【昭和編最終回】 未来へ
昭和編最終回です。
ここまでの応援、誠にありがとうございます!
本当はソ連のヨシフ〜やドイツの総統の
話も書きたかったのですが、そこまで
行くと未完になる可能性があったので…
次回は現代最終回です!
1945年 4月7日
戦争は終わった。
フィリピン海戦で勝利した日本は
年が明けた45年1月にサイパン島を強襲。
同島を奪還した。
これを好機と捉え、アメリカをはじめとする
連合国との交渉を開始。
結果、ハルノートをほぼ日本が受け入れる形で
講和が成立した。
陸軍の一部好戦派が継戦を叫んだが、
中国大陸で消耗していた陸軍首脳部も
講和の機会をうかがっており、
また、陛下も強く講和を望んでおられたこともあり、
陸軍首脳部は国体護持が認められることを条件に
終戦を容認した。
こうして日本は連合国の仲間入りを果たした。
唯一残った枢軸国、ドイツは米ソの猛攻撃を受け、
敗戦は時間の問題だろう。
だが、その代償は大きかった。
サンフランシスコで行われた講和会議で、
『薩摩』はアメリカに引き渡されることとなったのである。
「海原大佐!」
連合艦隊参謀の任を解かれ、
呉鎮守府で書類整理をしていた海原に
思いがけない一報が飛び込んできた。
「どうした?」
「それが・・・サンディエゴに回航するために
北太平洋を航行していた『薩摩』が
消息不明だそうです!!」
その兵の話によれば、
米軍の駆逐艦7隻、巡洋艦2隻に護衛され、
サンディエゴに向かっていた
『薩摩』が、北太平洋で濃い霧に巻き込まれ、
霧が晴れた時にはすでにその巨体が消えていたという。
乗り込んでいた米兵600人は、その後救命ボートに
乗って漂流しているところを偵察機に発見された。
彼らの話では、霧が出てきてから発見されるまでの
記憶がなく、なにがなんだかわからないとのことだった。
「そうか・・・」
海原は窓の外に広がる海を見つめる。
思えば色んなことがあった。
海上自衛隊を名乗る艦隊が現れ、
歴史を知った時から、こうなる運命にあったのかも
しれない。
日本を敗戦から救った救世主、『薩摩』は
敵の手に渡ることを良しとしなかったのだろう。
世間では、遭難沈没が囁かれているが、
海原はそうは思わなかった。
―――『薩摩』はきっとどこかで生きている―――
根拠はない。
ただ、『薩摩』が沈むなんてことは考えられなかった。
「ありがとう、『薩摩』。さらばだ…」
彼は自分の机の上から一枚の写真を手に取った。
そして、にっこり笑った。




