私は"わたし"
—第1章—
私は"わたし"
私と同い年くらいのjkの集団、自転車をこぐ小学生、これから夜職だろうと思わしき女性、さっさとバイトを上がりたいと思ってデリバリーをしてる男性、私はベランダで背伸びしすぎたタバコを吸いながら人間観察をしてきた。
今日は午前に雨が降っていたのもあるのかジメジメとしていた。相変わらずとても蒸し暑かったヤニを体内に入れて満足し雨水で溜まった灰皿に火を消した。ジュって音がした。
汗がダラダラと流れてきたから消したばかりの冷房をまたつけた。
私は「リア充」というリアルに充実している高校生ではなく、家で引きこもっているような女子高校生だった。
それなりに友達はいたがみんなバイトや進路活動で忙しかった。
私はというと進学ではなく就職を希望したから会社見学にはいっていた。なんなら会社見学がある日しか今のところ外に出てないかもしれない。
女子高校生にとっては「つまらない夏休み」だった。
ソーダ味の棒アイスを食べながら外を眺め、たしかに笑っちゃうくらいつまらないなと自分を嘲笑った。
彼氏という存在がいない私はその日なんだか心寂しくなった。
今までそれなりに恋愛はしてきたほうだ。
同い年のサッカー少年と付き合ったり大学に入り青春真っ只中の年上と付き合ったりした。もちろんすべての"初めて"は捨てた。
けど、このアイスみたいに溶け切ってすぐなくなってしまう。
別れを告げられるたび私に難ありなのか考えた時もあった。
歴代の彼氏たちはひどい奴らだ、別れを告げる時に私のどこがいけなかったのか言ってくれてもいいじゃないか、そんな理不尽な考えをもっているからか
—性格が曲がってる—と’’元"彼氏たちに口を揃えて言われた。
それが原因?だったら馬鹿らしい。
それともう一つだけ私に問題があると言ったら素直じゃない。
買い物に一緒に行って相手に「この洋服どう?」
って言われても
「いいじゃん」
とあっさりした言葉しか言えない。
これじゃあ、どっちが彼氏でどっちが彼女かわからないくらいだ。
私が男だったらこんな彼女は嫌だと思う。
よく"元"彼氏たちに「私のどこがいいの?」と聞いていた我ながら女の子らしい質問だと思う。
そういう時みんな真剣な表情して
「顔かな」
という。
そこで私は心の中で「この人はダメだ」といつも区切りがつく。
容姿は昔から周りに「可愛い」と言われるのでいいほうだし、案外モテてはいた。
男って単純だなと思う。顔で好きになるとか、私の内面は見てくれないのね。
内面が空っぽだと言われてるみたいで自分が嫌になる。
そんな"元"彼氏たちは今頃なにをしているのだろうか、リア充なのだろうか、私と同じで心寂しくなっているのだろうか。
SNSも繋がってなければ連絡先もない。
まあ、連絡はしないけど、交際していたというのもあるのか気にならなくもない。
でももし、リア充だったらすこし妬ましい。
そんな馬鹿みたいなことを考えて女の子らしい部屋のシングルベットに寝っ転がった。