第三十一話「GO is god」
ほも とくゆう の スキあらば ひとりがたり
キングボスを遠乃に任せて階段を駆け上る。
あの程度やったら遠乃なら楽勝やろな。
神がおるはずの最上階に向かっている途中から
今までの旅の思い出が昨日のことのようにあふれ出してくる。
俺は元々戦争の為に国に雇われた、カリヤザキって名前の傭兵やった。
国としてはただの駒。頭数の1つやった。
戦争の様子は今でもはっきり思い出せる。
人を殺した感触。昨日語り合った仲間がすぐ隣で死ぬ音。
返り血の生暖かさ。手から取れない血の臭い。
次死ぬのは自分やとか、全員殺さなきゃ殺される戦慄とか、
そんなことがいつしか恐怖から快感に変わっていた自分がおった。
異常精神状態、異常な環境に何ヶ月も身を置いたせいか、
ああいうのを覚醒っていうんかな。
いつしか両の眼が魔眼になっていた。
相手の属性と魔力量が見える「御魔可視眼」
相手になにかしらのデバフをかける「否理眼」
そして気づけば周りにおるやつを全部斬っていた。
敵も味方を見境いなく。
それまでの味方すら敵になった状態で、
何百って敵に囲まれた時も、まるで死ぬ気がしなかった。
むしろ、ひたすら人を斬れるっていう喜びがあった。
結果的にその戦争はうちの国が勝った。
そりゃ俺も仲間より敵を多く殺したからな。
国からは勝利の立役者とか言われ、
【勇者】の称号と鬼神のような活躍ってことで【カーリー】の名ももらった。
しかし、一方で軍の仲間からは、
「黒死病並に人を殺したウィルスのような存在」だとか、
「敵味方の区別もつかない醜い獣」だとか、
そんな風に呼ばれた。
王の依頼で勇者の一行を作ったり、
魔物退治の依頼を受けたり、
今みたいに神殺しに赴いたり。
そういや、遠乃に初めて会ったとき、
あいつは王宮のメイドやった。
死んだ魚のような眼をしてたのをよう覚えとる。
魔眼で見たときは流石に眼を疑った。
多色の属性をもっとる人間なんか見たことなかった。
そんな属性ももつのはSSSランクの魔物の
「無効化する銀龍」くらいなもんや。
この遠乃がまた成長も早く、魔術も武術もあっという間に上達した。
すえ恐ろしい才能やと思う。
キングボス程度じゃ、相手にならんやろ。
その次に会ったのはひでやな。
なんとか合金で作られた生命体で、
ほんとはひでとかいう名前じゃなかったけど定着してしまったな。
ひでを預けてくれた「ドラゴン・タナカ」さんが何か長々と説明しながら、
俺に預けてくれたんや。異常な防御力には何度か命を救われた。
葛城とかいうやつの相手をさせたが、
これまた不思議な相手やった。
魔力量ゼロ。属性色無し。なんやこれ。
魔力強化できてない状態じゃひでを突破できんやろから
足止めは上手くいっとるやろ。
その後はジウと会ったな。
遠乃と迫真空手道場が一緒で、
遠乃と仲良くなって、なんとなーく着いてきたんやな。
恐らく遠乃に惚れたみたいな感じやろか。
ジウは恐らくキムには勝てへんやろうけど、
キムはジウを殺さないだろうから帰りにキムを斬ればええやろ。
最後にトールか。
こいつがまた最初は刺客として襲ってきた。
恐ろしい攻撃力やったけど、遅いからな。返り討ちにした。
そのあと仲間になりたそうにこっちをみてたから連れてきた。
相撲のやつと戦わせたけど、どうなるかは良く分からんな。
一撃当たれば勝ちやろうけど。
もうすぐ最上階や。
なんやこの思い出ぽろぽろは走馬灯か?縁起悪いなぁ……。
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最上階。
前の階に比べ、やや広いそのホールの中心には、
玉座のような物があった。
そこには黒すぎる肌と軽い態度を持つ男が腰をかけていた。
ニヤニヤしているが、いやらしい笑みでは無く、爽やかな笑顔だった。
想像以上に神聖な雰囲気を持つその男は、
カーリーに向かって軽い口調で話しを始めた。
「いいオーラしてるよ。君が勇者?道理でねえ」
「ここは広いし、ええところやなぁ?」
「んいいねwww」
まるで同じ大学に通っている友人のような朗らかな会話。
これから殺し合いが始まるような雰囲気ではなかった。
だが、カーリーは剣を抜き放った。
こんな会話は不要だと言わんばかりに。
「こっちから攻撃させてもらうね」
「まあまあ、そう焦んないで」
「お↓う↑さまを殺そうとしたんだから攻撃させてもらうから」
「あっそ!まぁ、いいや。大丈夫だろもう?よしっ、キマリッ!」
軽い口調で戦闘を了承した男。
その男こそが、神だった。
「あ、さ、俺、【GO】って名前。ウン」
「カーリーですわぁ。よろしくお願いさしすせそ」
「はい、ヨロシクぅ!ハイ」
礼節をわきまえる男2人の戦闘が始まる。
ここでひとつだけ言える事がある。
カーリーは異常なまでに、強かった。
GO教の信者さんはごめんなさい




