しかけられた罠
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1944年 2月25日 07:00 サイパン島南西沖190海里
第一護衛艦隊群は嵐の中を順調に航行していた。
暴風雨はどんどん激しさを増している。
このままいけばあと1時間ほどで中心に着くはずだ。
艦隊の全乗組員が無事に現代に帰れることを
強く祈っていた。
しかし、耳を疑う一報が飛び込んできた。
「レーダーに感あり!
およそ30マイル前方に大型艦多数!
大艦隊です!!」
なんと低気圧の中心で多数の艦が待ち伏せしていると
いうのだ。
こんなところに日本艦隊がいるはずがない。
だとしたら・・・・
「米艦隊!!」
海原がそれに気がついた時、艦長の天草がつぶやいた。
「あの参謀、謀ったな!」
あの参謀とは、言うまでもない。
『やはぎ』砲雷長海原の曾祖父である。
今回の出港を提案してきたのは彼だった。
そう。天草の推測は正しかった。
海原は自身の計画の仕上げとして、言葉巧みに自衛隊を
誘導し、低気圧に護衛艦隊群を突入させることで
米艦隊と交戦させ、米軍の侵攻を遅らせようとしたのだ。
米軍に護衛艦隊群の位置を教えるのは朝飯前だった。
『2月25日黎明、連合艦隊ハサイパン島南西ヨリ
米艦隊ノ背後ヲ強襲セントス。地点は北緯・・・・』
との暗号を打つだけであとは米軍側が勝手に
解読して対応してくれる。
海原は護衛艦隊群のいなくなったブルネイで
ほくそ笑んでいた。
「海原~!」
「艦長?」
「あ、いや、お前じゃない。連合艦隊の参謀の
方の海原だ。同じ名字だったから驚いたよ。」
彼は顔から血の気がひくのがわかった。
背筋が凍りつく。
その人は、海原守が憧れた曾祖父にして
連合艦隊参謀、海原洋一郎だったからである。
「なんでだ・・・・なんで・・・・」
曾祖父に嵌められた。
騙されたのだ。
現実に打ちのめされていく。
(なんでだよ、なんでだよ爺さん!!)
心の中での絶叫むなしく、第一護衛艦隊群は
米艦隊との距離をどんどん縮めつつあった。




