サイパン沖海戦 2
1944年 2月21日 10:00 サイパン南西沖80km
「『飛龍』偵察5号機より入電!
『サイパン南東沖230カイリに敵機動部隊見ユ
少ナクトモ、空母7 戦艦5』」
ついに日本機動部隊は米機動部隊を発見した。
まだこちらは見つかっていない。
絶好のチャンスだ。
「ただちに攻撃隊を発進!敵空母を撃滅せよ!」
南雲長官の指示で、『赤城』らの甲板には
航空機が並べられる。
真珠湾を攻撃した熟練のパイロットたちは
わずかな時間で発艦、集合を完了し、
獲物を求めて東へと向かっていった。
・・・・
同年同日 10:30
米機動部隊はサイパンから発進した日本軍機450機の
攻撃を受けている。
単発、双発機合同の攻撃隊は、米空母に殺到した。
だが、米海軍の反撃も激しかった。
新型戦闘機F6Fに零戦は撃墜され、
対空砲火で多くの攻撃機が海面に没した。
それでも数で圧倒する日本側は
インディペンデンス級軽空母2隻を撃沈。2隻を撃破。
エセックス級空母『ハンコック』に魚雷2本を命中させ、大破させた。
・・・・
同年同日 11:20
「日本空母発見!」
米機動部隊側が日本艦隊を発見した時、
日本空母から発進した航空機は
既に米艦隊上空に迫っていた。
戦闘機は先程の戦いで使った燃料を補給している
ところだ。
なんと間が悪い。
「あげられる戦闘機は?」
「40機です!」
「ないよりマシだ!あげろ!」
大事な空母を失うわけにはいかない。
ミッチャー少将は天を睨んだ。
・・・・
「見えた!敵空母だ!」
日本軍攻撃隊長の友永大尉は
前方およそ10海里に米空母を認めた。
だが、優秀なレーダーを持つ敵は戦闘機を
攻撃隊よりも高高度に配置して待ち構えていた。
敵戦闘機が降下して襲ってくる。
「零戦隊、頼んだぞ!」
しかし、どの航空機もその程度でやられるような
パイロットは乗っていない。
敵の急降下にいち早く反応すると、
素早く旋回して乱戦に持ち込む。
その隙に攻撃隊が突撃した。
ガンガンガン
敵の対空砲火が当たる音がする。
「峯岸!機体に損傷はないか!?」
「ありません!油圧も燃料も大丈夫です!」
後部座席から元気な声が返ってくる。
機体に損傷がないのを確認した友永は
目の前を必死に逃げ回る空母『ヨークタウン』に
狙いを定めた。
「いまだ!投下!」
機体がグイッと持ち上がり、敵空母の上を通過する。
二番機も投下に成功したようだ。
2本の雷跡が伸びていき、『ヨークタウン』に
直撃した。
「2本命中!」
ヨークタウンは左に大きく傾き、4本目の
命中で海中に引きずりこまれた。
・・・・
同年同日 13:50
「帰って来たのはこれだけか・・・・。」
航空参謀の源田は言葉を失った。
攻撃隊250機のうち、帰ってこれたのはわずか
57機。20%ほどしかなかった。
帰って来た機体も穴だらけで、敵の迎撃が
いかに激しかったかがよくわかった。
それでも彼らは確実なものだけで
米空母2隻撃沈(『ヨークタウン』と『サラトガ』)
1隻を撃破し、日本海軍の維持を見せたのだった。




