薩摩出現
201X年 12月11日 18:00 首相官邸
首相官邸にはすでに国務大臣が集まり、NSC(国家安全保障会議)
が開かれていた。
「第一護衛艦隊は消息を絶ってからすでに48時間が経過しましたが未だ手がかりはつかめておりません。」
防衛大臣の声は震えていた。第一護衛艦隊が消滅し、隊員全員が死亡するなんて事態になったら内閣総辞職どころじゃすまないだろう。
「アメリカ軍にも支援を要請しましたが、以前連絡はありません。」
総理はため息をついた。このことをいつ公表すべきか。
対応は?
こたえを知るものは誰一人いない。
総理大臣竹本学は、前総理の地盤をついで2年。
まさにこれからという時の悲劇だった。
すると、いきなり会議室に秘書官が飛び込んできた。
「総理、大変です!東シナ海に中国人民解放軍が!」
「なんだと!?」
・・・・
201X年 12月10日 18:00 東シナ海海上
「やはり、報告は本当だったか。」
人民解放海軍北洋艦隊司令長官 丁観念は笑った。
日本は第一護衛艦隊を失った。突然レーダーから消えたという報告を聞いたときは耳を疑ったが、自衛隊の対応の遅さからして
間違いないだろう。
「よし、殲20発艦せよ。」
殲20は人民解放海軍の最新戦闘機である。ロシアからの技術援助を受けて完成した主力艦載機。
殲20、15機が轟音と共に次々と発艦していく。
そんな時だった。
北洋艦隊旗艦『広東』に通信が入った。
『コチラ大日本帝国海軍戦艦【薩摩】。繰リ返ス、コチラ大日本帝国海軍戦艦【薩摩】。人民解放海軍ノ作戦ハ日本国ノ領土ヲ侵略シテイル。タダチニ戦闘ヲ停止セヨ。従ワヌ場合、実力ニテ排除スル。
発 大日本帝国海軍戦艦【薩摩】
宛 中国人民解放海軍北洋艦隊旗艦【広東】 』