出撃
1944年 10月15日 広島柱島
停泊していた連合艦隊艦艇が一斉に錨を揚げた。
戦艦『大和』を先頭に『薩摩』『武蔵』が続く。
フィリピンに侵攻した米軍を迎撃する
第二艦隊第一遊撃部隊である。
その後方には空母『赤城』『飛龍』『翔鶴』『瑞鶴』を
中心とした機動部隊。
搭乗員はかき集められた精鋭ばかりだ。
艦隊編成および、作戦目標は以下のとおりである。
第二艦隊第一遊撃部隊 連合艦隊司令長官率直
総合旗艦『薩摩』
第一部隊
第一戦隊:『薩摩』『大和』『武蔵』
第九戦隊:『伊吹』『鞍馬』
第五戦隊:『妙高』『那智』『足柄』『羽黒』
第七戦隊:『最上』『三隈』『鈴谷』『熊野』
第一水雷戦隊 第二水雷戦隊
第二部隊
第二戦隊:『長門』『陸奥』
第三戦隊:『金剛』『榛名』
第八戦隊:『高雄』『愛宕』『鳥海』『摩耶』
第三水雷戦隊 第四水雷戦隊
第二艦隊第二遊撃部隊 司令長官南雲忠一中将
一航戦:『赤城』『飛龍』
二航戦:『翔鶴』『瑞鶴』
三航戦:『隼鷹』『飛鷹』『龍驤』
五航戦:『祥鳳』『瑞鳳』『千代田』『千歳』
第四戦隊:『比叡』『霧島』
第六戦隊:『利根』『筑摩』
第五水雷戦隊 第六水雷戦隊
作戦目標
一、比島方面米軍侵攻部隊および、米機動部隊の撃滅
一、比島飛行場の破壊および、奪還支援
おおまかな作戦内容はこのとおりであり、
細かい戦術としては、
一、機動部隊が基地航空隊と協力し敵機動部隊と交戦。
これを撃破する。
一、航空支援を受けた戦艦部隊がレイテ湾へ進撃
米機動部隊ならびに水上部隊を撃滅する。
一、米軍に奪われた飛行場ならびに敵輸送船団を破壊する。
である。
史実のレイテ沖海戦の二の舞にならないよう、
『第一目標は空母』と全軍に通達してある。
燃料事情の芳しくない日本海軍にとって
これはまさに決戦であり、これに破れれば敗戦は
確定してしまうと言っても過言ではなかった。
また、米軍も暗号解読や潜水艦からの情報で
日本艦隊の出撃を察知。
機動部隊による航空攻撃を命じた。
決戦は近い。




