表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/3

≪2≫


リゼルとシアネ、特にシアネはリゼルの体力は≪魔力(マナ)≫を保有している者に比べて一般人レベルなのを考慮しつつ旅を続け、何とか無事≪聖テクスフォルト王国≫に辿り着いた。


着いた後はリゼルは体力の限界が来たので宿を借りてベッドにダイブしてすぐ眠りについた。

リゼルの眠っている間、シアネは二人分の少なくとも数年間この≪聖王国≫に滞在するので、学院入学の手続きと国滞在許可の申請を行った。

入学するにあたっては問題はない。

学院に入る条件は15歳で≪魔力(マナ)≫を保有している事だけだからだ。

ただ入学金は必要だった。あと国滞在許可も一先ず3年分支払う必要があった。


入学金と滞在許可金は、リゼルの後遺症にて落ちた身体リハビリ目的と生活の為の金策の為にと、この1年の間≪冒険者ギルド≫にリゼルとシアネは会員登録しており、依頼を受け元々学院に入学するつもりだったので予めどのくらい金が必要か調べていたので、必要分は稼いだ。

初めは薬草採取など雑用から、盗賊、山賊と言った犯罪を犯した者の討伐捕縛依頼まで受けた。

あまり目立たない様にと、特にリゼルは特徴のある白髪を隠す意味もあり、フードの白いローブを被っていた。

シアネは目元を隠す仮面をつけ黒いリゼルと同じタイプのローブを着ていた。

目立ちたくないと言いながらギルド内では、白いローブ身を隠し仕込み杖を用いた”魔法”を駆使する事からリゼルを≪白杖≫、漆黒の短剣を用いて相手に気付かれる前に瞬殺することからシアネを≪黒影≫と異名を付けられていたりする。


入金し必要事項の記入を終えた。

あとは数日後に≪学院≫で行われる入学の儀式に参加し、正式に入学生となる。


入学の儀式とは――3つの工程があり、一つ目は入学生の≪魔力(マナ)≫の保有量の計測すること。

二つ目は、入学生の≪階位(クラス)≫を覚醒させる事。儀式とはこれが一番意味を閉めている。≪魔力(マナ)≫を得た者であれば自分がどの≪階位(クラス)≫に覚醒するか期待と緊張で一杯の様だ。

そして三つ目は、覚醒した≪階位(クラス)≫を≪試験人形≫に向かって行使する。云わば実力・実技試験と言った所だろう。


リゼルとシアネにとっては入学の儀式を受ける意味は殆どない。

二人は既に≪階位(クラス)≫に目覚めているから。

基本は15歳になって儀式を行い≪階位(クラス)≫に目覚めるのだが例外はある。

それがリゼルとシアネなのである。

リゼルは親族から毒暗殺によって生死を彷徨い生還したことで目覚めた。

シアネはそんなリゼルの命をどんな犠牲を払うとしても救いたい強い一心から目覚めた。


しかし入学する上で入学の儀式はその者の学生証明書の作成もあるので受ける必要はある。


そして数日後の今日。

リゼルは≪クローワルツ学院≫の男子制服を身に纏う。


「リゼル様、凄くお似合いですよ、ふふ」

「ありがとう、シアネ。少し照れるね。それと…」


リゼルは≪クローワルツ学院≫の女子制服を纏ったシアネに向く。何やら期待を含ませているのか頬が少し赤くなっている。


「シアネも凄く似合っているよ。普段から美人だけど、今はもっと美人さんだ」

「う、ふふ…ふ、あ、ありがとう、ございます…嬉しいです、リゼル様…」


普段は冷静で表情を表にしない彼女にしては珍しく俯いて顔を真っ赤にしている。

凄く照れているようだ。


「ふふ、さぁ、行こうか。時間は余裕あるけど遅刻なんてシャレにならないからね。でも、少し不安と言うか、気になるなぁ」

「…リゼル様は変わらず堂々とされていましたら良いのです。確かに前の銀の髪も魅力でしたが、今の雪の様な綺麗な白髪も私は好きですから」


リゼルの髪は元々≪銀髪≫だったが、毒の後遺症で色抜けし白髪となった。

普段外に出る際には周囲から隠す意味で白いフードを被っていた。

しかし今日からは制服に身を包んで生活する。

フードで顔や髪を隠すのは懐疑を抱かせるだろう。

しかしやはり不安はあった。

同年代で自分の様に老化による白髪をしている者はいないだろう。

だから間違いなく注視される。

気にしても仕方ないと思うも、やはり不安感があった。

しかしそんな不安も彼女の存在が払拭してくれる。吹き飛ばしてくれる。


「…ありがと。まったく、シアネにはいつも助けられるね」

「はい♪だって私は、リゼル様のパートナーなのですから」

「うん。よしっ!気にしても仕方ないことを気にしても意味はないね。そうだよね、自信を持っていこう。いつも整えてくれるシアネを信じてね」


いつも起きるとシアネが微笑みながら愛しさをもって白髪を整えてくれる。

最初は自分の色抜けたこの髪が痛ましかった。でもシアネに整えてもらうと、先の雪の様なという表現が正しいと思えるほど艶々サラサラに仕上げてくれる。

だから今ではリゼルも悪くないと思う様になった。


二人で学院まで歩く。

通りを歩くとボソボソと話し声を視線を感じる。

気にしない。

シアネに言われた通り堂々と行こう。

だから――シアネ、”殺気”を溢れさせないようにね!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ