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私のお義姉ちゃん

「ソフィーは結構魔法が使えるんだね」

「生活魔法以外は基本中の基本だけですけどね。そろそろ見えてきましたよ。日が出ている間に入れそうでよかったです」

「意外と立派な壁してるね。結構大きい街なの?」

「街の規模としては普通だとおもいますよ」


 魔物対策で街には大きめの城壁が建っています。

 リノさんはそれを珍しいものを見るようにキラキラした目で見ています。

 ただの壁なので面白いことなんてないと思うのですが……。

 リノさんと並んで、門の入口へ並びます。

 森側に面している門のため依頼帰りの冒険者が多いみたいでそこそこ並んでいますがすぐに順番が回ってきます。


「仲良く姉妹で街までお使いか?身分証を出してくれ」

「あ~持ってないや。ないと通れない?」


 姉妹に間違えられてしまいました、そんなに似ているでしょうか。

 目の色は確かに似ていますが、私の髪が銀色に対してリノさんは金色です。

 でもリノさんがお義姉ちゃんだったら確かにうれしいかもしれません。


「そうか、照会に検査料が銀貨2枚かかるがいいか?」

「いま、手持ちがないんだけど先に換金とかできない?」


 一人でうれしく思っているとお金がなくて困っているようです。

 よくよく考えたら私も自分の身分証を出した場合見つかってしまう可能性もあるので使えませんね。

 私は一人っ子なので姉妹で居たとなれば追跡があってもばれないかもしれません。


お義姉ちゃん(おねえちゃん)、私家からお金持ってきてるから出せるよ」

「!?!!??そ、そう。じゃあ出してくれるかな」

「よかったな、しっかりした妹じゃないか。じゃあこっちに来てくれるか」

「う、うん。ありがとうソフィー」


 リノさんはだいぶ驚いた顔をした後に銀貨を受け取ってくれました、二人分なので4枚です。

 顔が少し赤いです、利用したことを怒っているのでしょうか……少し不安になりながら門番さんに案内されます。

 案内された場所は門に併設された小部屋で中で書類仕事をしている人が数名います。

 中の人に対応を引き継ぎ、門番さんは持ち場へ戻っていきます。


「では、こちらの板に手を触れてもらえますか?」


 職員の男性が水晶版の魔道具へ触れるように案内してきます。

 触れてみますが何ともありません。

 一瞬逃げてきたので反応するかと怖くなりましたが何事もなくよかったです。

 リノさんは興味深そうに仕組みを聞いているみたいです。

 確か魔力に反応して犯罪者かどうか調べているようですが詳しい仕組みはよく分かりません。


「お二人とも特に問題なしです。こちらが仮の身分証になります。有効期限は一週間です。それまでにギルドでギルド証と交換してもらってください」


 小さな金属板を受け取り門へと戻ります。

 さっきの門番さんがいたので受け取った仮の身分証を見せ通してもらいます。


「何ともなかったみたいだな。嬢ちゃんみたいなのが犯罪者だって言われたら逆に驚くけどな」

「人は見た目によらないけどね。ギルドってどっちに行けばあるの?」


 門番さんは大きく笑いながら通してくれます。

 ギルドはこの先の中央広場のあたりにあるそうです。

 建物自体は共通なので行けばわかるはずです。

 お礼を言って街の中へ入るとリノさんはきょろきょろと町を見回しています。

 服装も相まって目立っています。

 おのぼりさんみたいで少し……いえ、だいぶ恥ずかしいです。

 微笑ましい視線をあちこちから向けられているので手を引いて足早にギルドに向かうことにします。


「リノさん、日が暮れちゃうのでギルドに急ぎましょう」

「それもそうだね。そんなことより、お姉ちゃんって呼んでくれないの?」

「えっ……嫌だった訳じゃないんですか?」

「全然嫌じゃないよ!むしろもっと呼んで!今日からソフィーは私の妹ね」


 勢いに押され思わずうなずいてしまいます。

 でもお義姉ちゃんができたのはうれしいので顔が勝手ににやけてしまいます。

 顔を見られたくないのでフードをかぶり手を引いて前を歩くことにします。

 中央広場はすぐに見えてき、ギルドの建物もすぐにわかりました。


「お義姉ちゃん、あの建物が冒険者ギルドで、向かいにあるのが商業ギルドです」

「本当にわかりやすい見た目だね。さっさと登録して宿取ろうか」


 中に入るとギルド内は混んでおり、受付も結構並ぶことになりそうです。


「結構混んでるね。冒険者ギルドってお酒臭いと思ってたけどそうでもないね」

「昔はお酒もあったそうですよ。今は治安の関係で食事のみ提供みたいです。混んでいるのは依頼帰りの人が多いんだと思います」

「なるほどね、酔っ払いがいないなら変に絡まれることもないのかな」


 お義姉ちゃんはなぜか少し残念そうに言います。

 絡まれたかったのでしょうか、あんな人達が絡んできたらとても怖いと思うのですが。

 どこもあまり変わりませんが早そうな受付へ一緒に並びます。

 並んで待っている間特に絡まれることもなく順番が回ってきます。


「冒険者ギルドへようこそ。本日はどういった御用ですか?」

「新規登録お願いしたいんですけど。妹も一緒にできる?」

「はい、大丈夫ですよ。冒険者ギルドへの加入ですね。こちらの紙に必要事項の記入をお願いします。代筆は必要ですか?」

「大丈夫です」「私も大丈夫です」


 冒険者は大柄な男性が多いためカウンターが高くギリギリ私の顔が出るくらいの高さです。

 受付の人が笑顔で見守る中一生懸命に背伸びをしながら空欄を埋めていきます。

 私が書き終わるとお義姉ちゃんは待っていてくれたみたいで紙と一緒に仮の身分証を受付の人に渡します。


「はい、ありがとうございます。リノさん16歳とソフィアさん9歳ですね。登録が終わるまでの間に簡単に説明をさせていただきます」


 受付の人が説明してくれた内容をまとめると。

 ・ギルドからの指名依頼以外のケガなどは自己責任。

 ・ギルドカードにはランクなどの情報が保存されている魔道具なので再発行には手数料が銀貨10枚かかるのでなくさないように。

 ・ランクはEからAまでありEからスタートで貢献度により上がる。

 ・Cランクに上がるには別に昇格試験が必要で合格したうえで貢献度が必要になる。

 ・Cランクからは指名依頼を受けられるようになるため一番人口が多い。

 ・依頼表にはランクの目安が書いてあるので力量にあったものを選ぶこと。

 ・最後にケガをしても基本的には自己責任。

 とのことです。


「以上が簡単な説明になります。何か質問はございますか?」

「自分のランクより上の依頼も受けられるの?」

「討伐依頼は可能ですがあまりお勧めはしません。護衛依頼の場合は対象との交渉次第になります」

「なるほどね。魔物の素材はどこで買い取ってもらえるの?」

「買い取りカウンターがあちらにあるのでそこでギルド証を提示してもらえば大丈夫です」

「あそこか、あとは大丈夫です」

「かしこまりました、それではこちらがギルド証になります。今説明したことはこちらの冊子に詳しく書いてあるのでよかったら目を通しておいてください」

「冊子で渡されるんだ……。わかったわ。それじゃソフィー先に素材を売ったら宿を取りに行こうか」

「?わかりました」


 何かを持ち歩いているようには見えませんがお義姉ちゃんは何を売る気なのでしょう。

 買い取りカウンターのほうへ向かいます。

 こちらはあまり並んでおらず比較的直ぐに順番になりました。


「ここで素材を買い取ってくれるんですよね?量が多いんですがここに出して大丈夫ですか?」

「どのくらいの量ですか?失礼ですが大き目のマジックバックを持ち歩いているようには見えませんが……」

「私は収納系のスキルが使えるので。狼っぽいのが20匹くらいと熊っぽいのが2匹です」

「なるほど……解体場の奥までお願いします。こちらです。それと、収納系のスキルは珍しいのでダミーの鞄をもっておくことをお勧めします」


 驚きました、どうやらお義姉ちゃんは収納系のスキルが使えるようです。

 受付の人も驚いて小声で警告してくれます。

 確かに便利なスキルなので気を付けた方がいいかもしれません。

 受付の人に解体場の奥の部屋へと案内されます。


「こちらにお願いします」

「わかりました」


 案内された先は肌寒く生の素材が多く保存されている冷蔵室のようです。

 そこに次々と魔獣が積み上げられます。

 私に会う前にこれだけの量を倒していたのでしょうか、一人で歩いている間に襲われなくてよかったです。

 次々と出てくる魔物に職員の人は言葉を失いながら数えています。


「すごい量ですね……。フォレストウルフが23体にブルベアーが2体ですね。解体前なので手数料が引かれますがよろしいですか?」

「大丈夫です、買取に時間かかりますか?宿代がないので少しでも先払いしてもらえると助かるんですけど」

「解体前のものをこの量だと明日になってしまいますね。最低限の分を先に渡しておきますので明日以降残りを取りに来てください」


 カウンターへと戻りお金を受け取ります。

 結構な額になっていましたが、お義姉ちゃんは鞄を持っていないので私が受け取ることになります。

 お義姉ちゃんがお勧めの宿をギルドの人に聞き外に出ます。

 すでに夜の帳が下りており人通りはあまり多くありません。


「早く宿に行って休もうか。部屋が空いているといいんだけど」

「そうですね、早朝から動いているのでもう眠たいです……」


 手を取られ急ぎ足で宿の方へと向かいます。

 昨日の夜からあまり休めていないのでやっとまともに休むことができそうです。

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