表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/24

第14話 悪役令嬢とレッド侯爵家。


 魔法都市"スリネトス"の西側に、赤を主体とした西洋風の巨大な屋敷があり、それがレッド侯爵家である。


 ミースとサヤ、カルトと護衛の異端審問官達は、レッド侯爵家の敷地内(シキチナイ)の前まで来ると、使用人が直ぐに対応してくれ、客間(キャクマ)へ通してくれた。

 屋敷内のその内装も赤色がちりばめられており、外見だけで無く、内側も美しい西洋風な内装だ。

 

 客間でしばらく待つと、角刈(カクガ)りの赤い髪を持つ強面(コワモテ)な男性が豪快(ゴウカイ)に扉を空け、入室して来た。

 スーツのような立派な着物を身に(マト)い、その姿はまるでヤクザのようであった。


 「よく来た!ミース!会いたかったぞ!」

 その男は、入ってすぐにミースの姿を見つけると、強面(コワモテ)な表情を崩し、歓迎(カンゲイ)してくれた。


 「グリーガスお爺様!お久しぶりです!」

 ”グリーガス・レッド”それがこの人物の名前である。

 そして、この人物こそ、

 ミースの母親、"アネス・ピンク・アイボリー"の父親であり、ミースのお爺さんに当たる人物なのだ。


 そこまで頻繁(ヒンパン)に会う人物では無いのだが、快活(カイカツ)な性格で、かなり甘やかしてくれる為、

 前世の記憶を思い出す前のミースにとって、かなり好感度が高い人物である。


 「グリーガス様、お会い出来て光栄(コウエイ)です。」

 カルトと護衛(ゴエイ)の審問官3人は、頭を下げた。


 「おう、お前も久しいな!カルト!

  あのアネスとアルマは変わらずか?」

 カルトの挨拶を(ココロヨ)く受け入れ、ミースの両親の事を聞く。


 「えぇ、お2人共変わらず、領地を共に発展させています。」

 カルトはここに来れなかった2人について簡単に答える。


 「そうか!そうか!は、は、は!」

 グリーガスはその答えに満足げに笑う。


 「グリーガスお爺様、申し訳ありません。

  (ツモ)もる話もございますが、

  まず、お休みを頂てもよろしいでしょうか?」

 ミースは、申し訳ないという演技をしながら、部屋で休みたい(ムネ)を伝える。


 「おー、すまない。道中の事は聞いている。

  大変だっただろう。歓迎(カンゲイ)の席は明日だ。

  今は、ゆっくり休むといい、」

 グリーガスは、アイボリー渓谷(ケイコク)鉱山(コウザン)での出来事や、その後、身を隠しながら王都(オウト)へ向かっている事を知っており、気遣(キヅカ)ってくれた。


 そしてひっそりとグリーガスに付き従っていたメイドは、グリーガスとアイコンタクトを取り、ミースの案内に動き出す。


 「お気遣(キヅカ)いして頂き、ありがとうございます。

  お言葉に甘えて、休ませて頂きます。

  カルト様もありがとうございました。

  また後日よろしくお願いします。」

 ミースは、美しい所作でグリーガスとカルトにお礼を残し、そのメイドの案内に従い、サヤと共にミースの部屋へ移動する。

 

 「ああ、安心して休むといい、何が起きようと私が守ってやろう。」

 グリーガスは、安心させるようにミースに返す。


 「ミース様こそ、よくご辛抱なされました。

  もしかしたら、これからは警戒(ケイカイ)せずとも良くなるかもしれません。

  期待してお待ち下さい。」

 カルトも安心させるように意味深な事を返す。


 「はい!、お二人ともありがとうございます!」

 ミースは、カルトの放った言葉が"ブラック・ワスプ"の拠点に攻め入る事だと察し、脳内で愚痴(グチ)をこぼした。


 {"ブラック・ワスプ"〜、どうして見つかったかな〜!}


 


 ミース自身、レッド侯爵家にまだ数回しかお世話になった事が無いが、

 レッド侯爵家には、ミースの部屋が用意されている。


 やはり、赤が主体となっているその内装は、美しく、

 家具や調度品(チョウドヒン)も合わせて、本来の自分の部屋よりも良い部屋だ。


 さらにその部屋は、かなり久しぶりであったが、清掃が行き届き、維持(イジ)されていた。

 {ほんと大好き、お爺様。}


 「ここで、私は失礼します。

  なにかありましたら、いつでもお申し付け下さい。」

 案内を終えた、グリーガスのメイドは、挨拶をして、ミースの部屋から退出しようとする。


 「わかったわ。

  私は、明日の昼まで眠ります。

  それまで、専属メイドのサヤ以外は、私の部屋への立ち入らないようにして下さい。」

 ミースは、明日の昼まで惰眠(ダミン)(ムサ)る事を宣言する。


 「承知致しました。

  それでは、ごゆっくりお休み下さい。」 

 改めて、退出の挨拶をし、グリーガスのメイドは、下がって行く。



 「行ったわね?」

 ミースは、確認する。


 「行きましたね。」

 サヤは、共に確認し、肯定(コウテイ)する。


 「はぁ、全く、世話が焼ける。

  私は、これから"ブラック・ワスプ"の面倒を見て来るわ。」

 ミースは、急なトラブルによる残業が確定し、げんなりとした様子で、これから行う事を共有した。


 「大丈夫ですか?

  私も何かお手伝いできますか?」

 サヤは、そんな様子のミースを心配する。


 「大丈夫、

  サヤはむしろ、白聖教の時と同じ様に偽装(ギソウ)工作(コウサク)をやってちょうだい。

  一緒に来て貰うより、そっちの方が私は助かるわ。」

 ミースは、サヤの心配を受け、やって欲しい事を示す。


 「わかりました!お任せ下さい!

  でも・・・」

 サヤは自信満々に了承するが、何かを言い(ヨド)む。


 「なに?

  あぁー、

  安心しなさい、私は"天才"。

  どんな事があろうと、必ず帰って来るわ。」

 ミースは、安心させる様にサヤの手を強く握り、

 前世の経験から来る、(サッ)し力を発揮、

 サヤの欲しい言葉をかける。


 「ッ!・・・、

  はい!、気を付けて行ってらっしゃいませ!」

 それは、サヤの欲しい言葉であった為、(ヨド)みが晴れ、

 ミースを安心して送り出す。



 そしてミースは、窓から身を(ヒルガエ)し、飛び降りるのであった。



 


 魔法都市“スリネトス”、この町は、魔法の研究、開発が(サカ)んで、

 魔法は、この町の生活になくてはならない物となっている。


 そして、魔法専門学校"ルーデラ"があり、魔法大国“エウレメント”の北部方面の中で1番の規模(キボ)施設(シセツ)偏差値(ヘンサチ)(ホコ)っていた。


 それ(ユエ)に、貴族、上流階級の人間が集まっていたのだが、

 それは、この地を共同で(オサ)める、レッド侯爵、ブルー侯爵も例外では、無い。


 そして、それぞれの家では、そこの初等部(ショトウブ)(カヨ)う2人の少年がいた。


 レッド侯爵家:グラス・レッド (髪色はスカーレット色)

 ブルー侯爵家:ガブレス・ブルー


  この2人である。



 家同士で多少の確執(カクシツ)があるものの、初等部の同級生であり、ライバルである彼らは、

 中が悪い、

 という訳で無く、かなり"中が良い"関係であった。


 どれくらい中が良いかと言うと、お互いの家族には秘密で遊ぶ関係である。


 彼らの中で、今1番の遊びのトレンドは、それぞれの家への侵入(シンニュウ)だ。


 ルールは、単純(タンジュン)

 1.侵入者とそれを助けるサポート役の二手(フタテ)に分かれる。

 2.侵入者がサポート役の部屋に入り、少し遊んだ後、侵入者が外に出られれば勝ち。

 3.使用人や家族にバレたら負け。

  と言う、実に男子らしい遊びである。

 

 そして、今日はレッド侯爵家に"ガブレス・ブルー"が侵入する日であった。



 赤を主体とした西洋風の巨大な屋敷、レッド侯爵家の2階奥の"グラス・レッド"の部屋の扉が(ヒラ)かれる。


 「こっち、ここまで、」

 部屋に先に入った少年、"グラス・レッド"は、スカーレット色のツンツンした短い髪をし、その髪質と似たように、活発(カッパツ)外観(ガイカン)であった。


 「はい、グラス様、」

 グラスの後を追う様に、布の掛かったワゴンを押すメイドが、

 彼の部屋にそのワゴンを運び入れる。

 そして、グラスが指示を出した所までワゴンを運ぶ。


 そのワゴンには、多くの(サラ)(ビン)果物(クダモノ)が乗っており、かなりの重量となっていた。


 「ここまででよろしいのですか?」

 メイドは確認を取った。

 

 「うん、じゃあ集中するから、出て行って」

 グラスは、キャンバスなど、絵を描き始める準備をする。


 「(カシコ)まりました。

  また何でもお申し付け下さい。」

 メイドは、どこか微笑(ホホエ)ましい視線でそれらを準備する姿を見て、この場を後にした。


 部屋に残るのは、絵の題材(ダイザイ)達と、それをキャンバス()しに(ナガ)めるグラスだけである。


 次第にメイドの足音が遠ざかった。


 「・・・」


 「・・・ふ、」

 「ぷ、」

 

 「「あはははははは!」」

 1つの部屋に2つの笑い声が上がる。


 ワゴンの布の中から、(イキオ)い良く

 耳までかかる青い髪を揺らし、

 もう1つの笑い声が正体を表す。


 ブルー侯爵家の子供、"ガブレス・ブルー"である。

 耳までかかる青髪と、すらっとした見た目や肌から、(サワ)やかな印象を受ける少年であった。


 「上手くいったね!」

 ひとしきり笑った後、ガブレスは、グラスを()める。

 「しかし、僕が隠れたワゴンをメイドに運ばせるなんて、

  最速だったんじゃないか?」


 「ははは!、出る時も使えるから、本当に最速になるな!」

 グラスは、その賞賛(ショウサン)を受け入れ、胸を張る。



 彼らが、今回の侵入で使用した手を簡単に説明すると、


 グラスが"宿題で絵を描く為“と言う名目でキッチンで絵の題材(ダイザイ)をワゴンに準備。

 そのワゴンには、ガブレスが事前(ジゼン)に隠れ、運ばれる、という作戦であった。


 (宿題の絵は、(スデ)に学校の授業で描き終わっており、偽装(ギソウ)工作(コウサク)も万全である。)



 「むぅ、僕も負けてられないなー、

  今度の僕の家の侵入は、楽しみにしておいてよね。」

 ガブレスは、考えていた自分の家の侵入(シンニュウ)経路(ケイロ)を思い出しながら、

 グラスに負けじとそう宣言(センゲン)する。


 「ははは!、これを超える作戦は、無いと思うけどなー。」 

 グラスは、胸を張り続け、その挑戦(チョウセン)を受けて立った。



 その時だ、

 突如(トツジョ)、窓のカーテンに、でかい影が、上から下へ落下する。


 「・・・えっ?、」

 「今の、なんだ?、」

 

 2人は、急いでカーテンを開け、下を(ノゾ)く。

 

 そこには、白髪をした少女がフードを深く(カブ)り、町に向かって()けて行く姿があった。


 「なに、あれ」

 ガブレスは、不審者(フシンシャ)の少女を見下ろし、発言する。


 「あれは、確か、アネス姉さんの子供のミースだったかな?

  近々、来ると聞いていたけど、何やってんだろ?」

 グラスは、前々から聞いていた話から、不審者(フシンシャ)の正体を見破(ミヤブ)り疑問に思う。

 

 「・・・って言うか!、3階から飛び降りたって事かよ!?」

 さらにグラスは、その少女が3階から飛び降りた事実に気が付く。


 「他には、何も落ちて無いし、そうっぽいね。」

 バイガスは、周囲を確認し、その推測(スイソク)肯定(コウテイ)する。


 「・・・ねぇ、グラス、」

 「あぁ、わかってる。」

 グラスとバイガスは、お互いに頷く。


 「3階から飛び降りても無事(ブジ)秘密(ヒミツ)は、

  必ず突き止めてやる!」

 「ああ!」

 そして、グラスとバイガスは、高らかにそう宣言(センゲン)した。

※備考


 ミースが3階から飛び降りて無事だった理由について、

 そのタネは、やはり魔法である。

 

 前にトロッコを着地させた時と同様に、着地の前に一瞬だけ身体を浮かせて着地したのだ。

 しかし、その際には強い光が放たれ、目立つ為、

 今回は黒の魔法を使用していた。



 また、

 レッド侯爵家:グラス・レッド (髪色はスカーレット色)

 ブルー侯爵家:ガブレス・ブルー

 この2人が仲良くなった()()めについて、


 家同士の確執(カクシツ)から、同級生となった彼らは、初めはバチバチにお互いを意識していた。

 そしてテストの点数で(キソ)い合う様になり、

 次第にそれ以外の日常生活の些細(ササイ)な事でも、(キソ)い合う様になる。


 しかし、互いにそれは遊びとなって行き、仲良くなって行ったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ