旅
この度は旅を読んでいただきありがとうございます。
ことわざから短編作ってみっか!って事で、思い付いて30分位で書いてみました。
なにぶん寝れない夜更けには、このように頭の中に文字が踊るもの。
小説家とはかくこうあるべきとそう思う。
ちなみに私は文字が踊るとは程遠く、喧しく纏まりがない。
私は旅をしています。
知らない土地で知らない人と知らないない酒を飲み。
聞いたことも見たことも触ったこともないようなものを食べ。
そして翌日にはまた旅に出ます。
街から街へ転々と。
そんな生活を続けるのも時々嫌になり、歩みを止める事もあります。
そしたら根なし草を辞めて、居心地が良い所で羽を休めます。
そしてあるお嬢さんに出会った話。
「……旅人さんはどうして旅をしているのですか?」
「うーん……。もう忘れてしまいましたよ。どうしてそんな事が気になったんですか?」
「私に色々な事を教えてくださったのに、ご自身の事はあまり教えてくださいませんでしたから」
「確かにそうかもしれません。では一つ私に教えて下さい。そしたらお答えしましょう」
「分かりました。何でも聞いてください!」
「……なぜあの日お嬢さんは私を拾ったのですか?」
「……あ~……。……笑わないでくれますか?」
「はい」
「……フラれて……、フラれてしまったんですよ。あの日の昼に。そこからは色々なお店を巡って」
「食べて飲んでフラフラと。そしたら旅人さんを見つけました。聞けば少し休みたいとのことで」
「寂しかったから。それを埋めてくれるなら何でもよかったのかもしれません。猫でも犬でも」
「……なるほど。確かに寂しさは死に至る病ですから。私の旅でも、妻に先立たれ明日僕は死のうと思う。と仰った妙齢の方がいらっしゃいましたよ」
「その方の話が私の隣の方にも聞こえたんでしょうね。号泣しながら、死んじゃダメだよ!そんな悲しいこと言わんでくれよ!って……」
そこから私は彼女が眠るまで旅の話を聞かせました。
「……ふぅ。さすがにこの寒さは堪えます」
「……待って!!待って旅人さん!」
「お嬢さんそんな格好で外に飛び出すものじゃありませんよ」
「……はぁ、はぁ……!何も言わずに、こんなのってあんまりじゃないですか!」
「旅人さんは何も教えてくださいませんでしたが、私と一緒にこれからもいてくださらないのですか!」
「そうだ!私と一緒にお店を開くなんてどうですか?きっと楽しいです……!二人で旅行なんて行くのもどうですか……!」
「…そんな困った顔をされないでください」
「……昨晩の答え!……そう!質問に答えてすら下さらないのですか……!」
「……笑いませんか?」
「笑いません!ですから私と……!」
「猫になりたかったんですよ」
「へっ?」
「猫になりたかった。誰かを困らせて何食わぬ顔で去っていく。そうなりたかった」
「はははっ。はぁ~……。そう、ですか。」
「はい。では、さようなら」
「……さようなら、旅人さん」
冬の朝また私は旅に出た。
きっとお嬢さんは私が見えなくなるまで、ヒラヒラと手を振っていたのでしょう。
「……ふぅ……。すぅ…。旅人さんのぉ!!!嘘つきぃーーい!!!!」
「……少々カッコつけ過ぎたでしょうか」
あとがきですよ!あとがき!どうもこんばんはなつみんです!
この二人の関係性ですが。ナニとはいいませんがしてます。ピロー的なアフター的なトークです。
旅人さんは1ヶ月以上1年未満位お嬢さんの家にいたんじゃないかな?
そりゃもう男女のあれですは。なっ!
なるべくお嬢さんと旅人さんが対比になるように書こうとしました。
最後お嬢さんが素直に見送ったのは、旅人さんの心がもうお嬢さんの元にはないから。
お嬢さんと旅人さんがアフター的なトークで旅人さんのことを聞こうとしたのも、旅人さんがもうそろそろ居なくなるんじゃないかとお嬢さんが思ったから。
そしてお嬢さんがそう思ったから、旅人さんはまた再び旅に出た。
文字を殴り付けるように書いたら、喧しい頭の中も静かになりもうした。
寝ようとおもいやんす。