表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/358

第63話「銃と怪物」

「グォォォォォォォォ!」


 ゲンジ先輩が獣のような呻き声を上げる。

 それと同時に、私はクイックドライブを発動させた。


 喧騒が遠のき、一瞬が永遠に引き延ばされる。

 本日、何度目になるかわからない『クイックドライブ』だ。発動しなかった他のスキルのことを考えると、やはり連続使用は危険かも。


 だが、そんなの関係ない!

 ジンやミクと違って、私の場合は。一撃が致命傷となってしまう。絶対に、ゲンジ先輩の攻撃を食らってはいけない。


「ふっ!」


 ゲンジ先輩の背後に回りこみ、側頭部に渾身の蹴りを叩き込む。

 だが、手ごたえはない。

 むしろ、私の足が酷く痛み出ほどだ。


「…やっぱり、肉弾戦は得策じゃないか」


 『クイックドライブ』の効果が切れる。喧騒が戻り、緩慢になっていた時が再び動き出す。


「…ゥグク」


 私を見失って、周囲を見渡す狂戦士。

 その横顔に向けて、銃弾を撃ちこんだ。


 ダンッ、ダンッ、ダンッ!

 三発。狙いを違えることなく、ゲンジ先輩のこみかみを捉える。

 しかし、ダメージは見られない。


「相変わらず、デタラメば頑丈さだね」


 ゲンジ先輩が私に狙いを定めて、『ベルセルグ』を振り下ろす。

 その巨大な剣をかわしながら、私は絶えず引き金を引く。


 ダンッ、ダンッ、ダンッ、ダンッ!

 頭、顔、関節。

 どこを狙っても、まるで効いていない。文字通りの化物だ。


「…なるほど。ジンやミクが苦戦するわけだ」


 残弾は残り一発。

 私は身を翻してベルセルグの剣筋をかわし、生じた隙に狙いを定める。


 ダンッ!

 最後の一発が眉間を穿つ。


 だが、銃弾は硬い皮膚に阻まれて止まっている。

 歪んだ金属の破片となった銃弾は、小さな音を立てて地面に落ちる。


 『ヨルムンガンド』の銃弾は全て撃ちつくした。残っているのは、回数制限のある切り札の『魔弾』のみ。


 そして―


「ようやく出番だよ。…『フェンリル』」


 右手に『ヨルムンガンド』を持ったまま、胸のホルスターからリボルバー式の銃を取り出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ