18話
短いです。
「暇ですね。」
「君の情報収集能力を舐めてた。」
予告編を見ながら言う悠木さん。流れているあれこれはお気に召さなかったらしい。
映画館に来た。しかも1時間を移動にかける。遠出。チケットを出した。ここまではいい。ペア席を勧められた。ここがおかしい。そして勝手に決まる席。この娘さんはどこで知った?そして開演まで待機中。いまここ。
「用事と言えば高確率で素材屋。ホームセンター。本屋。映画館のどれかです。近場なら商店街か、ちょっとそこまでと言う事が多いですから。後は感?」
疑問形に言うのがさらに怪しさを増すのはきっと気のせい。それにしても我ながら行動範囲が狭い。さて、情報源はどこだ?
「冗談はさて置き。・・・・・・これです。」
出したのは10㎝の厚みがあるプリペイドカード大の何か。端のほうについているボタンを押す。画面上には位置情報。
端末にGPSアプリケーションが入っていない。機能も稼働していない。そろそろ電源切るか。
「迷子防止に丸いの持ってますよね。」
「あ〜。もらったて言ってたやつ。」
迷子ではない。地図が読むのが下手なだけだ。もともと地図の区画線が読むのが下手で見た物をそこに組み込むのが下手だった。それが事故後に強化された疑いあり。リンクデバイスつけてAR領域を作れば読めるので大丈夫。ただ、情報量が多いので歩いていると危ない上に少し前から罰金を通り越して逮捕ということにもなったので注意が必要。
だから、迷子ではない。それに事故後連絡が取れないことを心配した親が持たせた。うん。気を付けよう。貰ってきたとは言ったが誰にとは言ってなかった。
「機械に強い会社だっけ?」
「いえ、輸入品が主力です。小さい運送会社の多くを吸収合併したので直営配送も可能です。イベント会社とも連携して強いらしいですよ。」
確か、人材不足なら合わせればいい。ピースを多くで取り合うのでない、多くを一つにまとめシュアする、だったかな。ニュースでやっていたのを見た。
野球の延長はなんとかならないのかな。たまにしかやってないのに。
「これ、えらいひとの実家のです。誰とは言いませんが、妹が行く場所も告げず出かける上に付き添いも置いていくので、防犯のついでに4か5年前に特別に作ったらしいです。そのあまりです。」
誰とは言いませんが、ピクトさんAIの中身ですね。わかります。
昨日今日で本人知らないところで話題によく上がる。
「これはフラグがt。」
「少なくともアンケート結果はゲーム内で合う確率高いのでフラグに入れなくともいいのでは。」
「で、何であるの?」
「よくわかりませんが、お願いしたら普通の機動力も欲しいと言われくれました。」
「あ〜。」
普通かどうかは置いておいて、機動力の主流はお隣さんだからな。
「ちゃんとご両親に許可もらいましたよ。」
「あ〜。」
なんか多く小遣いくれたと思ったら。こういうのは外から埋まって行くと思ったがな。家の中から埋まっているという。甲斐性とか将来性とかがあるとは言い難いんだけどな。
「こんなのでいいのかねぇ。」
「はい。」
「下で半券でおまけ付けて貰うのに。」
「お得ですね。貰える物はもらいましょう。」
たくましくなったな。初めてあったときは人形のような気がしたのに。
「ところで先輩。」
「ん~。」
「この映画つまらないらしいですよ。」
「知ってる2回目だし。だからチケット余ってるんじゃないの。」
回ってきたチケットが全部で10枚。一度目は田野崎3姉妹(男の娘あり)、姉、僕で見に行った。正直、つまらなかった。
時間が長め。海外映画なので出ている人がどのくらい有名かは知らないがお金がかかっているのだけはわかった。そんな感じだった。内容をはっきりと覚えてない。ただ歴史上の人物モデルだったのは覚えている。
何故かそれを聞いて意気揚々と観に行く田野崎夫婦と両親。謎だ。最後の1枚が今回。
「そのわりには人多いですね。」
「SNSユーザーなんだろう。」
面白いかどうかは、別にして話題だ。釣られて行く人が少なからずいる。共感か共有かしらないが、わかるボタンを押したいのだろう。きっと。席の3割しか余ってないのはそのせいのような気がする。
「そろそろ始まりますね。」
照明はいつの間にか暗くなり開始の合図と言わんばかりのブー、というブザー音。そしてまた流れる予告。
とりあえず、映画を見て、昼にラーメン食べて、その後どうしよう。
計画性もなかった。