13話
「先輩、何してるんですか。」
「スクショ。」
「珍しいとは思えないのですが。むしろ、造られたことを主張しているのですが。」
「だからこそだよ。」
町にある大きな広場。真ん中には大き目の噴水。そして、時計がついている塔。塔の先に窓はないが外を見れるようになっている。櫓の役割もあるのだろう。広場の端には円を描くように一定間隔で並ぶ店。
絵にかいたような風景。だが、そこがいい。
あれから結、呼び捨てにしないと拗ねる。本人は先輩呼びなのに、に案内される形で町に来た。
歩いているときに戦闘は一切していない。戦いから逃げているわけではない。だって敵がいないのだもの。いても他のプレイヤーたちが我先にと狩りに行く。走っていくのが見えたからそうだろう。
スタートダッシュに乗り遅れたので仕方がない。そもそもその波に乗るつもりはなかったが。そのうえアレだったので乗れない。
彼らのようなプレイヤーがいずれ攻略組として偉ぶるのだろうか。それとも、初めだけ頑張って次第に飽きてペースダウンするか。
同じことを黙々とするのは大変だからな。その辺は運営が試行錯誤するところだな。
さて、町に来るまで結にどのゲームにでも共通してありそうなことを簡単に聞いた。
プレイヤーは、このゲームは迷い人だが、来訪者、異人等呼ばれる。身分証はない。ギルドが複数あるので最低どれか一つで身分証が創れる。定番は冒険者ギルド。
戦闘はフィールドそのまま。エンカウントしたら別空間のようなものはない。
そもそもオープンフィールドでそのようなものは無い。
横やりを入れようと思えば簡単にできる。戦闘をしているのを見たら避ける。見るとしても邪魔になることはしない。救援要請が来たら可能なら助ける。
悪質なプレイヤーに絡まれたら運営に連絡する。悪質すぎるとアカウントを削除され、場合によっては同じゲームを2度とできない。
NPCをNPCと呼ばない。住人、住民がメジャーで現地の人など他にも呼び方がある。
住人はそこで生活しているので衝突を避ける。リアルと同じように生活していると意識して接すると一番問題が起きずらい。買い物で出禁を食らう方はまだまし。住人を殺したら指名手配される。大きな町は勿論、小さな村にも入れない可能性がる。
住人と深く交流すると好感度が上がる。好感度が上がると住民依頼のイベントのようなものが出る。
町ごとにレベルが違う。それが武器防具だったり、道具だったり、住人の戦闘力だったりとある。
公式イベントは事前に連絡来るが予告なしの公式イベントがたまにある。だそうだ。
意外とゲームしているんだな、と言ったら彼女自身で調べたことだった。
誘った手前準備をしていたのだろう。そこまでしなくてもいいのに。
行き当たりばったりで計画性のない僕がズレているだけか。
それにしても町によってレベルが違うのか。RPGでレベルが最後レベルが足りなくて詰まるってやつかな。最後の町の住人と最初の町の住人なら最後の町の住人の方が断然強そうだしな。周辺のモンスター倒して生活圏確保しないといけない。回復薬や使うスキルのレベルが違うのは当たり前か。
入るときに身分証がないから160ジェニーを2人分。
結は持っていたのに提示なし。
ピクトさんAIと話している間に登録したのだろう。グダグダしてた僕とは大違いだ。
掌に必要な額を思い浮かべたら出てきた。手品師もびっくりだ。さすがファンタジー。
これは迷い人限定で住人は普通に財布から出す。住人と成り立ちが違うからだそうだ。門番さんに聞いた。
これが高いか低いかわからない。相場っていくらだ?
ヘルプには1ジェニー、1円、1銅硬貨。1千ジェニーで1銀硬貨、100万で1金硬貨に交換できるとある。ウィンドには項目の一番下に1Jしかない。硬貨換算じゃないのか。財布要らずだからかな。
運営に聞こうとしても対応が多分、アレだしな。
¥じゃなくてJapanese yenが元かな。銭と合わせJ銭ー?
金は歩きながらメール確認していたら迷惑料で10,000ジェニー送られてきた。
回復アイテムはない。金のみ。ピクトさんAIの相手時給1万か・・・・・・。高いのか低いのかわからないな。
アイテムも欲しいと思うのは欲張だな。支度準備金として使うか。
そして、門を少し歩いて広場に到着。いまにいたる。
「こんな感じかな。」
「何枚撮りました?」
「3枚。全体1。塔を縦半分にして、左右1枚づつだね。」
「写真加工もできるのか。すごいな。」
撮った物の確認をするとき、加工メニューが。
色の調整は白黒だけ、人のあるなしが選択できる。
プライバシー保護もあると思うけど、景観の問題かな。不自然空白と線だけピクトさんいるし。
全なしか住民オンリーか。全なしかな。不自然にならないのは。
「先輩。終わりましたら服屋行きましょうよ。氷の上じゃあなくてここ陸地なんですから。」
「でもこれ脱ぐと簡単に死ねる可能性が凄く高いからな。」
「専用服あるんじゃないですか。スケルトンプレイヤーはここ入れますから。」
変な会話だが、本人たちはいたって真面目だ。
装備した初期装備は、所謂、全身タイツ。上下にセパレートできるので背中のファスナー意外にお腹回りにファスナーがある。フード付きマントがあるので問題はないが。
脱いだら、スピードスケート選手のユニフォーム姿の様になる。
素材が布じゃなくて弾力性があるから分類的には多分そっち。水耐性がついていたらスキューバダイビングスーツにできたかな。
決して芸人枠ではない。
基本、ウィンドウ操作で瞬間的に着替えるので問題ないが。ファスナーついていることから普通にも着れる。
ここに住んでいる人が普通にいるのだから当たり前か。
彼らにとってプレイヤーが特別なだけだから。
ついでにこの服?スーツ?初期装備なのに耐久がある。本来、初期装備に耐久はない。現に棒とマント、それに木靴にはなかった。
耐久が0になると着れなくなる。これはだいたいのゲームだとそうらしいし、説明にも書いてあった。
耐性0になるまえに生産で修理できる人見つけないとな。
上着だけで防御力全体で13。斬撃耐性−5、打撃耐性25、魔法耐性−7雷の場合0〜50。
衝撃吸収に優れている。雷に強い。ゴムだな。
数値変動している雷の威力と地面に雷を逃がせるかどうかで違うらしい。
レベルか、スキルレベル。もしくはその両方が高いならアウトらしい。だけど、サービス開始直後だとスキルレベルが高いプレイヤーは多くはないはず。乱獲していたし。そうそうレベルが上がらないんじゃないかな。
だから、見た目に反してわりと使える装備だと思う。
結の来ている服で防御力全体で15と高い。全耐性5ある。もしかして、大量生産品?
耐久問題ない初期装備は、運営によって均一されている物が配われたのだからそうだろうな。持っている防具全種類の防御力全部同じだし。
ちなみに、武器は2人とも攻撃力15だった。
何処からか溢れてくる何かを倒せる最低ラインってことだろうな。
5じゃなくてよかった。ゴミ扱いされるところだった。
「服もいいけど、リボーン地点見に行来たいかな。せっかく案内されたんだし。」
「ありましたね。でも、教会のいる人びっくりしますよ。骨ですから討伐の可能性も。」
池の淵に近づいてリボーン地点を登録。登録後、死に戻ると周りに迷惑だから教会で変更しろのアナウンス。
じゃあ初めから教会に設定しろよ。と思うのは悪くない。別にそれで運営に苦情もあげない。
ピクトさんAIが親指をたててgooなんてしているところを頭の中によぎってたらではない。
「教会の裏庭とかになるんじゃないかな。スケルトン大丈夫なら、それ用のあるでしょ。」
どうやらプレイヤー全てこの町にいないらしい。
種族由来のスタート地点というやつだろうか。
僕、勝手に決まってたけど。
意志疎通が可能な種族で例えば、スケルトン。リザードは大丈夫。ゴブリン、オーク、トロールは駄目といった様に別れている。
基準が何処にあるかわからないが大昔からそうらしい。
住民が勝てるかどうかかと思ったが。スケルトンはなんとかなるような気がするが、リザードには勝てるか疑問。
大昔に契約結んでたって設定で落ちが付きそう。
「たしかに」
「あっ、中にプレイヤー発見。」
「本当ですか。」
池の中に緑色のアイコンが。
男が緑で女が赤のアイコンが頭上にある。プレイヤー限定で住民にはない。勿論、住民には見れない。
設定で消すことも可能。きちんとこのゲームをする人は消しているんだろうな。僕と違って。
結は悠木さんでプレイヤーと違う。僕にあわせている。
「そこのねーちゃん。そんなのと一緒にいないで、俺達と一緒に遊ぼうぜ。」
ナンパか。大変だな。
それにしても何処にでもいるんだな。
「いましたね。でもどうやってレベルって。ありましたね。」
動けないプレイヤー全てに救済そちはある。
そう僕は不正規品をつかまされたのとは違う正規のレベルアップポーションが。
結果だけみればいいものなんだけど。作ったのがな。後遺症ありそうで怖い。
それにしても、まさか魚の種族があるとは思わなかった。
アバターになるには何回進化するのやら。
僕より大変だな。
「もうもらったあとか。時間的にも。」
そもそもこの周辺でピクトさんらしきものいない。
30分から1時間って話だからな。
それにしても、
「どうやって歩くんだろう。」
「歩くかどうかの枠にいないのでは。魚ですから。そもそも、先輩とは違った方向で純粋に動けないと違いますよ。泳いでますから。」
「それなー。」
「おい。さっきから無視しやがって聞いてっいっっ。」
怒鳴り声がした方を見ると片手を押さえたプレイヤーとそれに付き添うように隣に立つプレイヤー。
喧嘩かな。
ヒャッハーしたければフィールドで狩をすればいいのに。
「ここだと、喧嘩の邪魔になりそうですね。」
「行くか。」
「おい。」
「そこの犬耳とフード。」
組み合わせ的に僕たちか。
男性プレイヤーが2人。
純粋な人アバターに見える。
職業は戦士系か、スキルが剣を中心とした構成のどっちか。だって、腰に剣あるし。
「てめえら。さっきから無視しやがって。」
「俺らが誰かわかってんのか。あぁ。」
怒鳴られたのだが。無視した覚えはない。
そもそも、話しかけられた覚えもない。第一おいやお前でわかるのは親しい間柄だけだ。
ちょっとそこのまて、で人を呼び止め可能なのは警察官だけでは。
誰を呼んでいるかわからないのだから通り過ぎるてもいいのではないかと思うのだが。
「ごめんなさい。知りません。知り合い?」
素直に謝ってみた。
「いえ。まったくもって全然知りません。」
2人とも知らなかった。
アバターだからの可能性もあるが。まぁ、知っているならあらかじめフレンド登録(仮)してる。
じゃあ誰?
「言葉からすると有名なゲームプロでしょうか。所謂、攻略トップは時間的に考えて現状いませんから。」
「なるほど。」
その手のことに弱いからな。まあ、それでも知らないけどね。
「ってめぇら舐めやがって。」
あっ、抜いた。
対応を間違えたらしい。しかも2人して。何故だ。謝ったのに。
「無理してでも知っているが正解だったのかな・・・・・・。」
「それ違いますよ。先輩そういうところ気をつけた、」
「ちょっと待った。」
結の言葉を遮るようにして、新しい男性プレイヤーが来た。
うん。この人も知らない。
隣でも不機嫌そうな顔を横に振っている。
「君たち。恥ずかしくないのか。こんな初心者相手に剣を抜くなんて。」
ゲームジャンル的には初心者で間違いない。この世界でも時間は長いだけで戦闘、生産、住民との交流もしてないから間違いではない。
けど、なんか下に落とされている気がする。
「誰だよ。てめえ。勝手に割り込みやがって。」
「邪魔だ。どけよ。」
「それはできない。弱いプレイヤーをいじめるなんて放っておけるか。」
「うっせい。そこをどけ。」
なにやら戦闘を開始した3人の男性プレイヤー。
なにこれ。
なんか勝手に話進んでるんだが。
結もどうでもよさそう。彼らはこっちを忘れている。
肩を叩き結の目を向ける。指で別方向を指す。
頷いた。
ゆっくり静に。そーっと、そーっと。離脱。
「なんだったんでしょうね。さっきの。」
「ナンパを繰り返して結にも来たってことじゃないかな。それで話を聞いてくれなくて怒った。手を抑えていたのはわからないけど。」
「確かに周りでそんな声が聞こえたような。」
「まぁ勝手にするだろう。何かあったら運営に連絡すればいいし。」
「そうですね。」
あっ、足運び、のスキル覚た。逃げ足や忍び足とかじゃないのか。