第五話「紅蓮」
「あれ?おかしいね。誰もいないね」
ひではキョロキョロと周囲を見渡したが、どこにも葛城の姿が見えない。
おかしいと思った時には背中に激痛が走っていた。
「ああイッタイ、イッタイ」
いつの間にか背後に回っていた葛城からの容赦ない一撃。
ひでの背中は赤く、ミミズ腫れを起こしていた。
「やっとダメージが入ったか。赤いミミズ腫れ。神々しいわよね。オラオラ」
「いってぇ・・・。ねぇ痛いっすよもう!」
さらに火力と速度を増す葛城に対し、"反射ひで"でさえ空を切っていた。
「おじさんがここまで早く動くとあたらないだろォ!動くとあたらないだろォ!!」
「ヒェー!!」
ひでが持ちうる、最速で相手に届く攻撃をさらにその上の速度を持って、葛城は凌駕した。
「全身ミミズ腫れにして真っ赤にしてやるよ。真っ赤っかにしてやるよこれから」
葛城が呟く。
それは呪文の詠唱のような呟きだった。
「葛城流奥義"紅蓮"」
その刹那、ひでの身体が徐々に宙へと浮かび出した。
その実態は葛城が下から上へ突き上げるような超々高速のヒット&アウェイ。
「ねぇ痛いちょっともう・・・痛いなもう・・・ああイッタイ、イッタイ、痛いいいぃぃぃぃぃ!」
気づけばひではゆうに10mはあるであろう天井近くまで舞い上がっていた。
現状のひでに為す術はなかった。
「””YO!!””」
葛城はひでのさらに真上に移動しており、一刀両断する勢いでひでに刀を叩きつけた。
轟音と共にひでが地面に叩きつけられる。
「へあっは!!」
気の抜けるような吐息の後ひでは吐血していた。
圧倒的防御力が貫通された瞬間だった。
そして、ひでが叩きつけられた地面には小さな魔方陣のようなものが淡く光っていた。
「罠。張っといたから。お前の為に」
その言葉と共に魔方陣が起動。
有刺鉄線のような物がひでを雁字搦めにする。
「ああ逃れられない!!」
ひでは暴れるが、鉄線はびくともしなかった。
「さて・・・。悪い子はおしおきだどー」
葛城は身動きの取れなくなったひでに対し、力任せに蹂躙を始めた。
サボリ気味だったので2話投稿