4話
お久しぶりです。初めまして。思い出したように投稿しています。
「田野崎先生、料理得意なんですね。」
「ソダネー。」
料理はできる。兄曰く、風つにおいしい、らしい。ただ、僕はその完成形を食べた記憶がない。もしかしたら、メモをしていたので記録にはあるかもしれないが、記憶にない。
味が薄いうえに、何か一味足りないと僕的には感じていた。例えるなら病院食に近いと、思う。健康第一なのは分かるが、食べ盛りな子供には物足りない。
逆に味を濃くすると、濃すぎて醤油と味噌の味しかしない。極端なんだよな。
レシピ通りが基本。本当にそれ。たとえ味が薄かろうと気にしてはいけない。味が濃い気がすると言って水をドバドバ入れるのも駄目。そうでなければ、出来上がったら鍋が二つという不思議現象なんて起きない。粉の量が少し多い気がするで牛乳を足す、水分が多いから粉を足してを数回繰り返し大量生産されたクッキー。なんの影響を受けたのかわからないが、急に鯛の兜割したいというのはいかがなものか。
何か、いろいろ思い出してきた。
そして、聞こえてくる、先輩、と連呼して呼ぶ声。 ん? こんな、記憶はなかった気がするが、
「みつ。」
声が聞こえた方には、たいそう綺麗な女装男子が。化粧をしているようにも見える。これは気にしたら、負けな類だろうか。昇降口に1人でいたところを見ると、もしかして、待たれていた? それにしても、大変疲れている顔をしている。うん。強く生きてくれ。そして、君の姉はパシリを所望だ。
「ん。」
「呼ばれているぞ。」
「遠くに行っていた気がする。」
記憶を遡っていたのだから、間違いではないはず。
「そうか。すまない。こんなので。」
「いや、田野崎先輩に謝れても。」
何故か、僕が悪い風な言い方なのだが。いや、返事をしないからか。
流れるように鞄を持ってくれる女子制服を難なく着こなす男子。スマートだ。ただ見た目、お姉さまなのが残念。
「ねぇさん連絡したらしいぞ。」
「携帯、家。」
「田野崎先輩真面目ですね。」
残念なことに、悠木さんが思うほど、彼は、真面目ではない。そもそも、パシリ防止の為に不携帯なだけ。急な呼び出し防止のための苦肉の策ともいえる。決して、真面目だからではない。
事故前、ファーストフードのメルマガや、ゲームをするぐらいしか使わなかった。携帯しなくとも、特別な不便というものは、実はなかった。だから、大翔が不携帯なのにも特別に不思議とも思わない。ただ、緊急連絡を除けばの話。それでも、そんなに緊急性のあることなんて、本当に少ない。ゲームにしたって、初めのうちはプレイしているが、一度離れると全然しない。戦艦擬人化ゲームを起動したのは3か月前だったかな。登録するのに苦労したのにな。所詮、その程度。
それを思うと、今現在、高頻度でとなりの娘から連絡が来るので、随分と変わったな。
「どうかしましたか。」
「呼ばれたらしいよ。」
目が、合ったので、今更ながら、言ってみた。
「呼びました。が、何か。」
どうやら、この選択肢は違ったようだ。ゲームのような長方形型のウィンドウがあれば、正解を出せたかもしれないが、そんな、特殊能力は、僕にない。顔を大翔の方に向け、
「みりんだと。」
とりあえずは、言われたことを伝えてみた。
「先輩、露骨に話題変えましたね。」
「銘柄は。」
「行けば分かるさ。多分。連絡入れてるだろう。もし、いってなくとも、連絡入れれば大丈夫じゃない。」
適当に返してみる。こういう時は、予め連絡が行っていることが、ほとんど。物をお金を預かり取りに行く、というのが通例。僕、隣の家の子なんだけどな。
実際、みりんに銘柄があるかどうかは、僕は知らない。そもそも、知識としては、みりんとみりん風調味料の二つある程度しかない。
ただ、買いに行かされる物には、銘柄がある。みりんではくお酒。日本酒。純度の高いみりんは日本酒に近いらしい。原料が同じだからとかなんとかかんとか。田野崎姉が5か6年程前に教えてくれた。そんな、豆知識いらない。よその子なんだけどな。
地元で馴染みある商店街ということもあり、何故か隣に住む僕も未成年なのにお酒を買に行かされ買える。そして、何故か買える。規制が緩い大昔ならともかく、実年齢わかっていて買える不思議。信頼関係があってこそ。だが、いいのかそれで。もしかして、気にしたら、ダメなやつ?
「いやだよ、面倒くさい。自分で行けばいいのに。」
「あっ、流すのですね。そうですか。」
「言ったらいいじゃん。」
「言えたらこんなことになってない。」
「田野崎先輩、私の扱い雑なときありますよね。その格好の八つ当たりは、どうかと思います。」
特別に無視をしたわけではない。その後の話題が思い浮かばないだけだ。簡単に話題がポンポン出てくる人ではない。扱いが雑かどうかは不明。ただ、投げやり?適当?になることは、ちょいちょい感じる。
僕個人と付き合いがあっても、大翔個人と付き合いがあるわけではないので、距離を測りかねている、という様な気がする。友達の友達は友達と、ならないようだ。同性じゃないうえに、出会いが事故だからかな。理由は、いくつかある気がする。うん。わからなない。
「みつ。君の彼女、時折、毒吐くのだが。」
「憑かれているんだよ。多分。そっとしておいてあげて。あと、僕のじゃない。」
「お前、そろそろ、怒られるぞ。」
「HAHAHA。」
「先輩方、楽しいそうですね。」
隣から呆れた声色で言われた。仕方ない。不毛な会話をしているのだし。
「自転車は?」
普通に校門を三人並んで出ようとしたところで聞いてみた。女装しているから自転車乗らないって選択肢は無い。やつは、どんな格好であれ自転車は乗る。着ぐるみパジャマを着て自転車乗っているときは、びっくりした。
自宅と学校の最寄り駅を合わせて3駅。1駅目と3駅目までの時間は、大体13分。都心の電車事情と同じぐらい短い位置に、駅がある。自宅付近から学校まで、頑張れば、自転車で40分かかるかどうか。電車の待ち時間を考えれば、自転車の方が早い気がする。歩くとその倍。バスで停車時間含め20から25分。僕のような怪我で、自転車に乗るのが、大変という場合でない限り、電車代に小遣いを使う事はない。そうなると、普通に買い物かな。
「でかい電気屋にゲーム買いに行く。」
駅前にも全国展開している家電量販店がある。だが、模型とフィギュアが多く、ゲーム類は少なかったはず。商店街にも電気屋はある。けど、店頭では、ゲームを売っているのを見たことない。近くにあるゲーム店は、カードゲームに新品少しで中古品多数。こうして、思い出すと品揃えが悪い?
「有名なナンバリングシリーズ?」
「フルダイブ式のファンタジーMMO。inside world。っていう新さ。」
「先輩それです。」
「どれです?」
急に食いつく縁後輩。隣で大声を上げるのはやめてほしい。マジでビックリする。大きな音に弱いのだ。
「昼話す予定だったゲームの話です。」
「あ〜。」
「ガチャ要素は、回復アイテム等の消耗品のみ。PK設定と流血描写設定と、ストレス軽減設定あり。多種多様な種族。海外までロケーションに行って作った風け。」
「詳しいな。」
熱を帯びて一気にまくしたてる雰囲気に水を差す形で感想を口にしていた。別にうっとうしいとか、若干引いたとか、そういう気持ちからではない。本当だよ。
「調べましたから。」
いい笑顔で言われた。これは、褒めた方がいいのかな? その笑顔に、ちょっと、オジサンドキドキしちゃう。不自然にならないように、顔を大翔の方に向ける。きっと大丈夫なはず。
「あってる? 」
「あってる。」
「よくある感じ?」
「そう。五感フル活用する、よくある感じの。ただ、バイザーの他にリンクシステムが必要だから人を選ぶ。」
リンクシステムのおかげで、より簡単にフルダイブ式ゲームを使用できるようになった。それまでのヘッドギアタイプは、2種類。ゴーグルをつけ、コントローラーを両手に持ち、コードをゲーム機につなげる従来の物と。ヘルメット型で一応のフルダイブ式。一応がつくのは、五感を高いレベルで再現ができなかったから。
感覚を現実世界のそれとより同期させるというのが、できていない。脳波の読み取りも最小限で、ちょくちょくゲームが止まる。それをするなら、高い装置を買うよりも、VRゴーグルで充分という意見もあるほどだったらしい。その影響かどうかは、分からないが、一部のゲーマーは、フル活用タイプと、わざと区別するかのように使う。
「ついでに言うと、海外ロケーション行ったのに、今のところ日本でしか、発売しない。日本サーバーのみで翻訳機能と時間帯の誤差はない。」
「珍しくないんじゃない。それに、日本でうけなくても、それ以外では、うけるゲームも普通にある。不思議じゃないような気がするけど。ガチャ少ないって収入どうすんの。」
大翔が補正してくれたが、特別に、変と、思うところは、なかった。むしろ、利点だけでわ、と思ってしまう。思うとしても、国内在住の外国人がいるわけだから、翻訳機能の誤差はないと、言い切っていいのかな、程度。
「クラブファンディングで募金。発売日1月前までに投資すると、金額に応じた割引券。割引料金が、規定額を超えると、それに合わせて、回復アイテムのダウンロードコードが、郵送でくる。まぁ、割引といっても微々たるものだから、よっぽどのことがない限り、回復アイテムは、もらえないらしいよ。」
「券ってもしかして紙? データじゃなくて。パッケージで送られてくるのではないのね。」
「キャラクターデザインのリセット防止で、パッケージのみに付いてるユーザーコードと、バイザーの型番の二つが、必要ならしいですよ。紐をつけて登録する必要があるそうです。ダウンロードは、偽造コード対策で、いまのところないと、ありました。」
大翔ではなく、悠木さんが答えてくれた。
技術が、日々進化しているとはいっても、隙間は、まだまだありそうだ。昔から、特別なソフトを使ってのアカウントの誤認識が、できた。その結果、セキュリティソフトや、イラスト系のソフト等、台数制限を解除できる仕方があった。その影響で、値段が高い専門的なソフトは、パッケージのみがほとんどになった。けれど、ゲームソフト関係は、それほどでもなかったはず。
「お金で時間は買えないが、スローガンで募金型にしたらしいですよ。」
「オープンワールドになるだろう世界観で、そのスローガンで、元が取れないような気がする。常時活動するサーバーの管理。シナリオの設定。イベントの開催。武器防具の開発と、人件費や、機材費といった必要経費。他には、」
「先輩。夢がないです。」
「スポンサーでもついてるんだろ。」
悠木さんに呆れられ、大翔が金の元を教えてくれた。もしかして、間違った?
「ガチャアイテムにチューブ型の飲料、エナジー飲料に、どこかで見たブロック型の携帯食と、よく知ってるデザインあるし。」
「噂で聞いただけですから、正確性に欠けますが、ゲームを通してリンクシステム自体の普及率上げる目的があるらしいです。開発運営会社以外にもお金出しているのはそのせいかと。」
「スポンサーというよりも、補助金出ているような気分だ。けど、」
現実的な話を、横を歩く2人が説明してくれる。いろいろ事情があるのだろう。でも、
「何故ゲーム?」
「大人から子供まで、幅広く人気があるからじゃないでしょうか。便利とはいえ、健康な体を傷つけますからね。抵抗感があります。惹きつけるのには、最適と思ったのではないですか。海外だと、その辺、敷居が低い分、日本よりも普及率は高いですから、もしかしたら、横やりが入ったのかも知りません。」
「みつのいるクラスが海外、他のクラスが日本っていえばわかりやすいだろう。わざとシステム積んだ、もしくは、早い段階で積む人を集めたって、噂あるし。一部の学校では、リンクシステムをあることが入学条件に入っているなんて話もあるから、不思議ではないな。」
「得する人、損する人。それぞれいるけど、全体的に得する人の方が多いってことかな。リンクシステムの補助金出るって話もあるし、連動してたりして。」
いってみて不思議じゃないと、思った。それにしても、より現実的な? 話になったな。ゲームはどこに行った? 夢のない話を初めにした僕が悪い? もしかしなくても、僕のせい?
「じゃ、後ヨロー。」
「田野崎先輩さよならです。」
バス停には、ちょうどバスが、来た。そして、当然のように分かれる大翔。このバス、駅の前にも止まるのだが、乗っていかないらしい。当たり前のように、大翔から僕の鞄を受け取りバスに乗る悠木さん。若干、笑顔が怖い。気の生かな。
「お迎えさんは。」
「車検です。私が、家につく頃に戻ってくるらしいです。」
きっと、代わりの車があるのでは、と聞くと、また、間違った選択肢をえらびそうなので、ここは黙って頷いておくのが、正解のような気がする。
「ところで先輩。」
「あの人、あのまま電車に乗るのでしょうか。」
隣を通り過ぎる大翔の鞄は、教科書を入れるには充分。だが、着替えを入れるには大きさが足りない。そう思って口にしたのだろう。真顔で言うと迫力あるな。
「着換えなければね。」
「そうですか。」
2019,01,16 訂正