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戦艦薩摩  作者: 呉提督
58/65

決戦 2

1944年 10月17日 15:00



「おも〜か〜じ、一杯!!」


『薩摩』が大きく右に旋回する。

『薩摩』に突っ込んでくる雷撃機が

『鞍馬』の高角砲の直撃を受けて粉砕される。


「左舷に雷跡3!」


しかし、雷爆のことごとくを回避することは

困難を極めた。

『薩摩』の左舷中央部に3本の魚雷が

ほぼ同時に命中した。

だが『薩摩』は平然と航行を続けている。



午後2時に襲来した第二次空襲、

そして今回の第三次空襲と

立て続けに空襲を受け、

『薩摩』は計8本の魚雷と6発の爆弾を

受けていたものの、損傷らしい損傷は

見受けられない。



「化け物だ・・・」


若い参謀が呟く。

連合艦隊司令部の面々も同意した。

普通の戦艦ならもうとっくに海の藻屑である。


豊田はこの戦艦を生み出した男の顔を見た。

その男はただ笑っていた。





・・・・・・

同日 15:30



日本空母を発進した航空隊267機はついに眼下に

米機動部隊を捉えた。

レーダーに探知されないように

低空飛行すること1時間。

連合艦隊司令部が海上自衛隊から得た情報から

米軍の兵器の全容を把握していたのが幸いした。

米機動部隊は正規空母12隻と軽空母4隻から

なっていた。

いかに工業力に優れたアメリカでもサイパンでの戦いで失った空母をすべて補充することは

できず、連日の戦いで多くの艦が損傷していた

ため、その数は日本の空母航空隊と

基地航空隊をギリギリ押さえ込める程度だった。



「敵空母部隊視認!

全機突撃せよ!」


攻撃隊長の村田大尉が命じる。

爆撃隊もそのままの高度で猛然と突っ込んでいく。

驚いたのは米軍だった。

レーダーに捉えられなかったのだから無理もない。

護衛戦闘機も50機ほどしかついていなかったのである。


決死の対空砲火をあげ、のたうちまわる

米空母。

百戦錬磨の日本海軍航空隊は

次々と雷爆撃を命中させてゆく。


空母『ベニントン』は魚雷2本を受け、

速力が落ちたところにさらに魚雷2本が命中。

海中に消え去った。


空母『シャングリラ』も同じようなものだった。

爆弾3発をほぼ同時に被弾し、大火災。

電源を喪失したところに魚雷2本が命中。

復旧のめどはまったく立たず、総員退艦命令が

下った。



空母『エセックス』、同『バンカーヒル』も

魚雷3本、爆弾数発を浴びて大破。

航空母艦としての機能を喪失した。


そして一番ひどかったのは空母『アンティータム』

だろう。この艦は最も多い5本の魚雷を

左舷に受け、瞬時に沈没。

まさに轟沈である。



日本海軍は96機を失いながらも

米空母の4割を撃沈、撃破した。

しかし、この戦いで海軍の至宝とも言われた

熟練搭乗員のほとんどが空に散り、

海軍は対艦攻撃力を激減させてしまうのである。

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