1話
家族関係がわかりずらい、という意見がありましたので、思い浮かんだことを書いてみました。
今後、再度訂正するかもしれません。
「ゲームをしましょう。」
クラス一の美少女? かもしれない、悠木縁が声をかけてきた。緑と間違いがちな縁。縁とかいて、ゆかり、と読む。
一度、「みどりさん」と普通に間違えたら、怒られた。すごく怖い。気を付けよう。
縁に恵まれる。廻り廻っていいことがやってくる。と、由来があるらしい。けど、本人がらしいというのは、どうかと思う。
ついでに、僕の名前は鈴木夏三。高校1年の17歳。夏に三でなつみ。女の子のような名前。だが、男。容姿は、モブキャラかな? イケメンやハンサムではないことは、間違いない。僕を知っている人曰く、和装が似合いそうと。日本人だからね。アニメや漫画のように、こんなにかくかくしかじかなわけがない。とはならない。
由来は読んで字のごとく。三番目ともなると適当になる? いや、もとからか。母さん曰く、分かりやすく、だそうだ。鈴木姓は結婚後、母さんが決めた。
母さん、父さんもそうだが、お金持ちの家の子供だった。それが、現在、我が家の隣さんの父親が、昔、家業は継ぎたい人が継げばいい。責任ある立場で胃に穴空いたらどうするの。と、言って家出と駆け落ちしたことに巻き込まれたことになっているらしい。
他にも先輩後輩で仲が良かったから。父さんに母さんを紹介し、仲を取り持ったから。等々、理由があるらしいが。
駆け落ちした相手、お隣さんの母君の実家は、夫と同じ様なお金持ち。なので、駆け落ちの必要はどこにあったのか。 母君の実家は、貰い手がいた事に泣いて喜んだとか。本当に疑問。
そうなっている大人の事情。
我が母の実家、姓は繭生原で、マユキハラ。昔、本家に近い分家を結婚で統合。ついでに苗字も、ということになったらしい。そんなこと言われてもなぁ。の、分家の母さんは、一度で読める苗字が良かったからと鈴木さんに。
本家は、先祖代々、繊維、布関係の会社を経営している繭原さんという由緒正しい家柄らしい。衣類系の会社を経営している母の実家と近い親戚関係、母のいとこか、はとこかがいる。僕から見ると、はとこか、一つ挟んではとこ? 遠い親戚だから、繭原さん親の世代と、娘の繭原かぐやさんしか知らない。
父は、元々は宮江姓。祖先が、宮大工。副業で家具と金属で装飾品の製作をしていたらしい。けど、副業が本業よりも儲かり、本業と交換。代々、そういった仕事をして経営して最近はそのデザインもしている。宮大工時のもう一つの副業で刺青も彫っていたらしいが。こっちは、廃業。近代化の時に機械部品も作っていたが。こっちは、分家分離独立。ただ、資料はあるので、VRで技術的な真似事ができる。ご先祖様は多芸だ。で、父はそこの長男。兄弟は、妹のみ。そして、名字が江木。宮江の分家。このままいくと兄か、僕の苗字が変わるらしい。僕じゃないことを祈るしかない。いとこ2人いるんだけど、昔からの決定事項だから仕方ないそうだ。
お隣さんは、田野崎さん。田野崎性は、母方の旧姓田崎に野を足したらしい。田崎自動機械というバイクで有名な会社を経営し、モータースポーツに参戦したり、しなかったりしている。
田野崎父、家出した張本人なのだが、実家は三木音響機器という三本の剣が交わるマークがつくオーディオAV機器メーカーの跡取り。
両方とも俗に言う老舗で富裕層なのだが、歴史的に我が家の両親の実家が古く経済的には大差ない。だから、巻き込まれた。こういう大人の事情になっている。
ついでに、母は在宅業務だが、父と田野崎さん夫妻は、仕事は実家の家業を手伝っている。いろいろ知っている人達は、迷言残し家出・・・・・・の状況。田野崎母、展示品のバイクを勝手に使用し、走り出す系女子。その血が濃いのか、娘さん2人の移動手段はバイクが多い。
そんなこんなで話はかなり戻り、3つ上の姉が如月。生まれは2月。旧暦詠み。社会人の長男は六花。初雪が降った日に産まれたから。雪の結晶が由来。さすが、長男。ちょっと捻りがある。遺伝的に家族全員手先が器用。両親の実家が金持ちだが、小遣いは上がらない。
「えい。」
ゲームをしているというアピールをするためスマフォのガチャ画面を出したが回されてしまった。
「あっ。」
2月イベントとログインボーナスでコツコツ集めた石が。詫び石はよ。誰に? 目の前の子に。
うん。無理だな。お金が出る打ち出の小槌が欲しいな。
いや、彼女の名前は縁。きっと縁を運んできてくれる。
「ああ。お。あ~。」
と、思った時期が僕にもあった。ガチャの神などいない。
虹でカラフルエフェクトだったのにな。SRはもうある。これは限界突破素材。SSRの武器じゃない。キャラ。これが物欲センサーか。でも、これはこれであり? でも、ランク同じじゃないと装備できない。
「どうでした。」
「レベル上限解放はできる。武器もある。ただ、キャラがない。貸し出しキャラよさようなら。ついでに、もう一つ時間切れ。」
あの子、強かったのにな。残念。次のアニメのコラボに期待しよう。
端末を操作してアプリを終了する。そして、授業用ノートアプリを起動。けど、彼女は気づいていないようだ。時間切れといったのに。
「で、どうでしょう。」
「どうでしょといわれても。時間切れ。」
「あっ。」
机の上にのっている社会科の教科書に気付くと悠木さんは声を出す。けど、キーンコーンカーンコーン、と、鐘の音。同時に、ガラガラ、と開く扉。声は、近くにいたからこそ聞こえた。
「全員座っているな。いないなら次テストで0.5引くからな。」
入ってきたのは体格ががっちりした社会科の男教師。本人曰く、昔は、もやしっ子だった。筋肉をつけたかった。結果、今のような体格になった。見せかけの筋肉。で、格闘技とよべるよべるものは、学校の授業でしか経験がない。だから、見せかけの筋肉だと。そんなこと言われても筋肉の違いなんてわからないのだが、どう反応しろと?
教師になったのは、学生時代、国から奨学金を受け取り、公務員になれば、返す額がいくらか割引かれる。という理由で国公立の教師を目指したらしい。それで成れたのだからすごい。ただ、ここ私立なんだけどね。
さて、さっきの言葉なのだが、冗談ではない。本気だ。現に0.5マイナスになったのは、いまの僕を含めて、何人もいる。むしろ、引かれない方を捜した方が、早いかもしれない。それぐらい被害?にあっている。授業に関係する雑談は大丈夫。しかし、それ以外は減点の対象。それは、周りも含めて。だから、
「悠木、0.5。おまけに、鈴木も0.5マイナス。放課後補点プリント取りに来るんだぞ。」
と、なる。ただ、減点されても回復する機会があるので苦情がでない。だって、このプリント、配られるのは、まだ習っていないところある。けど、教科書を見れば確実に点数とれる。思っていたよりも楽。さらに、間違ってても構わない。適当に書きすぎなければいいらしい。それなら初めから引くなよ。と、なる。職員室にわざわざ、プリントを取りに行く。次の日に提出する。ここが重要らしい。
「端末繋げれても教科書は出すように。」
ノートも使うが、基本的に学校は、タブレット端末を使い授業をする。提出物もデータでのやり取りが多い。なのに、プリント。だから、罰になるのだろう。
他の学校は普通にノートを使う。タブレット端末を導入しているところの方が少ない。高度な技術があっても、こういうところは、変わらないそうだ。
バイザーを掛け、専用の手袋をする。そして、バイザーとタブレットを連結する。空中を一回叩く。指をスライドする。傍から見ると眼鏡を点けて、指を振っているようにしか見えない。僕の目の前には、教科書とノートがある。バイザーを画面として、情報を表示できる技術。手袋は、パソコンで言うところのマウス。
デスクトップのディスプレイを、見ているかのように、目の前に展開される教科書とノートのデータ。それを指で動かし、見えやすい位置に。教科書とノートを横に並べ、ノートの位置を黒板の見やすいように下げる。そして、キーボードを展開し、再度位置調整。ついでに、資料集も開く。
「じゃあ、授業始めるぞ。」
昔のSF映画の世界をいま体現している。それが、僕の世界。
2018,12,18 修正訂正