星に願いを込めるには
「星に願いをこめよう!」
急に、ウサギが言いました。
「今日、森に来た男の子たちが言っていたんだ。流れ星に向かって、三回お願い事を唱えると、叶うんだって!」
「そんなの嘘だよ。」
とリスが言いました。
「本当だよ!ねぇ、フクロウさん。」
ウサギが、一番年が上のフクロウにたずねました。
「そうかもしれないねぇ。」
「ほらね!」
と言うウサギに、リスは、
「かもしれない、って言ったんだよ!ある、とはいってないもん!」
と言い返しました。
「じゃあやってみればいいじゃないの。」
とキツツキが言いました。
キツツキは一番しっかりしていて、みんなから頼られています。
「そうしよう、そうしよう。そうしたら、本当か嘘かわかるでしょうよ。」
少しとげとげしく言ったリスに、ウサギも言いました。
「絶対本当だよ。」
話がまとまってくると、フクロウが言いました。
「あと一週間もすれば、流れ星がたくさん見られるよ。その時に試してみるのはどうだい。」
「”いっしゅうかん”って、どのくらい?」
子ジカがたずねました。
「そうねぇ、6回おひさまが沈んで、7回目の朝がきたら、一週間よ。」
親ジカがそう教えました。
リスとウサギは、「ほんとう」と「ほんとうじゃない」で、流れ星がたくさん見られるようになるまで、顔を合わせるたび、ケンカをしていました。
そして、7回目の朝がきました。
ウサギもリスも、夜になるまで待ちきれず、朝からずうっとそわそわしていました。
夜がやってくると、ウサギはぴょんぴょんはねて、リスは木の上でくるくる回りました。
空のよく見える広場に行くと、みんなは流れ星を見るために、寝転がって上を見つめました。
「あっ!」
子ジカが叫びました。
「流れ星!」
リスもウサギも言いました。
フクロウは、
「始まったよ。」
と、静かに言いました。
すると急に子ジカが、誰に、というわけでもなく、たずねました。
「ねぇ、どうやって願いを込めるの?」
「心の中や、口に出して、三回自分の願い事を唱えるんだよ。」
親ジカがそう言うと、子ジカは、
「ふうん、決まってるんだねぇ。」
と空を見ました。
するとフクロウが、
「いいや。」
と言いました。
みんながびっくりして、フクロウを見ました。
「どういうこと、フクロウさん。」
「そうだよ、どういうこと?」
ウサギも、リスも聞きました。
「願い方はひとつじゃないのだよ。」
と言うと、語り出しました。
「人間たちの間でもね、三回自分の願い事を唱えるだとか、流れ星が落ちきるまでに自分の願い事を言えたら叶うとか、いろいろな話があるのだよ。」
「へぇ。なんでそんなにたくさんあるの?一つの方が、本当のように感じるでしょ?」
リスは聞きました。
「人それぞれ、という話だよ。人それぞれの願い方であるから、人それぞれの願い事を叶えることができるのだよ。それが大事なのだ。自分で決める、ということが大事なのだよ。」
そう言うと、また、空を見上げました。
みんなは、少し考えました。
リスもウサギも、叶うとか、叶わないとかは気にならなくなり、自分なりの願い方を考えました。
そしてみんなは、空を流れる星たちを、それぞれの思いを持って、見つめました。
読んでくださってありがとうございます。
そして、新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
さて、今まで書いたことのない、”童話”というジャンルにチャレンジしてみました。
初めてなので、これが童話なのかはわかりませんが………
漢字を使いすぎ!?とか、すごく悩んでいるのですが、ぜひ、評価してくださると嬉しいです。
それでは、別の小説でお会いしましょう。