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ゼロから始まる勇者学  作者: ホメオスタシス
学校見学編
12/125

第10話 学園都市街

生徒会長、椿川(つばきがわ)愛華(あいか)に切り出された提案。

 それは、生徒会に入らないか?という至極単純なもの。

 しかして何気ないその提案は、勇香はおろかその場にいる全員を凍り付かせた。


 しばらくして、脳の思考回路が戻ってきた勇香だが、


「わわわ私が!?!?!?せせせ生徒会!?!?!?」

「実はつい先日に一人生徒会を抜けちゃって、庶務の席が空いてるのよ」


 本気だ。この会長本気である。

 その澄んだアクアマリンの瞳に一切の噓偽りは感じられない。

 どうやら本気で自分を生徒会に勧誘しているらしい。


「会長、それはいくら何でも……」


 隣にいる聖奈からもそんな言葉が漏れてくる。当たり前だ。

 だが、愛華は表情一つ変えずにこう言ってのける。


「そう?私は学園をよりよくしたいって、思っている人ならだれでもいいと思うけど」

「わわわ、私なんてまだ入学さえしてないし……」


 学園をよりよくするどころか、学園に在籍してすらいない自分をどうして生徒会に誘えるのだろうか。勇香には愛華に対する完璧というイメージがだんだんとブレてきてしまう。完璧というかただの天然なのか。

 と、続けざまに聖奈がおずおずと口ごもる勇香に変わり、言葉を加える。


「それに生徒会を目指していた他の生徒からの批判が出るし、本人にとっても重いプレッシャーになると思います」

「全く、生徒会に所属しただけで()()()()()()()だなんて風習誰が決めたんですかねぇ」

「ま、まあ歴代のメンバーがみんな強者揃いだったわけだし、仕方ないんじゃないかな?」


「ぷぷぅー!!まりあん、今さりげなく自分の事最強って自称したね」

「じ、事実なんだから別にいいじゃないですか!!」


 アリスが口にニマニマと口に手を当ててと麻里亜を揶揄うと、くわっと立ち上がって反論した麻里亜。その時、悍ましい程の威圧感が背後から放たれ、振り返るとこの上なく鬼の形相をした妃樺が蔑んだ目で麻里亜を見ていた。


「会長よりも脆弱なお前が、最強……?烏滸がましい、傲慢、恥を知れ」

「……っ!!」


「ぷぷぅー!!怒られてやんの」

「会長……そろそろ、会議の時間です」

        

 その後、妃樺は表情をさっと切り替えて愛華にそう伝えると、颯爽とその場を去って、そうねと頷いた愛華の背後に回る。

 それを見計らい、別にいいじゃないですかと小声で拗ねる麻里亜。


 今ので何となく生徒会というものがどのような集団なのかは把握できただろう。

 結論から言うと、ぱっと出の勇香が生徒会に入るなど妃樺の言葉を借りれば烏滸がましいという事だ。     

 そういえば、妃樺はあまり愛華の提案に反論することはなかったがどうしてだろう。勇香も罵詈雑言の嵐を喰らうだろうと少しは身構えていたのだが、結局暴言を吐いたのは麻里亜に対してだけで自分の時にはずっと黙然としていたような。

 そう無意識のうちに思考を巡らせていると、前方の愛華から声が上がった。


「さて、じゃあそろそろ歓迎会も終演としましょうか。生徒会の件は決めてくれた?」


 どうやらまだ本気らしい。


「せ、生徒会なんて……!!」

「ふふっ、あんまりプレッシャーをかけなくても、ゆっくり決めていいのよ」  


 だが、そう慈愛に溢れた笑みを零す愛華に、勇香はノーと断言できるはずもなく、

     

「か、考えておきます……」

  

 それだけ、言葉を告げた。


 *


「生徒会の皆さん、親しみやすそうで良かったです」

「そうそう、だからあんなに身構える必要なかったんだって」

「そ、そうですね」


 生徒会室を出て、白塗りの廊下を歩く三人。


「それにしても、疲れた……」

「本当に体力ないんだね勇香ちゃん」


「まあ、体力なんて人それぞれだし」


 会議があるというのに見送りに来てくれた愛華の言葉に、勇香は苦笑いで返す。

 だが、この後に待っているのは学園都市街。

 この疲れも根こそぎ消し飛ぶと期待し、勇香の肩は徐々に軽くなる。


「勇香ちゃん帰宅部だったの?それとも引きこもり?ニート?」

「帰宅部なだけです、ちゃんと学校には行ってましたよ!アリスさんも私の制服姿見たじゃないですか」

「あーそういえば着てたねぇ。体格のわりに服がぶかぶか過ぎて一見そういうファッションなのかと誤解したやつ!」

「いや、そんな言われるほどぶかぶかでは……」

「ぷぷぅ!そうだよねぇ勇香ちゃん中身のわりに見た目まだ小坊だもんねぇ。なのに高校って無慈悲すぎる!勇香ちゃんみたいなお子ちゃまでも制服絶対着用だし!小学校なら制服がないのにね、それでこの学園の制服を紹介した時私服登校がいいって戯言を吐いたのかな?」

「……っ」


 その長ったらしい発言で、何かのスイッチが起動した事を察した勇香。


「無理もないよアリスちゃんが学長に直談判してあげようか?勇香ちゃんのミニマムサイズに合う制服はないよぉって!あっそうだった……ごめんね?ここ小学校じゃないから制服絶対着用なんだよぅぷぷぷぅ!」


「あ、アリスの煽りはいつも的確に抉り取って来るわね……」

「アリスさんは常に誰かを煽ってないと死ぬんですか?」

 

 歩きながらわははと盛大に笑いこけるアリスに、その様子を見て顔をしかめる愛華と勇香。

 再びエレベーターの前に着いた三人。愛華は下階へのボタンを押すと振り向きざまにアリスに忠告する。


「アリス、お構いなしに人を煽るのもほどほどにしなさいよ」

「いやいや、アリスちゃんは息をするように人を煽り散らかすやべーやつなんかじゃなくてちゃんと公序良俗に準ずる正統派(あお)ラーだよ。ちゃんと時と場はわきまえて、ちょっと気に入った娘がいれば話しかけるだけだって。そうすると大抵はぷんぷん怒ってその場を立ち去ったりとか、その子が泣き崩れちゃって、駆け付けたせんこーに職員室まで連行されるんだけどね」


 その時、勇香は学院棟の廊下でアリスを見て焦燥していた生徒たちの光景を思い出す。


「だからあんなに周囲から怖がられてたんですね」

「あ、あなた自分の特権で何もかもが許されているとはいえ、それはやりすぎよ?」


 思えばさっきのアリスの煽りもなかなかの殺傷能力の高さだったがよく耐えたものだ、と珍しく自分を賞賛する。いや、単に慣れただけかもしれない。

 なんせ、初対面の自分にさえ猛火の如く煽り散らかしてきたのだ。それは慣れるだろう。


「勇香ちゃんにも今度、言葉は時に武器になるって体に刷り込ませてあげるよ」

「結構です」

「ふふん!アリスちゃんが勇香ちゃんを学園最強の煽ラー、いや凶言語戦士(ワードバーサーカー)にしてみせる!!」


 そんな職業その他にもなかったとアリスを一蹴していると、


「とりあえずアリスの宣言は無視するとして、勇香はこの後学園都市街へ行くんでしょう?」

「あ、はい。そうですけど……」

「そう、なら存分に疲れを落として明日を迎えなさいな」


 そう告げて、到着したエレベーターに乗り込む二人を見届ける愛華。

 勇香はそれにありがとうございましたと、応える。

 いい人だったな、と心の中で呟いた勇香は、振り向きざまに排泄物を見るような目でアリスを見つめる。


「えぇ、何その目かいちょーの時とは大違い」

「会長さんは優しい人です。アリスさんは……醜い人です」

「ちょっとちょっと、分かったから!謝るからそんな目しないで―!」


 *


 学園都市街とは、勇者養成学園がある岩山の周囲に広がる一帯の総称だ。

 もちろんそこには表日本側の入り口は含まれておらず、それ以外の区域を言うのだが。

 学園都市街は学園に通う生徒たちが住まう、居住区。買い物や娯楽を楽しむことができる商業区と区画分けされており、どちらにも、ヨーロッパのような美しい景観の建造物群が立ち並んでいる。

 勇者養成学園と学園都市街を一つに例えるなら、中世ヨーロッパの世界を模したテーマパークだ。

 これは、いざ生徒が勇者養成学園を卒業し裏日本で正式に勇者としての活動を始めた時のために、裏日本の世界観に順応してもらうためでもある。


 勇者養成学園の長い廊下を抜け、中央階段を最下階まで降りると、そこには東京駅の丸の内口を彷彿とさせる広大なエントランスが広がっていた。

 エントランスには規則的に白い柱が何本も建っており、所々で柱に寄りかかり待ち合わせをする生徒の姿が伺える。 

 そこを抜け正門に出ると、目の前には大きな堀とともにそこにかかる石橋が、

 橋の先には悠々とそびえたつメルヘンチックな建物が並んでおり、気分はさながらヨーロッパを旅行をしているようだった。

 そこから改めて勇者養成学園を見渡すが、巨大すぎて全景を拝むことはほぼ不可能で、もはやこの施設が「学校」だと信じられなくなってしまった。


「さて、じゃあお待ちかね、学校見学最後の締めとして学園都市街を案内しちゃうよ!」

「は、はい!」

「先に説明しとくと、学園都市街は勇香ちゃんが勇者養成学園で生活するために基盤となる衣食住を行う場所のこと。勇者養成学園は所謂全寮制だからね、卒業するまでの三年間を学園都市街の居住区で暮らすことになるよ」

「まあ、此処に来た時点で分かってました」


 正確には表日本の勇香の実家を出発するときに、だが。

 あの時、自分の衣服や生活必需品云々を根こそぎ段ボールに詰め、それらを迎えのリムジンカーに所狭しに詰め込んだ時点で、三年間、いや下手したらそれ以上は表日本に帰還することは叶わないと覚悟していた。

 今となっては自分が失踪者扱いされているとのことで、戻るという行為自体が夢のまた夢になってしまったが、

 もし還れるとするならば、それこそ魔王を倒すか、この世界が終わるぐらいしか……


「おーいどうしたの?そんな愁然としちゃって。今から楽しい楽しい学園都市街を散策するんだからもっと気持ちエキ↓サイ↑ティング↓にしなきゃ」

「そうですね。そういえば、居住区でしたっけ……私が住む寮はどこにあるんですか?」

「それはまた後のお楽しみ!勇香ちゃんもお楽しみは最後に取っておくでしょ?その前に、まずは商業区を案内するよ」

「商業区?分かりました」


 そうして歩き出したアリスの後をついて、勇香も足を進める。

 石橋を渡り、対岸の大通りへやって来た二人は、そのまま大通りを散策する。

 歩きながら周囲に並ぶ建物群を見回してみると、呉服店やベーカリー、コスメショップというような日用品を扱う店から、クレープやアイスクリーム、果ては一時期流行っていたタピオカやマリトッツォ、台湾カステラの露店も構えているではないか。そのほかにも様々な店が軒を連ねているが、一通り加味して言えることは、若者嗜好の店が多いという事だ。そこはまるで……


「ここは商業区のヤングストリート。通称裏日本の原宿!!」

「確かにそんな感じしました。一回も行ったことないですけど」

「うんうん。商業区にはね、今どきの女の子の需要を考えたお店がたくさん並んでるんだよ!勇香ちゃんはどこか行きたいお店はあるかな?」

「私は……電気屋さんのスマホ売り場……」

「え、そこで何したいの?」


 生粋のスマホ世代の勇香だが、残念ながら新作の機種が出ても、両親はただでは買ってくれることはなかった。そこで、新機種が発売されると同時にそこへ足を踏み入れ、見本をありのままにいじくりまわす、という趣味?を持っていたのだ。

 しかし、もうこの世界ではそれもできない。そう感慨深くなっていると──


「あ、そうだ、スマホで思い出した!勇香ちゃん、今スマホ開ける?」

「え?は、はい」


 アリスに言われるがまま、勇香はパーカーのポケットにしまっていたスマホを取り出す。もはやこの世界では一度も使う機会はないと思い、表日本を出たと同時に電源を切ってしまっていた。

 とりあえず電源を入れ、いつものロック画面が表示されたスマホを勇香は一見すると、


「立ってるよね!立っちゃってるよね!!」

「あれ?ネット繋がる!?」

「勇者養成学園の敷地内では大手携帯キャリア四つの回線が全てつながるんだよ」

「え?いいんですか?」

「うん。だってだって、どうせ卒業すればどのみちインターネットとはおさらばなんだから、せめてもの学長からの配慮ってやつ?だよ」

「でもこれって、親と繋がれるってことですよね。それなら私は無事って伝えれば」

「残念ながら、電話やメールはできないんだ。SNSで裏日本の情報を発信することもできない。見ることはできるけどね」

「そうなんですか」


 そういえば、カラオケの一件の際にアリスが魔法という存在を表日本の人たちに伝えれば、表日本が大変なことになってしまうと言っていた。

 大変なことは何かは知らないが、おそらくそれがこちらから発信手段を取れないことに関係しているのだろう。


「というか、表日本からどうやってインターネットを繋いでいるんですか?」

「それは魔法でちょちょいのちょいってね」

「大丈夫なんですかそれ?」


 魔法って便利だな、と感じた勇香だった。


「さてさて、話はそれちゃったけど続けて商業区散策へ行くよー!」


 少し勾配のある通りを進むと、脇に小さな小路地が見えた。

 アリス、そして後の勇香はそこを曲がり、橙色の壁に囲まれた薄暗い小路地の石階段をゆっくりと登る。

 途中にはいくつか店があった。穴場スポットというやつなのか。

 この通りに構える店は少々だが、さっきの大通りとはうって変わって、ガレットを売る店や古本屋などこじんまりとした、それでいてこの景色に調和するような店が多かった。バーもあったような。


「学園都市街にはこういう小路地がちょいちょいあるけど、結構隠れ名店ってやつがあるんだよね。勇香ちゃんも暇なとき探してみるといいよ」


(ラーメン屋さんとかあるのかな)


 そこを登り終えると、再び開けた石畳の通りが見えてくる。

 夕刻だからか、お洒落な外観をした街灯が所々でぽつんと光を灯した。

 だが、相変わらず学園の生徒は誰もいない。


「さて、ここの通りはさっきよりも数倍広いけど、どんな施設が並んでるか分かるかな?」

「えっと……」


 勇香は首と体を器用動かし、周囲を眺めてみる。


「カラオケとか、ゲーセンとかありますね」

「そそ、この通りは物を買うって言うよりサービスに特化した店が多いんだ。通称裏日本のTDL!!」

(ラウンドワンじゃないんだ)


 そこで勇香ははっと気づく。確か、この学園の全校生徒は三十七人だ。 

 そして、学園都市街は学園生徒のための憩いの場。

 さらに、見るからに学園都市街はアリスが口にしたTDLくらい、またはそれ以上の規模はある。ということは、ゲーセンや、あるかは定かではないが映画館は実質貸し切り状態だという事なのか。


「映画館ってあるんですか?」

「まあ一応あるけど、最新の映画とかはもちろん流せないから、やってるのは表日本でDVDとして発売されたのを輸入してきたものぐらいかな。後は、恋愛物とかが多いね。需要的に」

「うっ……」


 生まれてこの方恋愛関係の物語など一切触れてこなかった勇香は、アリスの話に息が詰まった。


「さあさあ次行こー!」

「はい」


 アリスの先導の下、人一人いない大通りを進む勇香。

 しばらくすると、活気あふれる露店が並ぶ路地が視界に入ってきた。

 雰囲気的に市場なのだろう。しかも海外の旅行番組でよく目にする、店先に色とりどりの野菜や果物が並んだあの市場だ。


「ここはマルシェだよ。日本風に言うと市場かな。通称裏日本の豊洲市場ッ!!!」

「つ、通称好きですね……店番の人は誰なんですか?」

「裏日本の人だね。学園都市街の店は大体裏日本の人が営んでるよ」

「へぇー」


 と、マルシェの奥の空がオレンジ色に染まってきた。どうやらもう夕暮れの様だ。


「おっと、陽が沈んできたようだね。他にも商業区にはたくさんの通りがあるけど、時間の都合で今日はこれまで。それじゃあ、勇香ちゃんが下宿に使う()に行こうか」

「い、家……?」

「さあいこう!今はこの通りにアリスちゃん達しかいないからね!そそくさと退散しないと店番のおじさんから格好の的になるよ!!」


 アリスの言葉に引っかかった勇香だが、その前にアリスが全力疾走で道を戻るので、慌てて勇香も駆け足で付いていく。

 やがてアリスの足が遅くなったので、勇香はふと疑問に思ったことを尋ねた。


「あの、そういえば。お金とかどうするんですか?私この世界のお金なんてびた一文も」

「全部無料!あと学園都市街の店でバイトすればこの世界のお金とかを稼ぐことができるよ」

「え!?」

「これも、学費が無料なのと同じ理由だよ。裏日本で勇者になったらそれで生計を立てないといけないから、ここではお金は取らない」


 その一言で、もし連れ去られたという事実を除けば、この学園は表日本と比べてもトップクラスの待遇の学校なのでは?っと勘づいた勇香だった。


 *


「さあここが居住区だよ」

「うわぁ」


 ゲーセンがあった大通りを学園都市街をぐるりと半周するように歩き、辿り着いたのは、煉瓦が積まれた住宅が立ち並ぶ通りだった。

 ここでは帰宅する生徒たちも伺える。


「居住区は主に学園の生徒が寝食に使う家があるところだね。学園のほとんどの生徒は居住区に住んでるんだ。別の場所に住んでる人も一人だけいるけどね」

「わ、私も離れたところがいいです……」

「だーめ、その子は特別だから、勇香ちゃんの家はもう決まってるよ」


 そう言って歩き出すアリスに、勇香は悄然としながらも後を追う。

 歩き続けてしばらくすると、十字の分かれ道の脇に小さなスロープがあった。

 そこを降りて少し下のあぜ道に入ると、人気のない空き地の先にその家が見えて来た。


「さあ、ここが勇香ちゃんが三年間使う家だよ」

「はぁ……私は何階ですか?」


 白い外壁に焦げ茶色の木材が壁にむき出しになったその家は、見たところ三階建てくらいはある。玄関の扉はアーチ状になっており、外観もやや趣のある家だ。

 できれば三階がいいと願っていた勇香だが……


「え?全部だよ?」

「ぜ、全部……?」

「そう、貸し切り一棟使えちゃうよ!!」

「えっ、ええぇぇぇぇ!!!!!」


 そう、居住区に並んだ家々は、一棟まるごと生徒たちの居住空間なのである。


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