5/65
現れし巨艦
201X年 12月11日 18:30 東シナ海海上
『繰リ返ス、戦闘ヲ停止セヨ。』
突如艦橋に入った電文を見て人民解放海軍北洋艦隊司令長官丁観念は腹を抱えた。
「ハハハ、日本人らしい冗談だ!」
『広東』CICの中に電文を信じている人間は一人もいない。
「攻撃続行だ。わざわざ陸軍にまで頭を下げて行う作戦なんだ。
この程度で退いていたら党に殺られるわい。」
空対地攻撃ミサイルを抱えた戦闘機の発艦が完了し、丁は一息ついた。
「レーダー異常ありません。」
部下の報告に丁は
「当然だ。」
と鼻で笑い飛ばした。
すると、
『残念ナガラ警告ハ無視サレタ。此ヨリ我、威嚇射撃二入ル。』
次の通信が舞い込んだ。相変わらず手の込んだ電文である。
「やつら、この程度で我々を阻止できると思っているらしい。」
CICに爆笑がおこる。
だが、
「うん?なんだ、あれ?」
「どうした?」
レーダーに奇妙なものが写っているそうだ。
「何の船だ?邪魔するなら撃沈もやむ無しといってやれ!」
政治将校がいい放つ。その瞬間、レーダー員から悲鳴が上がった。
「不明艦1隻探知!全長は・・・・323m!」