて魔法が飛んできた。
「考察してる場合じゃないね……とりあえず目の前の危険因子を鎮圧しよう……まぁ見た目からして森とかに住んでいる植物系魔物とエルフを融合させたやつっぽいから火属性魔法でもぶっぱなすか……」
「【火属性改造魔法】 圧縮噴火」
私は暴走混人に向けて火属性魔法を放った
「……………【混合魔法】 熱砂の壁」
その時、あの混人はツルや木々で魔法を守るのでは無く土と火の混合魔法 熱砂の壁を発動して私の魔法を打ち消した
「!?……バカな!?混合魔法を使えるの!?」
混合魔法は魔族にしか扱えないハズなのに……とりあえず他の魔法であいつの弱点を探らないと……
「【擬似的混合魔法】 アイス・ヴォルケーノ、【同時詠唱】 ウィンドカッター、ウォーターカッター、【召喚魔法】 レッサーリッチ」
私は様々な属性魔法、召喚魔法を使ったが全て混人の混合魔法や結界魔法で防がれた。正直これは予想出来ていた……だってそもそも植物系の魔物やエルフを融合させた混人のハズなのに火属性とかの適正じゃない魔法や混合魔法使えるんだよ?防がれる決まってるじゃん。
「はぁ……結局物理も無理か……しょうがない……使いたくはないけどあれ使うか……二次職業 キメラ・マスター ジョブチェンジ……職業特有改造魔法 キメラマリオネット」
キメラマリオネットとはキメラ・マスターの職業特有魔法 キメラ・コントロールを改造して通常では体と精神の所有権を略奪する魔法を精神だけ略奪することできるようにした。これでは弱体化とも思うかもしれないが、精神のコントロール範囲が拡大されている。
「とりあえず精神を安定化させるためにも魂の状況がどうなっているか調べてみるか……っ!?」
おかしい……おかしいすぎる……エルフが融合しているのはわかっていたが融合されている魔物の魂の数が多すぎる……しかも魔物の種類がおかしい……植物系の魔物はいるが他にも動物系、昆虫系、水生生物、魔族とかが混じりまくっている……そして今回の暴走の原因がわかった……体が魂の多さに耐えられなくて暴走したんだ……じゃあ魂を分離させれば解決か。
「【職業特有魔法】 キメラオルタレーション」
これで最低でも20種類を分離させないと……とりあえず魔族は分離させるでしょ?あとは昆虫系かな、分離してもそこまで戦闘能力の影響でないし、魔族とキメラだけでも40種類も減ったんだけど……まぁとりあえず精神はもう大丈夫でしょ、安心安心……あぁ混人の子介抱しないと
〜数分後〜
「……?」
混人の子が目覚めた。女の子だったんだね〜………美少女だな……おっと邪念は捨てよう
「大丈夫?怪我とか無い?心配したよ……君がとんでもない数の魂を抱えてんだもん……とりあえず大丈夫なところまで魂を分離したからもう暴走することはないよ」
えっもしかして今私この子から見たら命救ってくれたヒーローってこと……!?いや〜〜もうこれはこのまま結婚フラグ立っちゃうんじゃないかぁ?……あっでもこの世界異種族との結婚は禁忌でしたね。冗談はさておきこれからどうするか……
「とりあえず君これからどうするの?」
私は混人の女の子に問いかける
「………多分帰るとこ無くなってる」
女の子はそういう。……帰る場所がなくなっている……?そもそもこの女の子はどこから来たんだ……?数百年この街に出入りしている私が見たこともない混人からキメラへの変化……そしてあの数百とあった魔物の魂に飲み込まれていたこの子の体はどうして崩壊などの兆しがない……?この子はどういう種族になった……?気になる……私の研究欲が抑えられない……どうしてもこの子について調べたい……もしかしたらキメラと混人について新たな発見が得られるかもしれない……まだキメラや混人について明かされていないことが多いんだ……この子を解析出来たらこの世界はもっと真理に近づけるかもしれない……よし!そうと決まれば……
「君!帰るところがないなら私の家に来ない?」
私はこの子をゆうk………げふんげふん保護しようと思った。