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第21話 悪役令嬢、運良く暗躍。



 時間は(サカノボ)り、

 ブラック・ワスプ拠点の地下5階にて、


 {ちょ!ちょ!ちょ!ちょぉぉぉぉおお!!}


 (オリ)(ハサ)み、油がばら撒かれた床へ向けて、手の平の炎を放とうとする男がいる。


 その油がばら()かれている(オリ)の中には、ミースがおり、

 彼女は、尋常(ジンジョウ)じゃない程、(アセ)り、立ち上がる。

 しかし、間に合う距離、それを防ぐ手段は無かった。


 まさに絶対絶命の、その時、


 「あがっ!、」 


 炎を放とうする男の頭部に、剣が飛来し、突き刺さる。

 炎は明後日(アサッテ)の方向に飛び、壁に小さい焼け()げを作った。


 男は、剣が突き刺さった衝撃(ショウゲキ)そのままに倒れ、血と油が地面に飛散(ヒサン)する。



 「え、、、」

 ミースは、その状況変化について行けず、呆然(ボウゼン)となる。


 「はぁ、はぁ、はぁ、

  カーテン様!ご無事でしたか!」

 息を切らしてそこに現れたのは、ミースをここまで案内した2人組の1人である“カズララ・ラズベリー“であった。

 

 「よ、よ、よぉくやってくれたわぁぁぁあ!!

  私が4大黒原になった(アカツキ)には!贔屓(ヒイキ)にしてあげる!」


 カーテン(ミース)は、カズララが姿を現してようやく自分が助かった事を理解する。

 そして、命の恩人であるカズララへ、感謝を伝えた。


 「ありがとうございます。

  ですが、その必要はございません。」

 カズララは、そう返しながら、カーテン(ミース)を殺そうとした男が完全に死んでいる事を確認、それと同時にその男が持っていたカギの(タバ)を取り、カーテン(ミース)の牢屋(ロウヤ)のカギを開ける。

 

 「どういう意味?」

 ミースは、油臭い牢屋(ロウヤ)を出て、カズララの言葉の真意(シンイ)を聞く。

 

 「私は、あなた様を逃しに来たのです。・・・」

 カズララは、ミースの魔法を押さえている首のチョーカーも外しながら、そう経緯(ケイイ)を話始める。



 カズララは、カーテン(ミース)を1度、ポテトから逃した時、目の前でパートナーである“ラズド・ブラウン“をポテトによって殺された。

 カズララは、そこでラズドの意思を引き継ぎ、カーテン(ミース)を助ける事を心に決める。

 そして、脱出の為に、5階全体の影を支配、監視している人物の元へ訪れると、その人物が殺されていた。

 嫌な予感を覚えたカズララは、カーテン(ミース)の元へ急ぎ、そうして現状に至ったと言う。


 

 「なるほど、・・・だいたい理解出来たわ。

  ラズドの事は残念ね。」

 ミースは、首を確認しながら、その経緯(ケイイ)、状況を理解する。


 「じゃあ、その意思に甘えて私は、脱出したいと思うけど、

  脱出(ダッシュツ)経路(ケイロ)はどうなっているの?」

 ミースにとって、絶好の(ワタ)りに(フネ)である為、乗る以外の選択肢(センタクシ)は無い。


 「はい、隠し通路を使います。」

 カズララはそう提示(テイジ)する。


 「あなた、知っているの?」

 ミースは、その提示内容に驚く。

 隠し通路は、限られた人間のみが知っていると言う認識であり、

 カズララの様な一般の人員が知る筈が無いと思っていた為だ。

 

 「はい、あの広場の片付けをしている時に発見しました。

  カーテン様の推測がなければ、発見できなかったでしょう。」

 カズララは、そう答える。

 広場とは、ミースとポテトが戦った地下6階の広場である。


 「・・・わかったわ。

  そうしましょう。」

 ミースは、その説明にとりあえず納得する。

  

 「だけど、その前にやっておきたい事があるの、」

 そして彼女は、そう続ける。


 「わかりました。

  私はどうすれば良いですか?」

 カズララは、それを理由も聞かずに受け入れる。


 「ふふ、まぁ待ちなさい。

  手短にだけど、ちゃんと説明してあげるから、・・・」

 ミースはその姿勢に、カズララに対する好感度を上げながら、説明し、迅速(ジンソク)に行動を開始するのであった。


 

 まず、彼らが(オコナ)った事は、その場の偽装(ギソウ)工作(コウサク)である。


 ミースを殺そうとした男の死体を、ミースの入っていた牢屋(ロウヤ)のベットへ入れ、余っている油をかける。


 そして最後の仕上げに炎を放った。


 白聖教と戦闘状態の為、この炎に気付くのは、全ての証拠が炭に変わってからになるだろう。

 また、もし、死体をよく検査されなかったら、

    もし、ブラック・ワスプが負ければ、

       焼け焦げた死体を確認する暇も無くなり、

    カーテン・ブラックと言う人物は、

            彼らの中でいなくなる事だろう。



 その後、ミースは身なりを変える。

 カズララと同じボロボロの外套(ガイトウ)を身に(マト)い、流していた長髪もポニーテールへ変えた。

 首の魔法を押さえていたチョーカーの跡は、大きなボロいマフラーを巻き、口元まで隠す。


 そして、最後の仕上げに黒髪(クロカミ)から白髪(ハクハツ)に変える。


 彼女がここまでして姿を変えている理由は、彼女の素顔を見た、聖女“イノセス・ホワイト“を回収する為である。


 そして当然、その身なり、主に髪色の変化に、同行していたカズララは驚きを隠せなかった。

 長々と説明している暇は無い為、ミースはただ二言(フタコト)を言い放つ。

 

 「ここから、私は、“ミース・アイボリー”よ。

  “平等な世界の為“に、この後も私に付き従いなさい。」

 ミースは、わざと髪色を白と黒、半分に分けてカズララを見据(ミス)え、そう命令する。


 「!!ッ、、・・・」

      {奇跡だ、}

 カズララは、その名前、目的にも驚き、

 少しの逡巡(シュンジュン)の後、その目に大きな覚悟を宿(ヤド)す。



 この時のミースは、知るよしも無かったのなだが、

 カズララはブラック・ワスプ内の穏健(オンケン)()に属しており、平等な世界を作る事を目標としている彼らにとって、彼女のその姿は、理想(リソウ)その物であったのだ。



 そしてカズララは、かつてラズドがやった様に、彼女の前に(ヒザ)()忠誠(チュウセイ)(チカ)う。


 「拝命(ハイメイ)しました。

  これより、全身(ゼンシン)全霊(ゼンレイ)をもって、付き従います。」


 「・・・、えぇ、よろしくね。」

 ミースは、その姿に最後まで忠誠(チュウセイ)を尽くしてくれた、ラズドの姿が重なリ、ほんの少し、彼を思うのであった。


 {使い捨てるには、惜しい人材だったわね、}

 


 

 彼らは、まだ炎と煙が立ち込める牢屋(ロウヤ)近くの物置へ移動していた。


 煙が広がり、もはや、(サワ)ぎになるまで秒読みとなっているそんな場所の近くに、なぜ彼らが戻って来たのかと言うと、そこに"イノセス"がいる為である。

 

 場所が特定できた理由としては、監視者のいなくなった地下5階全体の影を支配し、探し出したのだ。


 そして、物置きのスペースに置いている、巨大な木箱の1つの(フタ)を開ける。

 その中には、丸まって眠っている白髪のショートボブの少女が、可愛らしい寝顔で眠っていた。

 

 {図太いと言うか、なんと言うか、}


 ミースは、(アキ)れた様子で、そのイノセス見下ろす。


 ミースが彼女と会った時から感じていた事なのだが、

 たとえ、ブラック・ワスプを敵と認識していなくても、薄暗い牢屋(ロウヤ)や、真っ暗な木箱の中で、1人でいる事は、子供心的に恐ろしいと思う筈なのだ。

 だが、彼女からそんな様子は、一切感じず、違和感を覚えずにいられなかった。

 

 ミースは、再び彼女の出自(シュツジ)に興味を持つが、後回しにする。


 「まぁ、泣き叫んで、うるさいよりましね。

  カズララ、運んで下さい。」


 「わかりました。」

 カズララは、優しくイノセスを持ち上げ、背負う。

 大きく動かしたにも関わらず、彼女は、起きる気配が無かった。


 {もしかして変装しなくても良かったんじゃないでしょうね。}


 ミースは、内心でそう愚痴(グチ)(コボ)しながら、見つからないように急いでこの場を後にしたのである。



 地下6階にも影の全体を支配する、監視者がおり、隠し通路から脱出する1番の障害(ショウガイ)となっていた。


 それは、普段ならポテトが(ニナ)っているのだが、

 白聖教との戦闘に対応をしている為、今は一般の構成員が監視を行っている。


 と、言う事で、あっという間に影全体の支配権をミースが強奪(ゴウダツ)し、監視者を遠隔(エンカク)拘束(コウソク)、そのままその首を()めてシームレスに気絶させた。


 {これで障害(ショウガイ)は、亡くなったわね。}


 「う、」

 ミースは、頭痛に(サイナ)まれながらも問題を解決させた。

 

 「カ、ミース様!」

 カズララはその様子に心配する。

 

 「大丈夫よ、

  ただ魔法を使い過ぎただけ、」


 魔法を大きく使うと頭痛や目眩(メマイ)(オソ)われる為、彼女もその原因が魔法である事を理解した。

 {魔法の力の回復には、時間が()かるのね。

  頭に入れておかないと、}


 「しかし、」

 カズララは、まだ心配そうにしていた。


 「後は、隠し通路を通って外に出るだけだから大丈夫。

  しっかりイノセスを運びなさい。」

 

 「はい!」

 

 ミースと、イノセスを背負うカズララは、そのまま地下6階の最奥の広場へ向かう。

 そこに隠し通路の入り口がある為だ。


 広場には、少しの戦闘痕(セントウコン)が残っており、カズララの情報どおり、多少片付けられていた。


 さて問題の隠し通路だが、それは、壁に掘られた、ブラック・ワスプの黒い(ハチ)のエンブレムの1つにある。


 よく見ればそのエンブレムには、切れ込みがあり、手を当てると空気が流れていた。


 「なるほど、

  確かに隠し通路があると言われれば、すぐに分かりそうね。」

 ミースは、早速その切れ込みへ自身の魔法を差し込み、構造を把握(ハアク)する。


 その構造は、なんて事は無く、ただエンブレムが刻まれた巨大な四角い岩が()()められているだけ、といった物である。


 常人であれば、数人がかりの魔法で、それを動かす物なのだが、ここにいるの"天才"、ミースだ。

 

 それを動かすことなど造作(ゾウサ)もない事である。



 「いっ!、」



 しかし、それは通常であれば、の話しだ。


 ミースは、それを動かそうとしたのだが、頭痛と目眩(メマイ)を同時に味わい、動かせそうになかった。


 「嘘でしょ、」

 {もしかして、・・・詰んだ、}

 

 「ミース様、

  ここは私が、」

 カズララも、背負っているイノセスを机の上に寝かせ、

 魔法を使用して、その岩を退()けようとしたが、

 少しの砂埃(スナボコリ)が上がるだけで、動く様子は、(マッタ)くなかった。


 {あ、完全に詰んだわね。}

 ミースは、カズララと2人で協力する事も頭に浮かぶが、それぞれの様子から、動かせそうに無い事が嫌でもわかる。

 

 「くうう!」

 カズララは、続けて魔法を使用するが、当然動かず、

 ミースがその肩に手を置いて静止させる。


 「もう大丈夫よ。

  一旦(イッタン)、身を(ヒソ)めるわ。」

 

 「しかし、もう時間は、」

 カズララは、焦り、ミースへ聞き返す。

 

 「えぇ、わかっているわ。

  でも、私の魔法の力が戻るを待つしか無いでしょう。」

 ミースは、そう説明した。


 「・・・わかりました。」

 カズララは、その説明に納得し、移動の準備をする。


 「「あ、」」

 

 その時、机の上で、体を起こし、ミースとカズララを眠そうに見つめるイノセスがいた。


 イノセスは、1度、大きくあくびをして目を(コス)り、再びミースとカズララをまだ眠そうな目で見つめる。

 そして、その目はミースの髪色へ視線を移し、大きく見開く。


 「ぁあー!」

 彼女は、一瞬で目を覚まし、驚きの声と共に飛び起きる。


 「あなた!私と同じ白い髪ね!

  私は、イノセス!よろしくね!」 

 寝起きとは思え無い、元気な声でミースへ挨拶(アイサツ)して来た。


 「・・・私は、ミース、こちらこそよろしく。」

 ミースは、作り笑顔を顔に貼り付けると同時に、ビズネスボイスで、本当の自己紹介をする。


 「あなた、カーテンと似て、すごく可愛いわね!」

 なんの気無し、イノセスは確信に近い所を突く。

 

 「、カーテンと言う(カタ)は、存じませんが、ありがとうございます。

  あなたも、抜群(バツグン)に可愛らしいですよ。」

 ミースとカズララ、それぞれの心の内に緊張(キンチョウ)が走りながらも、それをおくびにも出さずにそう返す。


 「えー!本当?嬉しいなー!

  ところで何をやっているの?

  "モーベ"は?」

 イノセスは、カーテンの正体が気付いていないようで、現状について聞く。


 {"モーベ"?、ああ、私を殺そうとした奴ね。}


 ミースは、瞬時(シュンジ)に"モーベ"と言う男の正体を考察(コウサツ)都合(ツゴウ)の良い作り話を組み立てる。

 

 「そのモーベさんに頼まれて、あなたを(ノガ)す所です。

  このエンブレムの裏に隠し通路があるのですが、エンブレムが刻まれた岩を動かせない為、一旦(イッタン)(カク)れようかと、」

 

 「隠し通路!何それ!面白そう!」

 イノセスは、ミースの話しを聞き、隠し通路に興味を示すと、その隠し通路があると言われたエンブレムの前に移動する。


 「イノセス?」

 ミースは、その行動に疑問を感じたが、


 次の瞬間、イノセスは広場全体を照らす程、白く輝く。

 その白い光りは、エンブレムの岩の切り込みに差し込まれて行き、巨大な岩が動き出す。


 「はー!ふん!」


 その岩は、壁から飛び出し、地面に落下、大きな(ヘコ)みを作る。


 「「!!っ、」」

 ミースとカズララは、驚く、

 自分(ミース)以外で幼い子供の"天才"に初めて会ったのもそうだが、なによりその光量と爆音に驚いたのだ。


 「カズララ!

  イノセスを(カカ)えて、走れ!」

 ミースは、イノセスの行動でブラック・ワスプの構成員にバレたことを想定(ソウテイ)し、カズララへそう命令する。

 そして、先に隠し通路へ走る。


 「了解!」

 カズララは、多少乱暴にイノセスを抱えてミースへ続く。


 「ちょ!あはは!はや〜い!」

 イノセスは、カズララへ(カカ)えられ、過ぎ去る景色にはしゃいだ。




 そうして彼らは、1人を除いてヘトヘトになりながら地上への脱出を果たす。

 その後、休憩を挟みながらも白聖教の軍団の拠点へ向かった。


 ミースの黒の魔法で、戦場を避けて近づき、白聖教の軍団に無事に発見され、保護されたのである。






 時間は、元に戻り、


 ブラック・ワスプを追撃(ツイゲキ)している白聖教の軍団本部。


 そこには、白聖教のその軍団を指揮している魔法都市:スリネトス担当、“ バラント・レグホーン“支部長と彼らに保護された“ミース”、“イノセス”、“カズララ”の3人が向かい合っていた。


 「さて、説明して頂けますか?」


 バラントの大きな疑問点は、3つ、

  ・ここにいない筈の聖女、ミース。

  ・マルトス担当“クローム“支部長の部下の

   "モーベ"が助ける筈であった聖女、イノセス。

  ・そんな聖女達と行動を共にしていた

   ブラック・ワスプの構成員、カズララ。


 その全てに対して、説明を要求して来た。



 「えぇ、喜んで、バラント支部長。」


 「喜んでー!」


 「・・・、」 


 ミースが答え、イノセスが続き、カズララは彼女達に説明を(タク)す。


 もちろん、ミースが事実を全て話す筈が無く、都合(ツゴウ)の良い作り話を説明した。


 

◯作り話はまず、ミースの動きから始まる。


→白聖教にて、聖女仲間のイノセスがブラック・ワスプに(サラ)われた事をミースが聞く。

→ミースは、イノセスをなんとか助けようと、動き回る。

 (イノセス)「私の為だったね!ありがとー!」

→ミースがブラック・ワスプに捕まる。

 (バラント)「なんてことを、」ここで頭を抱える。

→ブラック・ワスプの構成員であるカズララを改心させる。

 (カズララ)「その通りです。」

→カズララの協力の元、脱出を図る。

 (イノセス)「へー!私よりすごいわね!」

→モーグ、イノセスと合流。

 (バラント)「モーグと合っていたのですね」

→モーグは、致命傷(チメイショウ)()っており、イノセスの事を任せられる。

 (カズララ)「彼が(オトリ)になっていなければ、脱出は不可能でした。」

→ミース、イノセスは、カズララの案内の元、脱出し、現在に至る。

 

 途中にイノセスやカズララ、バラントの合いの手を入れて、話しは(ハズ)む。

 そしてバラントは、それを全て聞いてから、クタクタな様子で口を開く。


 「いろいろと言いたい事はありますが、

  何よりもミース様、イノセス様のお二人が、無事で何よりです。

  "話し"は、分かりました。

  ミース様は、レッド公爵家までお送りしましょう。」

 彼は、本当にさまざまな事を飲み込み、ただ、聖女達の無事を(ネギラ)う。


 「お気遣い頂き、ありがとうございます。

  しかし、カズララさんも一緒にお願いします。」

 ミースは、その気遣(キズカ)いに感謝しながらも、カズララの身柄(ミガラ)(アズ)かる事を宣言(センゲン)する。


 「それは、なりません。

  確かに、ここまで聖女2人を無事に連れて来た実績(ジッセキ)は、

  (モト)異端者(イタンシャ)である事を加味(カミ)しても、あまり有る功績(コウセキ)です。

  信用に(アタイ)しますが、信用できません。

  我々の為にも、その者の身柄(ミガラ)は、私に(アズ)けて頂けませんか?」

 バラントは、鋭い眼差(マナザ)しで、ミースへそう提案する。

 

{うーん、・・・信用問題は、難しいわね。

 でも、私もまだカズララを信用して無いの。

 やらないだろうけど、拷問(ゴウモン)とかで吐かされたらたまった物じゃないわ。

 それに命の恩人でもあるし、渡せないわね。}


 ミースは、バラントへ共感を示すが、その提案を飲む訳にいかなかった。


 「いえ、カズララさんは恩人(オンジン)是非(ゼヒ)、レッド侯爵家でもてなしたいのです。

  それに、グリーガスお爺様にも、もう一度説明しなければいけません。

  それとも、“私(聖女)“も信用できないと?」


 「そう言う訳では、はぁ、

  わかりました。カズララも一緒にお送リしましょう。」

 グリーガスは大きいため息と共に、カズララの身柄(ミガラ)(アキラ)めてくれた。

 

 「えぇー!いいなー!

  私も付いて行きたいなー!」

 イノセスは、そのやり取りを(ウラヤ)ましげに聞き、そう言う。


 「「・・・」」


 突然のその発言に、ミースとグリーガスは、お互いに顔を見合わせる。

 そしてグリーガスは苦笑いを浮かべ、ミースはその苦笑いに嫌な予感を覚えた。

 


 



 レッド侯爵家に向けて、ミースは、護衛(ゴエイ)に引きつられながら、歩いていく。


 {はーあ、とにかく、すごく疲れたわ。}


 ミースは、内心で疲れを(ウタ)えながら、後ろを見る。

 彼女の後ろには、カズララ、そしてイノセスが満面の笑みで付いて来ていた。


 「はぁ、」

 ミースは、実際にもため息を空へ吐き出し、そのまま空を見上げる。



 山の輪郭(リンカク)が赤く(ニジ)み、


 誰も敵わない光源(コウゲン)が、闇を晴らして行く、



 日の出だ。



 新鮮な光に照らされ、それぞれの形の(カゲ)を地面に落としながら、彼らは進む。




 舗装(ホソウ)も何もされていない、道なき道を、




※備考


 白聖教の軍団の勢力について、

 何故(ナゼ)、彼らは200人程度でブラック・ワスプと戦ったのか?

 それは、白聖教側の慢心(マンシン)が大きかったからである。

 

 彼らの慢心(マンシン)の原因は、(オモ)に3つ、

 ○白聖教のスパイからブラック・ワスプの勢力を知れた事

   ↑(4大黒原の情報を除く)

 ○ブラック・ワスプの拠点の勢力が彼らの主力でない事

   ↑(穏健派)

 ○白聖教の支部長、支部長補佐が集まっていた事

 それらが(カサ)なった為である。


 しかし、その慢心(マンシン)のお陰で被害(ヒガイ)が少なくなった側面(ソクメン)もある。

 例えば500人規模の軍団で戦えば、魔法専門学校"ルーデラ"の助けを借りずに勝利する事が出来ただろう。

 だがその分、“ポテト・ブラック“の感覚押し付けの犠牲者(ギセイシャ)が増え、凄惨(セイサン)な結果が待っている。

 勢力が少なかった故に、今回は負けそうになったが、感覚を押し付けられた者達を(カバ)え、死傷者などの被害を最小限に(オサ)えられたのだ。

 そう考えると、今回はその慢心(マンシン)がうまい具合に働いたと言えた。



 研究者、学生達の被害(ヒガイ)に目を(ツブ)れば・・・( ᐛ )

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