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第22話「その男。…ジン!」


――◇――◇――◇――◇――◇――◇―― 


「俺の名前は、陣ノ内暁人! よく覚えとけ!」


 子供の頃、よく虐められていたボクを。いつも助けてくれる友達がいた。


 彼はヒーローのように颯爽と現れて、ボクを悪ガキたちから助けてくれた。


「ほらっ。立てよ、ユキ」


 その日も、ボクは。学校帰りに虐めを受けていた。

 ランドセルを取られて、中に入っていた教科書なんかも辺りに散らばっている。


 そんなボクを見つけると、その友達は。すぐさまボクの元に駆け寄る、…なんてことをするわけもなく。悪ガキたちに気づかれることなく、背後へと忍び寄る。


 そして、無防備になっている後頭部に目掛けて、ランドセルを振り下ろした。


 完全な奇襲。

 そのまま、目潰しの砂投げ。腹に一発入れてから、股間を蹴り上げる。しまいには、そいつを人質にとって、その顔の前に犬のフンをチラつかせる。


 卑怯だぞ、と声を上げる悪ガキたち。

 そんな彼らに、彼は何の後ろめたさもなく答える。


「あぁん、バカ言っているんじゃねぇ。卑怯(それ)を言っていいほど、お前らは真面目に生きてないだろーが」


 そして、彼は。

 喧嘩も普通に強かった。悪ガキたちを蹴散らして、ボクに向けて手を伸ばす。


 何度も謝るボクに、彼はいつも楽しそうな笑みを向けるのだ。


「ははっ、俺たちは友達だろう。だったら、助けるのは同然さ」


 だから、もし俺が困っていたら。今度はお前が助けてくれよな。

 彼は、そう言って。

 楽しそうに笑ってみせた。



――◇――◇――◇――◇――◇――◇―― 



 その笑顔を見て。

 嬉しさと懐かしさで、胸がいっぱいになる。


「…どうして、ジンがここに?」


 ボクの問いかけに、彼はいつものように楽しそうに答える。


「話はあとだ。今はこいつをどうにかしないとな。ユキ、やれるか?」


 ジンの言葉に、ボクは力なく俯く。


「そうか。だったら…。ふんっ!」


 ジンは気合いと共に、巨大な剣を弾き返す。

 そして、一歩踏み込んで、…相手の懐にもぐりこんだ。野獣のような掛け声を上げて、ジンの両腕が叩き込まれる。


「おらっ!」


「ぐおっっ!?」


 オーガ族の巨体が吹き飛ばされる。

 そのままレンガの壁へと叩きつけられて、その巨体が石畳に倒れた。

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