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戦艦薩摩  作者: 呉提督
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ナショナリズム 2

20XX年 12月23日 15:00 新宿駅前


「また被雷したぞ!」


新宿駅前でテレビに釘付けになる人の数はさらに増えていた。

先程『大和』は8本目の魚雷を受け、左に大きく傾いている。

既に『信濃』はその姿を海面から消し、『武蔵』も同じように

魚雷を受けて傾いている。


「くそ、俺たちはなにもできないのか!」


「なんで日本政府は連合艦隊を助けないんだ!」


その時、群衆のなかにいた80歳くらいのおじいさんが

呟いた。


「日本はいつまでたっても敗戦国だ。永遠に戦勝国の

言いなりなのか・・・・。」


周囲の人が驚いて振り向く。おじいさんは

話を続ける。


「関東大震災、世界恐慌。あの時日本の経済は壊滅的打撃を受け、子供たちは飢えに苦しんでいた。満州は日本人が

日露戦争で自分達の血で手にいれたものだ。

なのに講和の仲介をしただけのアメリカが自分達にも

利権をよこせと文句を言ってきた。

在米日本資産を凍結し、石油の輸出をとめた。

今の北朝鮮と同じだったのだ。日本ははめられた。

あの戦争は欧米諸国が儂ら黄色人種を潰すためにアメリカが

仕掛けたものだ。


罪のない子供をたくさん殺され、原爆まで落とされたのに

儂らは文句ひとつも言えない。

儂らの時代のことを今の世代に押し付けることに

なって、本当に申し訳ない。」


おじいさんは泣いていた。

周りの人も目が赤くなっている。



「そんなことないですよ。

今の日本があるのは貴方達が戦ってくれたおかげです。

誰も貴方達を責めたりしませんよ。」


サラリーマン風の男性が言う。

周囲も賛同している。


すると、ジーパンにジャケットというカジュアルな服装の

青年が顔をあげた。そして言った。



「今まで日本は戦勝国の言いなりだった。

いつもアメリカに頭をさげ、中国の領海侵入にも

文句を言うことしかできなかった。



そんな時、『大和』が現れた。あの船は戦後初めて

戦勝国の武力に対して武力で立ち向かった。


『大和』は沖縄を救うために沈んだんだ!

そして今回も日本の領土を守るために戦っている。

『大和』はただの戦艦じゃない。

いつだって日本人の象徴、日本人の魂なんだ!!

その証拠に、こんなにたくさんの人間がここで悔しい

思いをしている。


『大和』がまた日本を守るために戦っているんだから

私たちも私たちにできることをしましょう!

声をあげるんです!主権者である私たちが声をあげれば

政府はそれに従わざるをえない。


今度は私達が『大和』を守る番です!」



たまっていたなにかが弾けた。


「そうだそうだ!政府は『大和』を守れ!」


「日本人としての誇りを守れ!」


「なんのために自衛隊に税金払ってると思ってんだ!」



同様の出来事は日本各地で起きた。


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