覚悟
次回昭和最終回です!
20XX年 1月25日
世界中から核が消えた。
中東で、ウクライナで、朝鮮半島で、
血で血を洗う惨状が続いている。
日本にも朝鮮半島から大量の難民が押し寄せ、
日本政府は対応に苦慮していた。
アメリカ、ロシア両国は国際社会における指導的地位を
失い、反米、反露運動が各地で激化した。
そんな中、総理の元に防衛省から
連合艦隊消滅作戦案が届けられた。
「連合艦隊を消滅させるだと!?」
「はい。」
「バカを言うな!米軍ですら手も足も出なかったんだぞ!」
すると防衛大臣はとんでもないことを言い出した。
「兵器で消滅させるわけではありません。」
その他の大臣が驚きの声を上げた。
「防衛大臣、じゃあどうするというのかね!?」
「イージス艦3隻にマグネトロンと呼ばれる真空管装置を
取り付けました。これから射出される電磁波で
水分子を振動させ、蒸発させます。」
「電子レンジと同じ原理というわけだな?」
理系出身の官房長官が質問した。
防衛大臣は頷く。
「そうです。超巨大電子レンジと思っていただいて
構いません。」
「仮にその作戦をやるとして、連合艦隊の攻撃を
どうやって回避するつもりだね?
海水でできた航空機の攻撃に、米軍ですら
なにもできなかったんだぞ?」
農林水産大臣の最もな質問だった。
「防御はできません。3隻のイージス艦には
志願者100名ずつ、計300人のみを乗せます。」
「それではダメではないか!」
会議が暗礁に乗り上げようとした
ときだった。
「待ってください!連合艦隊の攻撃は確かに脅威です。
ですが、彼らは自分たちを攻撃した者のみに反撃している。
いわば専守防衛です。
先の戦いでも連合艦隊は米軍のみを攻撃し、自衛隊は
攻撃しませんでした。
こちら側から攻撃の意思はないと示せば攻撃してこないのでは
ありませんか?」
外務大臣が助け船を出したのだ。
「そんな希望的観測が通用すると思っているのか!?」
「300人が死んだら誰が責任をとるのだ!?」
閣議は紛糾した。
最後に決断を下せるのは日本国総理大臣、竹本学
ただひとりである。
「やってみよう。それしか方法がないのなら。」
「しかし、総理!」
なお食い下がる国交大臣に総理は穏やかな口調で言った。
「今連合艦隊を止めなければ世界は滅ぶだけだ。
止められるのは我々しかいない。
国民が私の決断を支持してくれると信じたい。」
総理のこの一言で作戦が決行となった。
300人の海上自衛官はすぐに集まった。
誰ひとり文句を言うものはいなかった。
1月28日 10:00
『日本国総理大臣、竹本学より
連合艦隊旗艦『薩摩』へ。
私たち日本政府は敗戦から今日に至るまで、
国防のほとんどを同盟国に頼ってきた。
そんな生活から我々は今日独立し、独力で
貴艦隊に対する消滅作戦を実行する。
なお、作戦目標は旗艦『薩摩』のみとし、
攻撃は一切行わない。
貴艦隊の賢明な判断に期待する。』
全世界に向けて発信されたこの文章で、日本は独立した。
自分たちの力で未来を切り開く覚悟を決めたのだ。
人類の未来をかけて、いざ、最終決戦!!




