第七話「まだ2回しか終わってない」
「と、とめなきゃ。とめなきゃ」
ひでは身動きがとれないが、それでも打つ手を考え、
そして思いついた瞬間、瞬時にそれを行った。
「ディザイアああああああああああああ!!【槍】」
ひでは1つだけ魔術が行使できた。
土属性の汎用呪文【ディザイア】。
地面等を自分の望んだ形に変化させる呪文だ。
ひでは地面を杭のような形に変化させ、葛城の周囲に放った。
が、そこにはすでに葛城の姿はなかった。
「あたんねぇよ。おじさん、お前と違って、足、遅くねぇから」
一瞬の内にひでの後ろに回り込んでいた葛城。
ひでは冷や汗を流しながらも次の手を模索していた。
「ディザイア!!【壁】」
ひでは階段を塞ぐように分厚い土の壁を出現させた。
少しは時間稼ぎが出来ると信じて。
「あんな壁、一瞬で壊しちゃうよ、オラオラ」
そういった葛城は壁に対して攻撃を始めた。
あっという間に崩されていく壁。
ひでの魔力では再度壁を出現させることは困難だった。
「これ崩すのに、あと4カット3回」
この数秒の間でもうすでに壁はほとんど崩れていた。
ひでの魔術は数秒の足止めにしかならなかった。
もう打つ手のないと思われるひでは・・・・笑っていた。