インター猫〜リモート猫の集会〜
草も眠る、丑三つ時・・・
クロナは、むくりと起き上がった。
「にゃ〜」
尻尾を揺らし、耳を伏せて、自分と飼い主の書斎に向かう。
ぱちん。
灯りをつけ、自分のパソコンを立ち上げる。
「猫の集会」というロゴのコーナーが、呼び出される。
「さて。
「にゃんにゃんにゃん」っと。」
パスワードを打ち込むと、猫や猫耳の姿が画面の向こうにずらりと。
「本日は、コロナ下ゆえに、こんな形になったにゃ。
しかし・・・
我らは、自立のため・・・
ご主人様にかわいがってもらうヒモ生活のため・・・
あるいは、贅沢をするため、手段を選ばんにゃ!」
オバサン風猫耳が、言う。
この地域の猫のボスだ。
「ネットカフェ・猫耳堂の店主が、よく言うにゃ。」
紅茶を飲む、ロシアンブルー系の猫耳少女が茶化す。
ゴシックロリータ風の、かわいい服を着ている。
彼女は、飼い主とともにデザイナーをしている。
「いいんじゃないですか?」
袈裟を着た、おかっぱの白猫耳が言う。
かくいう彼女の飼い主は、イケメン住職だ。
「うるせーよ。
この「尼」!」
ベルガル系の、少年系猫耳が言う。
彼は、飼い主にマネージャーをしてもらい、スケボー競技のネット中継で食っている。
「オレ、商売あがったりだ!」
「でも、広告料で稼いでるにゃ。」
ロシアンブルーが言う。
「バーローッ!
新しい投稿がないと、ダメなんだッ!
そこ言うと、そこの作家兼投資家様はどうなんだ!?
えッ!?」
いきなり、話を振られて、ビックリするクロナ。
「えっ?
あちし?
うーん・・・
町内の、一軒家に引っ越したくらいで、それ以上の贅沢はしてないにゃ・・・」
しどろもどろの、クロナ。
そのとき、ボスがぱんぱんと手を叩く。
「別にいいにゃ。
コロナを乗り換えて、空き地で再び会うにゃ!」
そうして、集会はお開きとなった。