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戦艦薩摩  作者: 呉提督
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レイテ最終決戦 1

最終回目前で詰め込みすぎて遅れました。

1944年 10月18日 09:00



空襲が止んだ。

艦隊は、まだ雲が残る空の下を23ノットで

進んでいる。


「敵機動部隊は壊滅したのだろうか?」


豊田の予想は半分当たっていた。

米機動部隊は日本空母艦載機と基地航空隊の

集中攻撃を浴びて正規空母の半数を撃破され、

軽空母に至ってはほぼ全滅に近い状態だった。


それでも残ったエセックス級6隻には500機もの

航空機が残っており、

ハルゼーはこれをすべて日本空母艦隊に

差し向けたのである。


09:16、


「長官!小沢機動部隊より入電です!」


伝令の顔は蒼白だった。


「『我、敵機ノ接触ヲ受ケツツアリ。

此ヨリ敵機動部隊ト雌雄ヲ決セントス。

貴艦隊ノ健闘ヲ祈ル』です・・・。」



小沢長官の悲痛な思いが伝わる文だった。

小沢長官は全滅覚悟で敵機動部隊を

引き付けようというのである。


「長官。機動部隊は必死の想いで

米機動艦隊を引き受けようとしています。

この機会を逃しては100年経っても我々は

子孫に笑われるでしょう。

長官、突入命令を!!」



海原の進言に豊田は大きく頷いた。



「小沢部隊に返信!

『貴艦隊ノ奮戦二感謝ス』!

この機会を逃してはならん!

全艦レイテ突入用意!!」



艦隊の士気は天を突くほど高くなった。

そこに一報が入る。


09:43、


「レイテ湾まで残り60km!」


「敵艦見ゆ!!」


「「なんだと!?」」



現れたのはオルデンドルフ少将率いる

旧式戦艦6、重巡4、軽巡4、駆逐艦18の

打撃艦隊である。


「長官!ご指示を!」


「見敵必滅!全艦、砲撃戦用意!

敵艦隊を撃滅せよ!」



豊田の指示を受け、『薩摩』の

主砲が左に旋回。

敵艦に狙いをつける。



「撃ち方始め!」



『薩摩』の9門の主砲から

51cm砲が獲物を求めて飛び出す。

しかし、初弾は命中せず、敵艦の周囲に

大きすぎるほどの水柱を作り出した。



「初弾夾叉!」


「次弾装填急げ!」


40秒が1時間のようにも感じられる。

『薩摩』の後方に位置する『大和』『武蔵』も

砲撃をはじめたようだ。

敵艦を包む水柱がさらに濃密なものとなる。


「第二斉射、撃てぇ!!」


結局、日本艦隊の砲撃が米戦艦をとらえたのは

戦闘開始から約20分後の10:06の

ことであった。


ついに『薩摩』の主砲が敵戦艦に

当たったのである。



「主砲命中!」



『薩摩』の攻撃を受けた不運な戦艦は

『ウェストバージニア』。

真珠湾から復活した元ビッグセブン。

そのビッグセブンですら『薩摩』の攻撃には

まったく及ばなかった。

たった一発の命中弾が機関室を粉砕し、

火災が通路を突き抜けた。

電源は一瞬にして失われ、ダメコン要員も

火災で壊滅。

廃墟と化して海中に没していく。



これに驚いたのは日本艦隊司令部だけではない。

アメリカ側のオルデンドルフも同様である。



「な、なんなんだ今のは!?」


確認するまもなく、『大和』の主砲が戦艦『テネシー』に

突き刺さる。

沈没こそ免れたものの、一番、二番主砲を

完全に破壊された『テネシー』は前部で

大火災を起こし、戦力にならないのは明らかだった。


その後13分間は双方に命中弾なし。

重巡洋艦部隊はお互いの巡洋艦を

蹴散らそうとするが、日本側が断然優勢だった。

日本側が『三隈』『高雄』を中破されたものの、

米側は4隻の重巡の内3隻を失い軽巡も2隻を

沈められた。残った1隻は軽巡2隻を連れて

逃走。


戦艦同士の撃ち合いも10:34には勝敗が決した。

『メリーランド』『ペンシルべニア』が

相次いで被弾。

『薩摩』の砲撃を食らった『メリーランド』は

5分で轟沈。『ペンシルバニア』も46cm砲を浴びて

海面に消えつつある。

オルデンドルフは撤退を決断。

残存兵力をまとめ、レイテ湾へと逃走した。


この戦いで日本側は

旧式戦艦『ペンシルべニア』『メリーランド』

『ウェストバージニア』『テネシー』を沈没させ、

巡洋艦は重軽合わせて5隻撃沈。


大勝利の勢いそのままにレイテ湾へ

進軍していったのである。

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