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17話

無駄に長いです。

「おかえりなさいませ。」


 スカートの裾をつまむように持ち上げ綺麗なお辞儀をして出迎えるアリス・パンドーラに、


「白々しい。」


 その近くの椅子に座り平然と愚痴りながらお茶飲む僕より先に復活した結が言う。


 絵になるな。・・・・・・違うか?


 自然と余っている椅子に座るとそれが発動のキーになったのか突然空中にポットが。ポットが傾くと茶色い液体(紅茶)垂れ空中で留まる。これにストローを指して飲むのかな? 無重力を体験するゲームでそういうのあった。最もあれは簡単に酔うのでそんなの気にする余裕がなかったが。


「ストローはどこ?」


「ありませんよ。掌を出すとソーサー、カップの順で出る無駄演出です。」


 横に待機している人は飾りらしい。メイド服は飾りだったのか。ベテランのメイドに見えるのだがな。


「私も打撃系をとります。」


 よっぽど悔しかったのか決意を感じられる。ダウン方法を聞いたか。


「どういう理屈かわからんが無理すると体を壊すらしいぞ。そもそも、ラッキーパンチなんて毎回入るわけないし。毎回できるのはよっぽどの達人でもならないと無理だ。」


「そうですか。」


 そもそも毎回はいったらラッキーじゃない。


 土台(体術)がしっかりしているなら別だが、一つのこと(武器)に特化していると似通っている部分があるが、そうでない。武術とはそうらしい。


「飲めるんだ。」


 スケルトンだったことを飲んで思い出した。服の中で広がった感覚がない。よかったそのままだったら。


「安心してください。漏れてませんよ。」


 安心できない発言が聞こえた。


 ツッコミをしたら負けかな。けど、スルーするのもなぁ。ごまかしている気がするんだよな。知っている。程度を言って平然とした方がいいのか。これならツッコミとも違うし。よし。


「だm」


「先輩。考えた時点で負けですよ。」


 なんか違うことを言おうとしたようだったが、まあいいか。


 他称親友()から助け船。できればもう少し出してほしい。これは通過儀礼的な何か? みんなこれと似たようなことを経験するの?


「正解ってあるの?」


「ないです。趣味人間観察ですから。どっちに転んでも関係ないです。」


「気持ちの問題か。遊ばれてるな。」


「そういえば、狸に化かされるって話あったな。」


 昔話にはよくある話だ。


 おのれ〇、って言うウサギいるし。


「定番ですからね。茶釜に入る狸もいますよ。」


「ひどいことを言われていますが、その通りなので反論しません。」


 本当にしないのか、する気がないのかわからないが、とりあえずは見逃してくれるらしい。


「さて、次に行きます。」


 アリス・パンドーラは手を叩くと乳鉢、乳棒のセット。マドラー。ビーカー。アルコールランプセット。何かを乾燥させた草。が僕と結が座っている丁度真ん中の地面に。匙、計量器、マッチ。水はない。しかも、一セットしかない。


 生産活動をしろ。そして、交代して使えということですね。テーブルがないのはさっきのを怒っているからだろうか。反論しないとは言ったが怒っていないとは言ってないからな。


「水と火は必要な時に行ってください。」


 幸いにして手元にはカップ半分の紅茶がある。半分といっても50mlから100mlの間と割と多い。それをビーカーにすべて入れ台座に。乾燥した草は半分にして。それをさらに半分。最初に残った半分は結に。さっきまで座っていた椅子にアルコールランプを置いて。半分の草を千切りながら乳鉢に入れ乳棒を使い粉状にして下準備終了。台座に網がついていないのが気になるが、落ちる様子はないので大丈夫だろう。


「短剣かして。鞘ごと。」


「いいですけど何に使うんですか。」


「火起こし。」


 はぁ。と生返事が聞こえたが気にしない。鞘というよりは木製のカバー。鯉口が金属性なのを期待しのだが。それもない。


「刀剣見せて。これならいけるか。鞘だけ貸して。」


 結は言われた通り刀剣をアイテムストレージから鞘ごと取り出し鞘を渡してくれた。鞘は木製だが鯉口は金属。だめだったら峰使えば大丈夫だろう。


「火打石の代わりみたいなものだよ。」


 鞘を地面に置き、鯉口をアルコールランプの布に触れる程度近づける。膝で挟むように固定し短剣の腹を斜めに一息に引く。金属と金属を擦り合わせることで火花を散らすのだが。無理だった。動画だと簡単についているように見えたのにな。


 キャンプ料理のネット動画で専用のアルミ製か、鉄製か、どちらかわからないが小さい棒にナイフを滑らせて火花散らせて火を点けていた。


「出来ると思ったんだけど。弱いのかな。」


 2度、3度、4度。まだ付かない。最後と思い刃の方で。もう少し角度を鋭く。持ち手ギリギリを鯉口に当て数回前後に引き押すを繰り返し、膝に体重を乗せさらに固定し、最後に思いっきり円を描くように引く。


「おっ、点いた。」


 ついでにライフが減った。そして非常に疲れた。これ如何に。


「「えっ。」」


 無事についた。ビーカーが乗った台座をセットし湯ができるまで待つ。


「マジですか。」


「え~。私の存在意義は。」


「無駄にキャンプ料理動画見てるから。ありがとう。」


 短剣をしまい。鞘と共に返す。


「いえ。どういたしまして。」


 戸惑った返事が返ってきたが気にしない。


「専用の道具なくてもできるんですね。耐久制限がない初級武器ならではですね。壊れるどころか刃こぼれする心配もないですから。」


 刃こぼれの心配なかった。初めから刃でやったら一発で点いたかも。


「先輩お怪我は?」


「何故かライフが減ったて魔力全損。そして、かなり疲れた。」


「それです。」


「どれです?」


 アリス・パンドーラが何かひらめいたのにオウム返しで聞く。ここで返したのが女性なら可愛い感じにできたのかもしれないが。残念。男で骨のウェットスーツだ。


「魔力とライフが減るです。」


 言っていることがわからない。


「人魂時、常時魔力を消費して形を維持していました。維持、正確には魔力体そのものである人魂から放出された魔力を燃焼して自動で形どるです。それを今回無意識で行ったのでしょう。魔力操作のスキルありますから。ライフ減ったのは魔力が足りなかったからその分をライフで換算したからでしょう。形を得たとはいえ現状、基本は人魂と同じ魔力体ですから。十分可能性があります。」


「ちょっと待て。」


 いま聞き捨てならないことを言ったぞ。


「基本が同じってどういうこと。」


「あれ言いませんでしか。透明なのは魔力体で。(現状)は外に常時放出する魔力を自動的に固定し外に出ない分は中で巡回ているからです。それで無駄(簡単)に死ぬことはなくなります。ライフはその固定した耐久値で本来のライフは魔力で魔力が減ったらカバーから補填すると。次の進化で所謂スケルトンと状態が同じで物理的なライフがあると。」


「初耳ですが。」


「あと一つ進化してその後がアバター、としか言っていませんでしたが。」


「回収が早かったですからね。えらいひとが忘れたのでしょう。」


 訴えかけるような視線を向ける2人。私は悪くない。えらいひとが悪いと訴える1人。


「沸きますよ。」


 見ると小さな気泡が沸々としている。いまの状態と最大限沸騰させる場合とで違いが出るのかわからないが。とりあえず投入。乳棒で乳鉢の中心を叩き可能な限りすべてを入れる。全体に散らばるように2、3回混ぜ混ぜ。完全沸騰したらアルコールランプを外し放置。


「濾す道具ってないの?」


「ありません。別途入れ物はあります。」


「じゃあ、それください。」


 出てきたのは小さめな三角フラスコ10個と太めの試験管10個。漫画かなにかで怪しい実験をする回を思い出した。これがデフォルト標準なのかな。専用の瓶はどこ?


 茶色に緑が広がる。レベルアップポーションは基本青のように思えたが。これから青に変化するのか。ただ、材料が違うだけか。材料かな。いまのところ変化する兆しがまるっきりない。彼ら?は変化する気がないらしい。ここから再沸騰させればいいのかな? 茶葉って再沸騰させなかったはず。ならいいのか。

 茶色と緑色が合わさった色になりそれ以上の変化がない。完成したのだろう。持ち運びやすい試験管を選択し、完全に近いぐらい冷めたところでマドラーで一回かき混ぜこぼれない様に注ぐ。3本と半分ぐらい?立て掛けられた試験管の前にあるコルク栓をはめ完成。


「まぁ、こんなものかな。」


 鑑定関係のスキルがないからどのくらいの効果があるかわからないが。性能的には、下から数えた方だと思う。薬草全て使わなかったし。


 けど、運営が用意したお茶使ったから薬草が少ない分をカバーできるであればそうでもないか。使って見ないとわからないな。


「ビーカーだけ洗浄感想できる?出来たら結に渡してください。」


 乳鉢と乳棒を渡しながらアリス・パンドーラにお願いする。


「大叔母様は生産関係のスキル一つも持っていません。これで終わりです。そもそも、回復薬(ポーション)の作成はスキルで調薬があるからで鍜治や裁縫ならそれにあったものが出ます。」


 アリス・パンドーラは一つ試験管を取り、


「余った材料は分けるなり個人で持つなり有効に使ってください。」


 眺めながら言い。造った物が持ち手から離れるように消える。材料費?道具代?上納品?かな。複数あるし。ただ、飲みかけのお茶使ったているのだが。


 生産は関連スキルあってこそチュートリアルに出るようだ。スキル構成による。料理もあるが、調薬を優先したのは娯楽要素が強いから?


 生産スキル持ってない攻略組(冒険オンリー)の人にとっては必要のない項目だからな。


「これ、後で生産系スキルとったらどうなるの?」


「過程がチュートリアルそのもの役割をはたすだけです。特別な報酬は運営からはありません。あとは状況次第です。」


「さて、次に設定の変更確認とフレンド申請登録は、お2人とももう終えていますので飛ばします。設定での注意事項、現状年齢で関係ないことを一つ。18歳以下は痛みに対する設定を運営側で設定してある80%カットが仕様です。もし変える場合は運営側に連絡し保護者の同意を得る必要があります。19歳以上ですと個人で80から40の間で決められます。30から40はリアル格闘家。リアルプロ格闘家選手等何か証明する物があればそれと共にプレイヤーが申請し許可後個人で変更します。0から20未満での設定は運営にしかできません。20から0はVR格闘技のプロ仕様になるようにしているからです。戦闘ありますが、格ゲーとは違います。むやみやたらに下げると文字通りの痛い目にあいます。」


 やたらと詳しく話す、と思ったらヘルプに書いてなかった。そういえば項目もなかった。年齢規定が外れると出てくるタイプなのだろうか。素人考えで調整したら大変なことになる。


「お金の使用はどうぞ。」


 指と指で挟む形で出された硬貨。受け取れということだろうか。とりえずもらってみる。


 ウィンドが出現し回復薬の代金100ジェニーを受け取ったとある。


「隠し要素的な何かですが。必ずしもお金を出す側である必要はないのです。項目は、商行為(お金の使用)。使うとも使わせるとも()()()()()()()()()()()()。」


 商行為=売買。()は低年齢用の言葉。揚げ足取り。


「入るとき金を払いましたが。」


「税金は別です。税です商ではないです。商業ギルドが認めた(身分証)()()()を持っていも割高な入関税を払います。輸入品を売るので中で商売をしている人を助けるためですね。基本、そういった方々は村単位であれば税金はかからない場所もあるので村に泊まるか、町には仕入れ以外は極力入らないか、狩人証明書を持っている場合はそれを使うか。住民票もありますが仕事(行商)ではないことを説明しないといけません。冒険者ギルドの身分証を持っていても低級以外は税金とられるか、同一国内なら住民票使うかですね。行商人といえども防衛手段は必要ですから。」


「複数の身分証を持てると聞こえたのですが。あと、冒険者でも税金とられると。」


 冒険者ギルド発行の身分証を持っている結にとっては重要事項だろう。冒険者ギルドでは説明受けなかったのかな? 狩人証明書という新しい身分証があるようだし。


「そうです。基本的には町の出入りは税金かかります。町の外で狩りをしているプレイヤーが手にした代金は税金と諸々の手数料が引かれた物です。これは他の見習い以下の冒険者も含め一緒です。」


「身分証の一番ポピュラーなものは役所が発行する住民票、居住の証明です。この身分商業ギルドなど登録するのに必要になります。領主。統治者。管轄者。これらの人たちが、国や地域によって呼び名が違いますが基本同じです、定めた役所が発行します。証明書申請にお金がかかります。そのお金が税金の役割をはたします。一度発行すれば5年使えます。発行した国内であれば都、町、街、大きな村といった住民が住む居住地域に入るのに税金がかかる場合、税金なしで入れます。

 現実だと、戸籍、住民票出すのにとられる手数料やパスポート発行する手続料が入国税なるものになるということです。」


 町の外に出ない限りはお金がかからないのか。田舎から都会に行くというわけでなければその地域でずっと暮らすのだからあまり必要がない。ただ、有効期限が切れていても使えないだけで確認だけをするには十分ならみんな発行するのかな?


 それを可能にする制度があるのだろう。現実(リアル)基準?


 税金よりも諸々の手数料が気になるが。これは気にしたらダメな殿様商売的な奴だろうか?


「現在の冒険者ギルドは本来の主目的である未開エリアの探求と未確認動植物の確保採取、魔物の討伐、迷宮の調査攻略に。町の清掃、住んでいる住人の手伝い、護衛、人が住む地域の盗賊等の討伐を主目的とする傭兵ギルドが統合吸収され合わさった物ですから。近隣の()()()()()は対象外です。仮所属の半券持ちか見習いの青銅クラスの冒険者が()()で動物狩りを認められているにすぎません。冒険者ギルドの預金から引き落としをしている場合は別ですが、国内の住民票を持つ冒険者以外は普通に税金を払うか、依頼を受けた達成証明書のどれか一つを持っていれば入る度に衛兵の詰め所で出すとお金はかかりません。初めての町で出入りの記録をとっている場所ならお金が返ってきます。この辺りは行商人と違いますね。」


 続々と出る真実。いまのを冒険者をしているその辺のプレイヤーが知っているのか疑問だ。動物を強調していたのだから魔物=動物ではない。動物を狩る職業は別にある。多分、狩人証明書がそれになるのだろう。明確な区分がある。フィールドにいる魔物は定番のダンジョンから魔物が爆発的な勢いで出てくるアレの残り?


 結は知っていない様子。仮所属か見習い扱いで他との区分の敷居が低いから? 例外とは言え共通のようだし。


 必要がないから説明が省かれたか。迷い人(プレイヤー)に聞かれなかったから。ここの運営なら十分ある。むしろ、その方が高いかも。他には、


「一般的には知られているから説明する必要がないか。」


「基本的にはそうですね。親が常識として教える以外は、国によって制度が違うのですべてが同じではないのですが、町には学校。村で学び舎がないところは村長か教会で読み書き簡単な計算教えますのでそのついでです。」


 声に出していた。


「郷に入っては郷に従え。法律を守るのは基本。わからないことは聞けということですか。行商人がいちいちお金をとられるのは国内生産の保護の縮小版でしょう。そこで生活をしている人がいますから。たまに来る人より常にいる人ですね。ついでに私が聞かされていないのは共通事項だからもありそうですね。認識が一緒ならわかっている前提で話をしますから。省くことあります。しかもここ経済連合が基礎にある国ですからルールを知らない相手はいい鴨程度に思われているかもしれません。」


 結の同じような結論にいたったようだ。ただ、商売人の話はわからん。


 いかに利益を出すか基本だからありそう。連絡(撒き餌)したら釣れた的な。ワンクリック詐欺的なやつ?


「やたらと証明書を発行しているようですが。この世界では紙が重要ではないのですか。プレイヤーが住民票に似た物は発行可能ですか。」


「普通に重要です。住民証といいましたが紙ではなくギルド証と同じ魔道具扱い発行するプレートです。中に情報があり個人の状況により更新します。複数ありますが持つのは一つでそれを役所や各ギルド衛兵の詰め所にある専用の魔道具で読み取ります。都合のいい技術というやつです。」


 わかる。言いたいことはわかる。イメージもつく。けど、相変わらず一言多い。


「住民票に似た物はステータスカードがあります。発行については確認していないので説明を控えます。」


 運営に情報を出していいのか確認していないのか。プレイヤーの誰かが出している(掲示板に書いた)情報を確認していないのか。それとも、別の何か。


 きっと情報をもらえたのは聞いたからかというよりも誰か(プレイヤー)がそこに辿り着いたか、それを開示したかのどちらかのイメージが強い。それでも、僕のヘルプにはない。僕たちにとっては聞いたからになる。


「ところで、先輩。」


「ん~。」


「商行為です。」


「はい。100ジェニー。」


 回復薬を渡しお金を受け取った。アリス・パンドーラとした時とは違いウィンドが出なかった。


 そもそも、受け取ったのがコイン5枚で額と枚数が違う。それとも商人の職業を持ってない。アリス・パンドーラは運営側なのだから職業カンストしている場合もある。僕が商人ではなく向こうが商人だった可能性。商だし。


「資格ない売買ですが、・・・・・・これでいいでしょう。」


 何やら操作しておまけしてくれた模様。商業ギルドに行かないと駄目らしい。今どのくらいいるかどうかわからないが、生産プレイヤーが勝手に適当な場所で売ることはフリーマーケットと同じと。


「最後にこれです。」


 テーブルと共に出された陣が書いてある布と宝石。あれか。移動手段。けど、移動手段いらなくなったんだよな。もしかして、余計にスキルをとった?


「足ありますから必要ないですが。これもチュートリアルの一つです。」


「ガチャガチャするのはいいけど。魔力の回復が追い付いてませんが。」


 魔力の前にライフが回復している。さすが、魔力体。


「これで大丈夫です。」


 体の中に何かが流れてくる感覚がある。これが魔力。指先を僕の方にかざしているアリス・パンドーラ。アイテムを持っていない。譲渡された? こういうのは悠木さんの要素かな。飲みかけのお茶で作った回復薬、チュートリアルのためとはいえ持っていったし、アイテムもってそうだし。


 何が出るかな♪何が出るかな♪何が出るかな♪


「この音楽はどこから?」


「雰囲気作りです。お気になさらず。」


 突然流れてきた音楽に結が反応するが意味はなかった。同じ言葉しかない歌詞が延々と流れる。ちょっと怖い。


 さっき入ってきた(魔力)に似た感じのものが体中にある。運営のそれと違うのかな。僕のも確か精霊(種族)由来の魔力だし。


 それを体中にいきわたるように循環させる。意外とできるものだな。それを腕を伝い掌から出す。布に描いてある陣に外側から内側に向かって光が走る。そして、宝石が赤く光り出しそれが大きくなり目を開けているのがつらい状態にさらにそのまま力を注ぐと。


 パンパカパーン。


 周りから音が聞こえた。うん。BGMの次は効果音らしい。これは運営の嫌がらせか?


 宝石のあった場所に居たのは耳の長い真っ白な兎。目が赤い。アニメとネット画像で見た雪うさぎみたいだ。


「スノーラビットの妖精種ですね。積雪地方の森林や山の麓まで行けば見れる可能性があります。スノーラビットは動物は積雪地方の平原で、魔物は同じところの森林で見ることができます。スノーラビット事体のレア度は特別に高くないですが、妖精種ですのでその分をかさましてレア+からレアレアぐらいというところでしょうか。よかったですね。まともじゃない移動手段前に進化できて。」


 レアが度がレアレアしていてわからないが、とりあえずRランクの最上級かかろうじてSRぐらいかな。


 ウサギに咥えられる人魂、もしくは蹴られる人魂。ボール遊びをしているかのようにも見える。移動か。使い魔に転がされて死亡? まともじゃない移動手段との声もある。 それはそれで新しい?


 つぶらな瞳で期待するようね目をされても困る。


「よし。君の名は、モコn」


「「ちょっとまった!」」


「なに~。」


「何じゃありませんよ。なんて名前つけようとしているのですか。」


「先輩。いろんなところから怒られますよ。白くふわふわしているからってその名前は危険です。第一この子、プー、やプップッ、って鳴きませんよ。あと、月のクレーターが兎の餅つきに見えるからって月に関係する名前もこの流れなら微妙なラインです。」


「そっか、じゃあ」


「主食は果物や魔草。動物タイプと同じで普通の草も大丈夫です。食べれなくはないですが、いまのところはたい焼きが好物ではありません。」


 ことごとく先を言って止められた。いいじゃないか。リスペクトしても。名前なんだし。名前は大丈夫だけど過程がだめなのか。


「スノー。雪。ユノー。キノー。スユ。スキ。ユーノ。」


 一文字ずつかえみたがいまいち。


「スノー。雪。雪崩。吹雪。ラビット。兎。ト。ラビッ。ラ。ビットとばらしてみたが・・・・・・、ないな。」


 貧困な脳内辞書よ。氷も考慮すべきか。


「先輩。最後の前のをもう一度。」


「ん~。ラ?」


 とりあえず、難聴系登場人物になってみる。


「む~。そこじゃないですよ。」


「早く決めないと22時過ぎますよ。」


「これからおまけスキル貰いに人が多く来るから早くしろってことらしですよ。先輩。」


 焦らせられているが出てこないので仕方がない。白いからお餅とかつけると怒るだろうし。不機嫌に結が言うが気にしない。おまけスキル配るのアリス・パンドーラ以外にもいるはずだから気にしない。むしろ、これをここにとどめていることで運営側に貢献している気がしてきた。


「いえ。違います。スキル、気配希釈の話です。これから運営に報告して手続きするのですが、この会社(運営)が午後10時にクローズするんです。深夜帯から朝にかけての勤務シフトなし。基本私たちは運営のサポートを優先しますが、記録上、早いと午前8時、午前10時、終り午後6時30と午後10時ですから、それ以外は私たちがメインというシフト制です。今回、運営側が誰もいないくとも私たちだけで大丈夫かテストという建前であの人たち(全ての運営社員)これから、打ち上げに行きます。お酒ありです。浮かれ気分ですので時間ぴったりか、少し前に出る可能性もあります。ついでに言うと、多分、彼ら飲みに行きそのまま帰ります。戻ってくることはありません。」


「打ち上げぐらいいいのでは。正式に稼働しているし。そもそもそれは終わったことじゃないの?」


 不具合があるかどうかは別にしてきちんと稼働している。なら羽目を外してもいいのでは。その他時間管理に若干心配があるが。他の子たちはきっとアリス・パンドーラ(この子)より灰汁が強いってことはないだろう。多分。そうでなければ10時間以上の管理を任せないはず。きっと。その時間を管理するAIすごいな。僕なら寝る。


 それにスキルだって初めに話している。


「国内稼働だけで時差の心配もありませんから。ここまで高性能AIなら可笑しくないのでは。深夜帯ならプレイヤーもかなり減るはずですから。」


 結も僕と同じような考えらしい。熱狂的(廃人)プレイヤーまで考慮しているし。


「いえ。そこじゃないです。ここ特別空間製ですので運営側から見ることができてもこちらに干渉できません。こちらからの連絡は全部事後です。勿論、運営が予めここに制限をかけていますから、特別なプレイヤー以外は無理を課すことはできません。」


「「えっ。」」


「チュートリアルにすぐに入りましたのでまだ報告していません。報告するにはこれを解かないといけない。けれど。チュートリアルが終わらないとあらかじめ解けない設定になっています。最後がこれです。」


 アリス・パンドーラは、ウサギと僕を交互に指差しながら言う。何やら嫌な気配が漂い始めているのだが。


 雪か氷の結晶からもありだなって考えている場合ではない?


「もし時間をオーバーすると私が決定できるということです。」


「ヤバイじゃん。」


「人によってはそうかもしれませんね。ただ、」


「私は別に。慣れたくはないのですが、多少の慣れがありますから。第一、えらいひとに現実で連絡を取る手段ありますから。」


「という特殊事例もいます。」


 参考にならねえ。そもそも、この2人、性格の一部が一緒じゃん。小さな問題はあっても大きな問題にならない。最悪、自己責任扱い。


「雪華でセッカ。どうよ。」


「いいと思います。」


「登録しますね。」


 プ〜と鳴くセッカ。プーっていうじゃんと思いつつ通常空間に。



 その後、無事運営に報告がいき気配希釈(中)を手に入れた。


 マジよかった。変なのつか無くて。近くで、残念です。と聞こえたけど、気にしない。


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