エピローグ「会長からの手紙」
《会長からの手紙》
…待たせたな、私だ。
海洋国家ヴィクトリアを離れて、このゲームのような世界を調査してきたが。そろそろひと段落がつきそうだ。
結論から言うと。
この世界の寿命は、あと数か月だ。
黒い空間の侵食は止まることなく、お前たちのいるヴィクトリアへと迫っている。
いいか?
これは恐らく、既定事項なんだ。
最初から決まっていた世界の終わり。その時期は、この世界とそっくりなオンラインゲーム、《カナル・グランデ》のサービス終了時期と一致する。我々は、終了間際の世界に取り残された囚人というわけだ。なかなかに笑えるだろう?
さて、本題だ。
ここまでの記載でわかる通り、これは作為的な状況だ。
つまり、誰かが裏で糸を引いている。
犯人と呼ぶべきなのか微妙だが、間違いなく我々をこの状況にした首謀者がいる。それは間違いないだろう。怪しい人物がいたら、今の内に警戒しておくこと。あと、何があっても優紀に悟られてはいけない。あの子の精神は、とても脆弱だ。我々で守らなくてはいけない。
これから帰国の途に着く。
盛大に歓迎をすること。もし、手を抜くようなことがあったら、トマホークに結び付けて成層圏に打ち上げてやるからな。覚悟しておけよ!
追記。
あえて書く必要はないと思うが、偉大なる先輩が忠告してやろう。
…アーニャから目を離すな。
この世界で唯一、彼女だけが鍵になりえる。
気をつけろ。
そして、疑え。
~私の大っ嫌いな生意気な後輩、陣ノ内暁人へ~




