第2話「さぁ、そろそろ始めようか。この世界の秘密を解き明かすために」
…。
…。
……。
「おーい、ジン。聞いてる?」
「…お? 悪い悪い。ちょっと気が抜けてた」
親友の声に、俺は改めて目の前を見渡す。
『ヴィクトリア』の宮殿。
その一室にある、『十人委員会』の会議室。
10掛けの円卓には、俺を含めて8人が座っていた。
ミク。
コトリ。
ゲンジ先輩。
誠士郎。
神無月有栖。
碓氷涼太。
そして、ユキ。
残る2つの座席を見ながら、改めて会話の輪に入る。
…思い返してみれば、あの時が俺の分岐点だったんだよな。小学校の帰り道でユキと出会い、こうして仲間と呼べる人間ができた。
「あと、もうちょっとでメンバーが揃うね。なんだか楽しみだなぁ」
楽しそうに喋る親友を見て、俺は目を細める。
こいつらのために、何かしてやりたい。
現実主義の考え方とか、損得勘定とかなしで、そんなことを思ってしまう。
俺も変わったものだ。
空いている席は2つ。
1つは、生徒会長『天羽凛』。
もう1つは、十人委員会で唯一の1年生『岩崎 快司』。
生徒会長はすでに、こちらに向かっているはずだ。あとは快司だけだが、皆と合流するように指示を出しておいたので、ユキたちも快司のいる場所に気がつくだろう。
ようやく全員が揃う。
…さぁ、そろそろ始めようか。
…この世界の秘密を解き明かすために。




