自衛隊VS米軍
1944年 2月25日 07:10 サイパン沖
新しく第一護衛艦隊の旗艦となった
『しょうかく』で八谷は難しい決断を
迫られていた。
米艦隊を強引に突破するか、それとも
一度引き返すか。
だが、それは、接近した米艦隊が
発砲したことで一瞬にしてたちきられた。
「全艦に達す!戦闘用意!
ただし、撃沈は避け、航行不能に追い込みながら
突破せよ!!」
全艦が一斉に戦闘体勢に入る。
まず、『のしろ』『あがの』が対艦ミサイル、ハープーン10発を
発射した。
迎撃に現れた米艦隊は、
戦艦『ノースカロライナ』『ワシントン』『サウスダコタ』
『インディアナ』の4隻に
護衛の巡洋艦7隻、駆逐艦12隻。
そのうち、駆逐艦2隻と『ワシントン』『インディアナ』が
ミサイル攻撃を受けた。
4発のミサイル攻撃を受けた『インディアナ』だったが、
その分厚い装甲が撃ち抜かれることはなかった。
しかし、内1発が艦橋を直撃、艦長以下幕僚を
死傷させ、指揮系統を奪った。
『ワシントン』もミサイル3発を受けたものの、
戦闘力は健在だった。
だが、さすがに無傷とはいかない。
第2主砲塔付近に命中したミサイルによって艦内に
火災が発生。
弾薬庫の温度が上昇したため、注水を余儀なくされ、
第2主砲は使用不能となった。
一番悲惨だったのは2隻の駆逐艦だろう。
装甲がないに等しい2隻の駆逐艦に命中したミサイルは
駆逐艦の小柄な船体を簡単に吹き飛ばし、
一撃で轟沈させた。
脱出できた者は僅かで、その者たちも、
太平洋の嵐に飲まれ、海中に消えていった。
「敵駆逐艦2隻撃沈!」
その報告に八谷は苦い顔をしたが、
なにかを言うことはなかった。
ここで手加減すればこちらにも死者が出る。
部下の命を預かる司令としてそれだけは
避けなければならなかった。
『のしろ』『あがの』に続いて『やはぎ』『さかわ』も
ミサイルを発射した。
その数15本。
次は巡洋艦が多く狙われた。
軽巡洋艦の1隻はミサイルの命中で魚雷を誘爆して
真っ二つに裂け、
重巡洋艦2隻は艦首や艦橋を吹き飛ばされ、
廃艦と化した。
米軍もだまっていない。
戦艦3隻が主砲を発射し、自衛隊を攻撃する。
砲撃は護衛艦隊の前方にド派手な水柱を作り出した。
「戦艦の戦闘力を奪え!」
天候が悪くなければ『しょうかく』の
戦闘機も戦闘に参加できるのだが・・・・。
こうも風が強いとそうはいなかない。
護衛艦隊の明暗は4隻の最新鋭ミサイル護衛艦に
託された。
米軍側も勇猛果敢に攻めてはいたものの、
70年の差はさすがに大きすぎた。
米軍得意のレーダー射撃はECMに無効化され、
護衛艦の127mm砲は20km離れたところから
同じ大きさの主砲を持つ駆逐艦を一方的に狙い撃ちした。
戦闘開始から20分。
米軍側は被害甚大で撤退していった。
「これより、艦隊は低気圧へと突入する!」
低気圧の中心へと突入した第一護衛艦隊群6隻は
そのままその姿を消した。




